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英雄伝説~灰の軌跡~

作者:sorano
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第23話

~パンダグリュエル・パーティーホール~



「な――――――」

「何だとっ!?」

「な、”Ⅶ組”のみんなが”特務部隊”の直接指揮下に入るって事は……!」

「”Ⅶ組”はこれからメンフィルに従って活動しなければならないと言う事だろうね………」

レンの答えを聞いたオリヴァルト皇子は絶句し、トヴァルは信じられない表情で声を上げ、ある事に気づいたトワは悲痛そうな表情をし、ジョルジュは重々しい様子を纏って呟いた。

「ど、どうして僕達”Ⅶ組”が”特務部隊”―――メンフィル帝国の指揮下に入らないといけないんですか……!?」

「うふふ、これでもレン達メンフィルは”Ⅶ組”の事をそれなりに高く評価しているのよ?何せガレリア要塞を含めた帝国の一部で起こった”帝国解放戦線”によるテロ活動を未然に防いだという功績があるしねぇ?」

「!?何でメンフィルがガレリア要塞の件まで知っているのよ!?あの件は箝口令が敷かれていて、外部に漏れないようにしていたはずよ……!」

エリオットの疑問に対して答えたレンの説明を聞いてある事に気づいたサラ教官は血相を変えて声を上げた。



「あ……っ!」

「大方、今回の両帝国の戦争に勝つ為の諜報活動で知ったんじゃないの~?」

「正解♪うふふ、レンも驚いたわよ?何せ”西ゼムリア通商会議”にはレンも参加していたから、Ⅶ組のみんなが阻止してくれなかったら、”鉄血宰相”と一緒に女神の下に行っていたかもしれなかったし。」

サラ教官の言葉を聞いたアリサは声を上げ、疲れた表情で呟いたミリアムの推測に頷いたレンは小悪魔な笑みを浮かべた。

「”西ゼムリア通商会議”にレン皇女殿下も参加なさっていたのですか…………」

「そう言えば”西ゼムリア通商会議”でカイエン公もそうだけど、”鉄血宰相”も政治的ダメージが受けたけど、もしかしてあの件も”殲滅天使”の仕業?」

レンの話を聞いたラウラは驚きの表情で呟き、ある事に気づいたフィーはジト目でレンに訊ねた。

「うふふ、あの件を主導したのはレンじゃないわよ。―――話を戻すけど、アルフィン皇女達が”Ⅶ組”まで何故特務部隊の指揮下に入らなければならない事を訊ねた際にガレリア要塞の件も含めて説明したから、和解調印式に参加した人達もガレリア要塞の件を知ってしまったわよ?」

「なっ!?と言う事はアリシア女王陛下達もガレリア要塞の件をご存知なのですか……!?」

「”西ゼムリア通商会議”には女王陛下の跡継ぎであるクローディア王太女殿下も参加なさっていましたから、最悪リベールはガレリア要塞の件でエレボニアに対して賠償や謝罪を求めてくるかもしれませんわね………」

「そ、そんな………」

レンの説明を聞いてある事に気づいたクレア大尉は厳しい表情で声を上げ、シャロンの推測を聞いたマキアスは表情を青褪めさせた。



「うふふ、その点については安心していいわよ?アリシア女王は和解交渉の時にガレリア要塞の件を知った際、リベールはこれ以上エレボニアに追い討ちをするような事はしないって言っていたからガレリア要塞の件を持ち出して国際問題にはしないと思うわよ。―――まあ、問題にはしなくてもエレボニアはリベールに対して大きな”借り”ができてしまったけどねぇ?」

「それは…………」

「ただでさえ、エレボニアは”百日戦役”の件でリベールに対して大きな”借り”があるのだから、今後のエレボニアの国際的立場はリベールより下になる事は確実でしょうね。」

「セリーヌ!」

レンの推測を聞いたアルゼイド子爵は複雑そうな表情をし、静かな表情で呟いたセリーヌの推測を聞いたエマは声を上げてセリーヌを睨んでいる中その場にいる多くの者達は複雑そうな表情や辛そうな表情で黙り込んでいた。

「………レン皇女殿下。確かにオレ達”Ⅶ組”は自分達だけで、今まで起こった帝国各地の事件を解決した訳ではない上、”機甲兵”1体を戦闘不能に陥らせる事が精一杯であったオレ達がメンフィル帝国の役に立てるとは思えないのだが………」

「”Ⅶ組”を指揮下に置く事に関して戦力面では一部の人達を除いて最初から期待していないわよ。”Ⅶ組”が特務部隊―――いえ、アルフィン皇女指揮下の下で戦ってもらうだけで、貴族連合軍と正規軍に貴族派と革新派は派閥争いを止めて”アルノール皇家”主導の下で今後のエレボニアを支えるという意思表示を示す”旗印”になるから”Ⅶ組”を指揮下に置く事をメンフィルは判断したのよ。」

「『Ⅶ組が貴族派と革新派は派閥争いを止めて”アルノール皇家”主導の下で今後のエレボニアを支えるという意思表示を示す旗印になる』ってどういう事なんですか……?」

ガイウスの疑問に答えたレンの説明を聞いてある事が気になったトワは不安そうな表情でレンに訊ねた。



「あら、Ⅶ組には”革新派”は”鉄血宰相”に次ぐ”革新派”の有力人物である帝都知事の息子と”鉄血の子供達(アイアンブリード)”が在籍しているし、”貴族派”は”四大名門”の一角である”アルバレア公爵家”の次男が在籍している上、両派閥にも所属していない”中立派”はエレボニアでも5本の指に入ると言われている武人にしてエレボニアで双璧を誇る武術―――”アルゼイド流”の伝承者である”光の剣匠”の娘が在籍しているのだから、”貴族派と革新派が派閥争いを止めてアルノール皇家主導の下で今後のエレボニアを支えるという意思表示を示す為の旗印”としてピッタリでしょう?」

「そ、それは……………」

「…………………」

「あ、あんた達……!この子達を政治利用するつもりなのね!?」

「ハハ………貴族、平民関係なく集めた事が仇になってしまったのか………」

「殿下………」

レンの正論に反論できないマキアスは複雑そうな表情で答えを濁し、ラウラは重々しい様子を纏って黙り込み、サラ教官は怒りの表情でレンを睨みつけ、疲れた表情で肩を落としたオリヴァルト皇子の様子をアルゼイド子爵は辛そうな表情で見つめていた。

「……………ふ~ん、なるほどね~。要するにメンフィルはこの内戦を利用して”貴族派”どころか、”革新派”も”潰す”つもりなんだ。」

「え……それってどういう事なの……?」

その時ミリアムが真剣な表情でレンを見つめて呟き、ミリアムの言葉が気になったアリサは困惑の表情で訊ねた。

「先程レン皇女殿下はアルフィン皇女殿下を旗印にして、正規軍やⅦ組の皆さまを指揮下におくと仰いました。正規軍や両派閥の関係者や有力人物の家族をアルフィン皇女殿下の指揮下におく―――即ち”革新派”が掌握していた正規軍や”貴族派”が掌握していた”領邦軍”を奪い、”アルノール皇家”に正規軍、領邦軍共に掌握させるという意味だと思われますわ。」

「Ⅶ組には両派閥の関係者や有力人物の家族もいるから、正規軍、領邦軍からすれば”革新派”と”貴族派”は派閥争いを止めて、今後は”アルノール皇家”主導の下、エレボニアを支える事を決めたように見えるでしょうね。そして”軍”を失った派閥は”派閥としての力”を失ったも同然ね。」

「シャロンッ!」

「セリーヌッ!」

「それは…………」

「………………」

「く……ッ……!」

シャロンとセリーヌの推測を聞いたアリサとセリーヌはそれぞれ声を上げて二人を睨み、二人の推測を聞いたラウラは複雑そうな表情で順番にクレア大尉やミリアム、マキアスに視線を向け、マキアスは複雑そうな表情で黙り込み、クレア大尉は悔しそうな表情で唇を噛みしめていた。



「クスクス、”奪う”だなんて人聞きが悪いわね。王政の国の軍人が本来仕えるべき”主”はその国の”王”もしくは”王族”なんだから、レン達は両派閥によって歪められた形を”元通り”にしてあげるだけよ?―――よかったわね、オリビエお兄さん♪これで内戦が終わったらオリビエお兄さんの望み通り、両派閥はおバカな争いを止めて、エレボニアを支えてくれるでしょうね♪」

「ハハ………その代わりに新たな火種や問題が浮上する可能性は非常に高いけどね………レン君、何故メンフィルは”貴族派”だけでなく、”革新派”まで潰すつもりなんだい?”貴族派”を潰す理由は今回の戦争の件があるからわかるのだが何故”革新派”まで……」

小悪魔な笑みを浮かべたレンに視線を向けられたオリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた後表情を引き締めて自身の疑問をレンに訊ねた。

「あら、”革新派”は今まで自分達がエレボニアの主導権を握り、エレボニアを豊かにさせる為に様々な小国や自治州を併合させる為の”色々な活動”をしていたのだから、今回の戦争でエレボニアを衰退させる事になった”元凶”であるメンフィルにいつか”報復”をする為に、今回の戦争や内戦で自滅した”貴族派”を完全に排除してエレボニアの主導権を握って、”色々な活動”をする事も考えられるのだから、メンフィルとしても戦争勃発の可能性となる”芽”は小さい内に摘んでもおかしくない話でしょう?」

「ッ!」

「それは…………」

「ま、今までの”革新派”の行動を考えたらメンフィルが”革新派”を警戒するのも当然と言えば当然か……」

「フン、今回の戦争の元凶となった”貴族派”が原因で”革新派”まで潰されるなんて、皮肉な話ね。」

「サ、サラ教官。何も本人達の目の前で言わなくても………」

オリヴァルト皇子の疑問に対するレンの答えを聞いたクレア大尉は辛そうな表情で唇を噛みしめ、アルゼイド子爵やトヴァルはそれぞれ複雑そうな表情をし、鼻を鳴らしてクレア大尉をジト目で見つめて呟いたサラ教官の言葉を聞いたエリオットは冷や汗をかいて指摘した。

「何で国力、戦力共にエレボニアよりも圧倒的なメンフィルがボク達をそこまで警戒するのか意味不明だよ~。第一幾らオジサンでもメンフィルに喧嘩を売るみたいな無謀な事は考えなかったと思うよ~?」

「そうかしら?―――何せ”鉄血宰相”は『自分の死を偽装して、自身の配下に内戦の状況を調整させていた』可能性が非常に高いのだから、雌伏し続けていつかメンフィルに戦争を仕掛ける事も十分に考えられるわよ。」

疲れた表情で呟いたミリアムの疑問に対してレンは驚愕の事実を答えた。


「ええっ!?オズボーン宰相閣下がじ、『自分の死を偽装した』って、どういう事なんですか!?」

「まさかオズボーン宰相閣下は生きているのですか?」

「それに『自身の配下に内戦の状況を調整させていた』とはどういう事なんだ?」

トワとジョルジュは信じられない表情で、ガイウスは真剣な表情でそれぞれの疑問をレンに質問した。

「うふふ、順番に答えてあげるからみんな落ち着いて聞いてね。まず”鉄血宰相”が『自分の死を偽装した』件についてだけど………今はどうかわからないけど、少なくても『内戦勃発後も鉄血宰相が生きている事』は確認されているわ。」

「な――――――」

「何ですって!?」

「ほええええ~っ!?オジサン、生きていたの~!?」

「な、内戦勃発後にオズボーン宰相閣下が生きているって……!」

「確かオズボーン宰相閣下は内戦が起きる直前にクロウに射殺されたはずだが………」

レンの口から出た驚愕の事実にオリヴァルト皇子は絶句し、サラ教官とアリサ、ミリアムは信じられない表情で声を上げ、ラウラは重々しい様子を纏って呟いた。



「レン皇女殿下、本当に宰相閣下が生きておら―――いえ、メンフィルは一体どうやって宰相閣下の生存を確認したのですか……!?」

「うふふ、それを答える前にクレアお姉さんに一つ確認したい事があるわ。――――”黒の工房”って知っているかしら?」

「!!そ、それは…………」

「”黒の工房”………?聞いた事がない工房だな………」

(まさか………)

自分の問いかけに対して意味ありげな笑みを浮かべて問い返したレンの問いかけに目を見開いたクレア大尉が複雑そうな表情で答えを濁している中、ジョルジュは戸惑いの表情で考え込み、ある事に気づいたシャロンは真剣な表情をした。

「”黒の工房”――――結社”身喰らう蛇”の研究機関である”十三工房”の一角よ。―――ちなみに”黒の工房”は”白兎(ホワイトラビット)”や”アガートラム”を造った工房よ。」

「なっ!?み、”身喰らう蛇”の工房だって!?」

「しかもミリアムやアガートラムを”造った”って言っていたけど、それってどういう意味?」

レンの答えを聞いたマキアスは驚き、フィーは真剣な表情でミリアムに視線を向けた後レンに訊ねた。



「”白兎(ホワイトラビット)”―――いえ、”オライオンシリーズ”は”アガートラム”のような巨大傀儡とリンクできるように調整された”人造人間(ホムンクルス)”よ。」

「”人造人間(ホムンクルス)”ですって!?」

「まさかミリアムちゃんが”人造人間(ホムンクルス)”だなんて………」

レンの説明を聞いたセリーヌは血相を変えて声を上げ、エマは心配そうな表情でミリアムを見つめて呟いた。

「その”人造人間(ホムンクルス)”とは一体どういう存在なのだ……?エマとセリーヌは知っているようだが………」

「………”人造人間(ホムンクルス)”は錬金術で造りだされる”人”―――つまり、父親と母親の間から産まれる普通の人と違って、『人自身の技術によって、造られた人』の事よ。だから”人造人間(ホムンクルス)”には両親は存在しないわ。」

「ええっ!?そ、それじゃあミリアムに両親は……」

ガイウスの疑問に答えたセリーヌの説明を聞いたその場にいる多くの者達が血相を変えている中アリサは驚きの声を上げた後不安そうな表情でミリアムを見つめた。

「アハハ、もうここまでバレちゃったら隠す意味もないよね~。うん、セリーヌの言う通りボクはみんなと違って、『“お母さん”から生まれたのとは違う“造られた子供”』だよ。でもボク自身の情報やボクを造った場所についての情報は”出荷”した時に消されているそうだから、ボクは”黒の工房”って場所は知らないよ~。」

「しゅ、”出荷”って………」

「まあ、その言葉通り”物”―――”商品”扱いされていたのだと思うわよ?”人造人間(ホムンクルス)”は”人の手によって造られた存在”なのだから、造った本人達からすれば”人造人間(ホムンクルス)”を”人”じゃなくて”物”として見ていたのでしょうね。」

ミリアムの話の中に出て来たある言葉が気になって不安そうな表情をしているエリオットにレンは自身の推測を答えた。



「”人”を”物”扱いする等、余りにも”人の道”から外れた行為だ……!」

「ミリアムが”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の一人って事は”鉄血宰相”は”黒の工房”と何らかの取引をして、ミリアムを手に入れたんでしょうね。―――フン、大方”鉄血宰相”が遊撃士協会に圧力をかけた理由の一つはその”取引”―――”人身売買”も理由の一つなんでしょうね。”人身売買”をしている事が判明したら、遊撃士協会は総力を挙げて叩き潰すだろうし、”人身売買”の”取引相手”であった自分自身も破滅する事は目に見えているでしょうしね。」

「お、おい、サラ。」

「………………」

レンの推測を聞いたラウラは怒りの表情で呟き、厳しい表情でクレア大尉を睨んで呟いたサラ教官の言葉を聞いたトヴァルは冷や汗をかき、サラ教官に睨まれたクレア大尉は辛そうな表情で黙り込んでいた。

「……レン皇女殿下。オズボーン宰相がその”黒の工房”とやらと何らかの取引をしていた関係である事はわかりましたが、それとオズボーン宰相の生存がどう関係しているのでしょうか?」

「既にトヴァルお兄さんから聞いていると思うけど”蒼の深淵”の指示によって、シュバルツァー男爵夫人を拉致しようとした貴族連合軍の”裏の協力者”の狙いを悟っていたパパ達がその”裏の協力者”を捕えてね。で、本国にその人を連行してその人が持っている”貴族連合軍”の情報を洗いざらいしゃべってもらった時にその人が”黒の工房”所属で、”黒の工房”の場所も知っていたからメンフィル軍は”黒の工房”を制圧したのよ。」

(そういや、”英雄王”達が捕えたあのアルティナって少女もよくよく思い返してみたらミリアムのように傀儡を操っていたな……と言う事はまさかあの娘もミリアムと”同じ存在”か……?)

「と言う事は”十三工房”の一角がメンフィルによって、潰されたという訳ですか………」

「シャロン………」

アルゼイド子爵の疑問に答えたレンの説明を聞いたトヴァルが真剣な表情で考え込んでいる中静かな表情で呟いたシャロンの様子をアリサは複雑そうな表情で見つめていた。



「うふふ、そしてこれがオズボーン宰相の生存を確認した肝心の理由なんだけど………制圧した”黒の工房”の監視カメラのデータを調べたら、どんなトリックを使って生き返ったのかわからないけど、『今年の11月に生きている鉄血宰相が”黒の工房”に出入りして工房の関係者達と会談を行っている様子の映像データ』があったのよ♪」

「!!」

「こ、『今年の11月に生きているオズボーン宰相の姿が確認されている』って……!」

「オジサンがクロウに討たれた日は今年の10月末で、それ以降の日付で生きている姿が確認されているんだからオジサンが今もどこかで生きている可能性は高いだろうね~。」

「ハハ……殺しても死なない御仁だとは思っていたが、まさか本当にその通りになるとはね………――――レン君、宰相殿は”黒の工房”と一体どんな取引を行っていたんだい?」

レンの説明を聞いたクレア大尉は目を見開き、トワは信じられない表情をし、ミリアムは静かな表情で呟き、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた後表情を引き締めてレンに訊ねた。

「”黒の工房”を取り込む為の交渉―――つまりは結社から”十三工房”の一角である”黒の工房”を奪って、エレボニア帝国に所属させて自身の”駒”にする―――つまり結社から”黒の工房”をヘッドハンティングをする交渉だったそうよ?」

「何ですって!?」

「け、結社の工房を奪って、エレボニア帝国に所属させるって……!」

「め、滅茶苦茶だ……!」

「オズボーン宰相はその”黒の工房”を使って何をするつもりだったんだろう……?」

「まさか結社から”十三工房”の一角を奪おうとしていたとは………それでその交渉は成立したのでしょうか?」

驚愕の事実を知ったサラ教官は厳しい表情で声を上げ、エリオットとマキアスは信じられない表情で声を上げ、シャロンは目を丸くして呟いた後真剣な表情になってレンに訊ねた。



「ええ、交渉は成立したみたいよ。―――だけど、運悪くその翌日にメンフィル軍による”黒の工房制圧作戦”が実行されて、苦労して結社から”黒の工房”を奪い取った鉄血宰相の努力はたった一日で水泡に帰したって訳♪うふふ、傑作なお話でしょう?せっかく偽装していた自分自身の死が嘘であった事が判明した上、苦労して結社から奪い取った”黒の工房”も潰されたんだから♪鉄血宰相にとって、レン達メンフィルは”疫病神”でしょうね♪自分のやった事のほとんどが、メンフィルによって全て裏目に出ちゃったんだから♪」

「…………………レン皇女殿下、”黒の工房”がメンフィル軍によって制圧されて以降宰相閣下は”黒の工房”を訪れなかったのでしょうか……?」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの感想にその場にいる多くの者達が複雑そうな表情で黙り込んでいる中クレア大尉がレンに訊ねた。

「ええ、”黒の工房”を制圧された事を知った結社が奪還に来ることを警戒しているメンフィル軍が今も周辺の哨戒を行っているけど”黒の工房制圧作戦”の前日以降姿を現していないとの事よ。」

「オジサンは今は一体どこで、何をやっているんだろうね~?」

「少なくてもロクでもない事をやっている事は確実でしょうね。何せ結社に所属していた組織を奪い取る交渉をしていたんだから。」

「………………宰相殿が今も生きている可能性がある事は理解した。レン君、先程のガイウス君の質問――――『自身の配下に内戦の状況を調整させていた』とは一体どういう事なんだい?」

レンの答えを聞いた首を傾げているミリアムの疑問にサラ教官は厳しい表情で自身の推測を答え、重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込んでいたオリヴァルト皇子は目を見開いてレンに質問をした。

「ああ、その件。うふふ、実はレン達メンフィルはルーファス・アルバレアが存在自体が謎だった”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の”筆頭”であった可能性があると疑っているのよ。」

「な――――」

「え…………」

「ル、ルーファスさんが”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の”筆頭”である可能性があるって……!」

「い、一体どういう事なの!?」

驚愕の事実を知ったオリヴァルト皇子は絶句し、クレア大尉は呆け、マキアスとアリサは信じられない表情をし

「ミリアム達はレン皇女殿下の話に出て来たミリアム達の”筆頭”については何も知らないのか?」

「うん、ボク達の”筆頭”がいる事はオジサンから聞いていたけど、それが誰なのかオジサンはボク達にも教えてくれなかったんだ~。」

「ルーファス卿が”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の”筆頭”である可能性があるって言っているけど、その根拠は一体何なのかしら?」

ガイウスに訊ねられたミリアムは静かな表情で答え、サラ教官は真剣な表情でレンに訊ねた。



「うふふ、実はリィンお兄さんがルーファス・アルバレアを討ちとった時に討ち取られたルーファス・アルバレアが死に際に漏らした言葉を聞いたらしくてね。で、その死に際に漏らした言葉の内容が少なくてもルーファス・アルバレアが”革新派”に所属している事を示す言葉だったのよ。」

「リィンさんが…………」

「………ちなみにその死に際に漏らした言葉って、どういう内容なのかしら?」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの説明を聞いたエマが複雑そうな表情をしている中セリーヌは目を細めてレンに訊ねた。

「『申し訳…………ん……オズ……………閣下……』―――それがルーファス・アルバレアが最後に呟いた言葉よ。」

「『オズ……閣下』って………」

「エレボニアの有力人物で”オズ”の名前がある人物は一人しか思い当たらないな………」

「”鉄血宰相”ギリアス・オズボーン……だね。」

ルーファスが死に際に漏らした言葉を知ってある事を察したエリオットは不安そうな表情をし、重々しい様子を纏って呟いたラウラに続くようにフィーは静かな表情で呟いた。



「ええ、レン達もその可能性が非常に高いと思っているわ。ルーファス・アルバレアは貴族連合軍の”総参謀”を任せられる程様々な能力は高いのだから、様々な優れた能力を持つ”鉄血の子供達(アイアンブリード)”を束ねる”筆頭”であってもおかしくない話でしょう?」

「それは………………」

「仮にルーファス卿が”鉄血の子供達(アイアンブリード)”だとして、何でルーファス卿は”貴族派”に所属していたんだ……?」

レンの推測に反論できないクレア大尉は複雑そうな表情で黙り込み、トヴァルは困惑の表情で考え込んでいた。

「あら、わからないかしら?―――”貴族派”に”貴族派”の重要人物になれる程の自身の配下を送り込んでおけば、内戦が勃発した際その人物が貴族連合軍を指揮できる権限も貰えるのだから、その人物が貴族連合軍を指揮して、正規軍、領邦軍共に被害を最小限に抑えられるじゃない。」

「あ…………っ!」

「まさか既に貴族連合軍に制圧された正規軍の被害はそれ程大した事はないのですか?」

レンの指摘にトワは声を上げ、シャロンは真剣な表情でレンに訊ねた。

「ええ、驚いた事に正規軍の死者の数は敗戦したとは思えない程軽微で、特に指揮官に関してはヘイムダルの警備を担当していた”第1機甲師団”を除いて全員生存している事が確認されているわ。―――しかも”猛将”と称えられているオーラフ・クレイグ中将や”光の剣匠”と並ぶ武人―――ゼクス・ヴァンダール中将に”領邦軍の英雄”と称えられているオーレリア・ルグィン将軍やウォレス・バルディアス准将を一度も交戦させていないなんて、おかしな話でしょう?」

「それは…………」

「確かに正規軍の中でも精鋭部隊の第三や第四を率いる”紅毛のクレイグ”や”隻眼のゼクス”を制圧する為に、”黄金の羅刹”や”黒旋風”をぶつけないなんておかしな話だよね~。」

「ハハ、なるほどね………『自身の配下に内戦の状況を調整させていた』とはそういう事だったのか………」

レンの問いかけにアルゼイド子爵は真剣な表情をし、ミリアムは静かな表情で呟き、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた。



「さてと、色々と話が逸れちゃったけど………結局”Ⅶ組”のみんなはどうするのかしら?」

「ど、”どうする”って言われても………私達が”特務部隊”の指揮下に入る事が書いてある和解条約も既に調印されているのだから、私達は”特務部隊”の指揮下に入る事が義務付けられているんじゃないんですか……?」

レンに問いかけられたアリサは困惑の表情で答え

「あら、緩和条件にも”Ⅶ組”は”特務部隊”の指揮下に入る事に対して拒否権を発動できる事もちゃんと書いてあるから、”Ⅶ組”のみんなは”特務部隊”の指揮下に入る事を拒否できるわよ。」

「へ………」

「確かに第五条にも緩和条件があって、その内容が『特務部隊はトールズ士官学院特科クラス”Ⅶ組”が特務部隊の指揮下に入る事に対しての拒否権の行使を認める事並びに”Ⅶ組”が特務部隊の指揮下に入る事を了承した際は特務部隊は”Ⅶ組”の意見も聞き、その意見が有用な内容ならば取り入る事。また、”Ⅶ組”が特務部隊の指揮下に入る事に対して拒否権を発動した際メンフィル帝国は”Ⅶ組”に”軍資金”として7億ミラを贈与する』と書いてあるから、”Ⅶ組”のみんなは”特務部隊”の指揮下に入る事に対しての拒否ができるね……」

「しかも”軍資金”として7億ミラまでわたし達にくれるって、どういう事?」

レンの指摘にマキアスは呆け、ジョルジュは和解条約書を確認して呟き、フィーは不思議そうな表情で首を傾げてレンに訊ねた。



「うふふ、アルフィン皇女がシルヴァンお兄様達に嘆願したお陰でその緩和条件が追加されたそうよ。で、7億ミラは”学生”の為だけに頭を下げたアルフィン皇女を評価したシルヴァンお兄様の配慮で軍資金をあげる事にしたそうでね。軍資金の金額は”Ⅶ組”だから、7億ミラにしたとの事よ♪」

「アルフィンが………」

「”Ⅶ組”だから7億ミラにしたって、メンフィルの金銭感覚って一体どうなっているのよ……」

「こんなことになるんだったらボク達の組をもっと数字が高い組にしておけばよかったね~。そしたら、もっとたくさんの軍資金を貰えたかもしれないし。」

「よく君はこの状況でそんな呑気な事が言えるな………」

レンの説明を聞いたオリヴァルト皇子は驚き、サラ教官は疲れた表情でため息を吐き、マキアスは呑気な発言をしたミリアムの言葉を聞いて脱力した。

「……レン皇女殿下。オレ達を指揮下に置こうとしている”特務部隊”の人達は一体どういう人達なんだ?」

「うふふ、そう言えばまだ肝心の”特務部隊”のみんなを”Ⅶ組”のみんなに紹介していなかったわね。すぐに呼ぶからちょっと待っててね。――――こちら、レン・H・マーシルン――――」

ガイウスの疑問を聞いて小悪魔な笑みを浮かべたレンは通信機を取り出してある人物と通信をした。そして数分後扉がノックされた。

「―――レン皇女殿下、”特務部隊”、参上致しました。」

「ご苦労様。全員部屋に入って。」

「――――失礼します。」

そしてレンの許可が出ると扉が開かれ、白を基調とした真新しい軍服を身に纏ったリィンを先頭に”特務部隊”の隊員達が全員部屋に入室した―――――




 
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