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夢幻水滸伝

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第十二話 西の動きその一

            第十二話  西の動き
 関西の軍勢は美濃の西を手に入れたがこのことについて芥川は軍勢が近江に入ったところで言った。
「残念やったけどや」
「美濃と尾張を全部手に入れられへんでやな」
「ああ、けど東海の連中は叩けたしや」
 こう中里に言うのだった。
「まあ土地もな」
「手に入れることは出来たしか」
「まあええか」 
 妥協している言葉だった。
「正直室生が来たんは早かったわ」
「あいつが来ると思うてたんか」
「ああ、そやから来る前に終わらせたかったんやけどな」
 目的である美濃と尾張を手に入れたかったというのだ。
「あかんかったわ」
「そこは残念か」
「ああ、ただあいつの言う通りや」
「西はやな」
「そこや」
 まさにというのだった。
「そこがどうなってるかや」
「まだ伝令は来てへんな」
 綾乃も言ってきた。
「どうなってるやろ」
「まあそろそろ来るや」
 芥川は綾乃にも答えた。
「西の方の話もな」
「それでそれ次第でやな」
「次にどう動くかや、まあ今はや」
 芥川は近江に入ってからも都つまり西に向かって進んでいる自分達の軍勢を観つつ綾乃に話した。
「都に戻ろうな」
「そやな、まずは」
「あと東の守りやけどな」
「佐藤兄妹やな」
「あの二人に任せたいけど」
 それが、というのだった。
「今は別のことを考えてるんや」
「ああ、何か傭兵を雇うとか言うてたな」
 中里は芥川の先の言葉を思い出してこう言った。
「確か」
「それや」
「傭兵に東の守りを任せるんか」
「そう考えてるけどな」
「そうか、星の奴でも傭兵やってるのおんねんな」
「自分達が言うには四天王や」
「また随分お約束な自称やな」
 四天王という言葉を聞いてだ、中里はこんなことを言った。
「四人やとよおそう言うな」
「他にもスーパーカルテットとか四大美女とか自称してる」
「美女かいな」
「ああ、四人共一年の女子や」
 彼等が通っている八条学園高等部のというのだ。
「何か星の奴は八条学園の奴ばっかりやけどな」
「それもけったいな話やけどな」
「そこも気になるけどな」
「その四人もか」
「うちの学園の生徒や」
 一年生の、というのだ。 
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