| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十二話 西の動きその十五

「井伏氏を姫巫女様に合わせるでおじゃる」
「絶対にか」
「そうするでおじゃる」
「そうか、ほなじゃ」
「勝負でおじゃる」
「ああ、やるか」
 井伏も相撲のはっけよいの構えになった、そしてだった。 
 二人は互いに勝負に入った、柔と剛が今激しくぶつかり合った。
 佐藤兄妹は山本と対峙していた、まずは兄が彼に言った。
「二対一やけどええですか?」
「構わない」
 これが山本の返事だった。
「これまで喧嘩は何人も相手にするのがざらじゃった」
「それで、ですか」
「喧嘩もそうじゃし戦の場やともっとじゃろ」
 それこそというのだ。
「何人も一度に来るものじゃ」
「そやから」
「おどれ等が二人で来てもじゃ」
 それでもというのだ。
「わしは構わん」
「そうですか」
「しかし言っとく」
 山本はその竜の目を鋭くさせて佐藤兄に言った、見れば竜といっても顔立ちは東洋の龍のそれだ。
「わしは強い」
「はい、知ってます」
「そやからうち等も二人で来ました」
 兄だけでなく妹も言ってきた。
「二対一でやっと」
「そうした人ですな」
「何人でも倒したる」
 剛槍、日本号を持っての言葉だ。100
「覚悟せえ」
「そうですか、ほな」
 佐藤妹が応えた、そのうえで自分の兄に言った。
「兄ちゃん、あれやったらどや」
「そやな」
 兄の方も妹に応えた。
「何人でもって言ってくれたし」
「そうしよか」
「それで自分もやろ」
「あの術使ってな」
「二人でやろか」
「今からな」
 こう二人で話した、そして。
 兄はきっとした目で笑みを浮かべてだ、こう言った。
「分身の術、いきますわ」
「分身の術か」
「そうですわ、こうして」
 黒い忍者装束の佐藤兄がだ。
 すっともう一人増えた、一人が二人に。そして二人が三人にと瞬く間に増えていき遂には七人になった。しかも。
 装束の色が違った。赤に青、黄、紫、緑、橙とだ。それぞれの色を着ていた。その七人の佐藤兄が言うのだ。
「こうしてですわ」
「僕分身の術得意ですさかい」
「こうして使えます」
「七人まで増やせますで」
 それぞれの口で山本に話す。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧