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ソードアート・オンライン~白と青の軌跡~

作者:叶愛
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私の罪

 
前書き
今回はシノンメインです
では、本編へ! 

 
第89層の攻略会議が今から始まろうとしていた。

ライアはソロで、アスナは疾風迅雷のリーダーとして参加する。

「以上の方法で攻略しようと思います、異論はありますか?」

「こちらからは無いわ。」

「俺からも特にないな。」

アスナとライアが代表して血盟騎士団副団長に発言し、ほかの者も頷く。

「分かりました、では解散で。」




「はぁ、相変わらず固いな……」

「キリトはこういう雰囲気が苦手よね。」

「お兄ちゃん、だらしないよ。」

キリトはドサッと外に出てすぐの木陰に座った。

その隣にはシノン、リーファ、エギル、クラインが呆れている。

「慣れるとそんなに苦でも無いんだがな。」

「オメェはもうちっと、アスナさんを見習え!」

キリトは「へいへい」と返事をしてある場所に視点をずらす。

「変わったよな、ライ。」

独り言のように呟かれたキリトの言葉をその場にいる全員が頷いていた。

「えぇ、私が初めて会ったときに似てる。」

「え、シノンさん会ったことあったんですか?」

リーファを含めた全員がシノンの言葉に目を丸くした。

シノンは「あ、言ってなかったわね。」と言って微笑みながら、懐かしむように話した。

「私とライはリアルで会ってるのよ。」

「「「「えー!?!?」」」」

座っていたキリトは立ち上がり、リーファは固まって動かず、エギルとクラインは目をパチパチしていた。

そんな中、後ろから声がした。

「その話、私も気になるなぁー。」

「アスナお疲れ様。」

アスナは笑顔で返事をしてからシノンはゆっくりと話し始めた。

「そうね、長話になるからギルドに戻りましょ。」








場所は疾風迅雷のギルドホーム。

ソファにはシノン、アスナ、リーファ、リズ、シリカとテーブルを囲うように座る。

カウンター席にキリト、エギル、クラインの男性陣。

「私とライが初めてあったのは…確か10年前ね。」

"10年前"

その言葉にアスナがピクッと反応した。

──この世界に来て2年だから、10年前てことは……

シノンはアスナの反応に気づいたのか、アスナを見て微笑みながら言った。

「アスナがライと会う前に私は会ったの。」

だからー、とシノンは言葉を続ける。

「私が住んでいた街に、剣術で有名な家系があって偶然にも私のお隣さんだったの。それがライの家で、アスナの話も『本家に同い年の子がいるんだ』って『いつか会わせてあげる』って毎日聞いてたわ。
まさか、こんな所で会うとは思わなかったけどね」

シノンは笑顔で話す。

「それから私達は一応幼馴染みだったわ、ずっと守ってくれてた。あの時も……」

「あの時?」

キリトがシノンの言葉に疑問を持ち、全員の代表のように聞いた。

「えぇ、私が小学5年生の頃に街で銀行の強盗事件があったの。私もお母さんと一緒にその銀行にいたわ、ライはお父さんと来てて、一緒に座って待ってたら怪しげの大人が来て警戒していたら銃で発砲し始めたわ。」

話を聞く全員が息を飲んだ。

幼い頃にそんな経験をしていたらトラウマになってもおかしくないからだ。

「銀行で働いていた職員が1人打たれて、次に銃口を向けられたのは私のお母さんだった。ライのお父さんがお母さんを守ってくれたんだけど、焦った私はその犯人に突っ込んで自分が次の表的になった。でも、ライが私が殺されると思って、私の前に立って持っていた刀で犯人を斬ったの……。」

その場にいる全員は予想外な出来事に何も言えなかった。

「人を……斬った……?」

リズが信じられないと言うように声を発した。

「えぇ……、メディアや新聞、警察は正当防衛って言って罪に訴えられることは無かったけど、ライの心には大きな傷になってしまった……その事件の事を彼は覚えてないわ……」

「刀で人を斬った事による精神障害……か。」

キリトはぼそっと呟き、シノンは頷いた。

「だから彼は感情によって左右される、剣を握っても覚えていない。だから、私はこの世界に来て良かったと思ってる。」

シノンの発言にリーファ以外のメンバーは驚いた。

「な、何言ってんだ!?」

「し、シノンさん、いくら何でもそれは……!」

シノンは伏せていた顔を上げて真剣な表情を浮かべ……

「この世界に来なかったら皆に会えてないわ、それに。」

シノンは悔しそうに拳にぎゅっと力を込めて。

「もうこれ以上、ライに辛い思いをさせたくない…!」

今まで黙っていたアスナは、そっとシノンの隣に移動し抱きしめた。

「アス…ナ…?」

突然のアスナの行動に動揺を隠せないシノン。

そんなシノンを強く抱きしめ続けるアスナ。

「ごめんね……気づいてあげられなくて……」

「え…?」

「シノのんも辛かったよね……」

アスナはシノンが今までライアに罪を受けさせてしまったと自分を責めていた。

あの時、自分があんな行動をしなければ……

無茶な行動をしなければ……

ライアに、彼に人を殺させなくて済んだと。

「う…ぅぅ……私…わたし……」

シノンは泣いた。

許せない自分を

好きな彼に何もしてあげられない事を

そして、何より

彼を支えられるのは自分では無いという事。















「…………。」

差出人が無いメッセージ。

そのメッセージを呼んだ青の剣士は剣を握った。

「………この剣を渡さないと。」

水色の細剣を思い出しながら迷宮区を進む。

そして、彼は──────





デスゲーム終了まで残り……6日。 
 

 
後書き
長かった…かもです笑
では、また次回! 
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