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星河の覇皇

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第六十三部第五章 会見の申し入れその十三

「機を見るに敏で内政、財政、貿易、外交で秀でたものがある」
「マウリアを繁栄させている」
「そのことは間違いありませんね」
「まさしくな、しかしだ」
「英雄かといいますと」
「そのことは」
「わからない」
 そうだというのだ。
「あれで腹の内も見せないからな」
「英雄かどうかもですね」
「見極められませんね」
「私が見極められない」
 このことからだ、シャイターンは剣呑な顔になりクリシュナータについてこうも言ったのだった。
「若しかするとあの主席殿は相当な人物でだ」
「英雄ですか」
「そうだというのですか」
「それも私以上のだ」
「兄上以上の」
「相当な資質を持った」
「英雄かも知れない」
 こう言うのだった。
「今人類の世界にいる英雄達の中でもな」
「相当な、ですか」
「英雄であり」
「そして兄上以上の」
「英雄であると」
「そうかも知れない。少なくともマウリアは全く傷つかずだ」
 一連の戦乱にだ、それこそ一人も失っていないというのだ。
「多くのものを得ている」
「連合からの様々な援助も」
「エウロパからの恩義も」
 エウロパのそれはエウロパ戦役の終結と講和の仲介により得たものだ。これは連合からも得ていることであるがだ。
「そうしたものもですね」
「手に入れていて」
「国力を飛躍的に上げてもいまうし」
「そうしたものを見れば」
「政治的英雄かも知れない。しかしだ」
 確信を取れないという口調での言葉だった。
「それははっきりとわからない」
「兄上でも」
「そうなのですか」
「あの御仁は敵ではないがな、今のところは」
 期間を限定させた、その言葉のそれを。
「しかし。敵にすると」
「それはですね」
「厄介な相手ですね」
「そう見ている」
 これもシャイターンのクリシュナータへの見方だった。そうしてマウリアについても今度はこうしたことを言うのだった。
「あの国が敵になればな」
「その時は、ですね」
「エウロパと同じく強敵になりますね」
「強敵といより難敵か」
 マウリアはそれになるというのだ。
「どちらかというとな」
「難敵、ですか」
「そちらですか」
「あの国はわからないところが多い」
 この場合は謎ではなくだ、理解出来ない考えや行動が多いということだ。 
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