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生徒会”執行部”と”捜査部”  ~舞い散る桜STKとの出会い~

作者:猫丸
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5.ミッション・イン・ワンワンコ





コンコン。主に会長がバカ騒ぎしていると、小さくノック音がする。
コンコン。もう一度。
「は~い、鍵は開いているから入っていいわよ~」と小林先輩が声をかけると、ドア越しから小さく「…はぃ」と女の子の声がした後、ドアがゆっくり開けられる。

「おぉー蒼ちんじゃ~んそっかそっか、もうそんな時間なんだ」

会長が『蒼ちん』と呼んだ小柄で藍色の髪でショートヘアの女子生徒はぺこりと頭を下げ、部室の中へ入りドアを閉める。

「……会長の…友達ですか」

茨音さんは会長の制服の袖をツンツン引っ張り、ゴニョゴニョとひそひそ話をしている。会長はニコッと笑った後

「この子は依頼人の(あお)ちん。こっち二人は一年のいばやんとハルゥねっ」

軽く春たちを紹介した。

「…二年蒼(あおい)、水泳部に所属」

「先輩なんですね。一年の茨音 智子です」

「……風月です」

でもあだ名で紹介されてもわからないため、もう一度自分たちでも軽く自己紹介しておく。
蒼先輩の苗字はまだない。

会長とはクラスメイトでそれなりに仲は良い…らしい。今回はなにか捜査部に頼みたいことがあって来たらしい。春にとっては初めてのお客様だ。

「それで…捜査部に依頼というのは…なんでしょう」

「……」

蒼先輩は黙りそっぽを向いたまま固まっている。

「…あの」

「……見られて気がする」

「見られてる? 誰にです?」

「…わからない。でもプールで泳いでる時、ずっと誰かの視線を感じる…ような気がする」

「それって…もしかして…「盗撮だなんて、なんてウラヤマけしからんっ!!」

「会長…今羨ましい…なんて言おうとしませんでした?」

「う、うんん? そんなコトないデスヨ?」

目がバタフライしてる…わかりやすい人だ中原会長は。

「犯人は会長、ってオチじゃないんですかー?」

「そんなワケないよ!」「それは無い」

茨音さんの言葉に会長と蒼先輩が同時に否定した。

「彩くんは隠し撮りとかじゃなく、堂々とカメラマンしてるから」

「そうそう。ボクが部員みんなの許可をとって、撮ってるからね。あとぶちょーだからね」

「許可はちゃんととってるわよね~。ローアングルの写真も撮ってるわよね~」

「あ…アンコ…なにかボクに恨みでもあるのかい?」

「ウフフフ~どうかしらね」

小林先輩の笑ってるのに笑ってない笑顔は怖いけど、それはそれとして。

「…犯人はストーカーとか?」

「え…ストーカー?? うわキモ怖いんだけど」

「でも一番っぽいれす」

「そうね~謎の視線を感じてるのがアオちゃんだけならなっとくね~。その辺はどうなのかしら?」

「…わからない、私いつも独りだから」

「……ソウデスカ」

キーンコーンカーンコーン。

[部活終了時刻を迎えました。まだ学園に残っている生徒は、速やかに下校しましょう]

下校時刻を知らせるチャイムと校内放送が流れた。もう寮に帰る時間なんだ…。

「アリャもうそんな時間かね。仕方にゃい蒼ちん、こっちでも色々調べてみるから安心してにゃ」

何故か猫のポーズを決める会長。

「ああ頼むよ。見られていると言うのはあまりいいものではないから」

「捜査部にお任せあれっです!」

「…おぉいばやんが燃えている」

「ありがとう。では失礼する」

「バイビー」「「また~」」「…ども」





【で】




帰る蒼先輩を見送ったし、自分もさっさと寮へ帰ろうと思う春だったのだが

「待ってハルゥ!」

会長に呼び止められた。なにかと思い立ち止まり振り返る。

「明日から寮のお引越しだよねん?」

「…えぇそうれすけど」

春は今、家賃が一番安い寮に寝泊まりしている。まぁ一番安いというだけあって見た目はボロボロ、中もボロボロ、雨が降れば雨漏り演奏会、隙間風ピューピュー、夏は虫だらけ、冬は寒さにガクブル
…な最悪・最低な寮にいたのだけど、何故か数日前とつぜん寮母さんから寮の転居が決まったと伝えられたのだ。
いくら安くてもここよりも悪いボロ寮はいやだ、良い寮は魅力的だけどお金がない…のにとつぜん告げられた寮の転居話、なぜか家賃も今払っている額のままでいいらしい。
よくわからない事だらけの寮の転居話をなんで会長が知っているのでしょう?

「なんか荷物運んだりするの?」

「…いえ荷物という荷物はないれす、鞄ひとつ分くらいれす」

「そっかそっか」

なにか納得したような会長。

「じゃあさっ明日からとは言わず今日、今から引っ越して来たら? ナウ!」

「…はぃ?」

ドウユウコトレスカ?

「さっそうと決まれば、我らの新居へゴーゴーカレー!!」

「え…えぇぇ~~~」

ガシッと会長に腕を掴まれて、春はうぬを言わさず無理やり引っ張られ何処かへ連れ去られてしまった。
その光景をすぐそばで見てながら、呆然としていたこの二人はというと

「いくら待ちきれなかった…からといって強引に連れ出す必要あります?」

「アヤちゃんはせっかちさんだから~」

「いやそうゆう問題?」

「そーゆう問題よ~これはね」

「……なっとくいかない」

「ふふっ」

そして連れ去られた春は…

「あ…あの何処へ…??」

「ふっふーん、イイトコロ!」

だから何処れすか! それは~~~!! 学園の敷地内を全力疾走していた。










                              続く










 
 

 
後書き



やっと依頼人さん登場!

吾輩は蒼である。苗字はまだない。…の二年水泳部所属の蒼先輩です!

無口でボーイッシュなクールピューティな女の子設定です

水泳部を隠し撮りだなんて、なんてうらやまけしからんのでしょう!!

逮捕! 確保! ショッピクぞ! ですぞ!

次回は、春が引っ越す予定の寮についてのお話です。

イイトコロに連れてってアゲルって何処に連れてくつもりなんですカネ?? …まっまさか!?


 
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