星河の覇皇
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第六十三部第五章 会見の申し入れその七
「皇帝がな」
「そしてその主権者である皇帝が国政を動かす」
「そうした国家であるべきですね」
「私が治めるのだ」
サハラを、というのだ。
「民主政治は欠点もある、だからだ」
「兄上が皇帝として」
「主権者としてですね」
「民主政治を取り入れつつもその欠点を封じ」
「そのうえで」
「大日本帝国だ」
シャイターンはこの国の名前も出した。
「模範はな」
「あの国ですか」
「かつての日本ですか」
フラームとアブーも言う。
「明治の頃の日本ですか」
「第二次世界大戦までの」
「実際には天皇は国家の象徴である時が殆どだった」
このことは明治の頃からだ、特に欧州の立憲君主を理想とされていた昭和帝は二・二六事件やポツダム宣言受諾といった危機の時以外はあくまで立憲君主としてのお考えから内閣や議会の断を是とされるだけだった。
「しかしだ」
「サハラはですね」
「違いますね」
「その日本が手本としたプロイセンの様にだ」
「皇帝が国政を動かす」
「そうされるのですね」
「議会も内閣もある」
そのどちらもというのだ。
「軍もな。しかしだ」
「その上にですね」
「主権者の皇帝がいる」
「そして、ですね」
「サハラを動かしていくのですね」
「今もそうだがな」
シャイターンは実際に独裁者としてティムールを動かしている、その立場を皇帝となってからもというのだ。
「即位してもだ」
「続けて」
「サハラを発展させていきますか」
「そうだ、ただ軍だが」
この国家の柱の一つにはだ、シャイターンはこの考えも述べた。
「皇帝の直属とするとだ」
「内閣の統制が利かなくなりますね」
「議会の」
「そして勝手な行動に移ってしまう」
「統制から離れて」
「それは避ける」
それが為にというのだ。
「だからだ。軍の最高司令官は皇帝だが」
「その下にですね」
「さらに」
「その代理、副司令官としてだ」
その立場から、というのだ。
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