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星河の覇皇

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第六十三部第四章 閣議決定その十八

「六十五点の提督達をです」
「百人置いてか」
「一人の名将に対します」
 これが八条の考えだった。
「そうします」
「成程な、百人の六十五点の提督か」
「確かに理想は百点であるべきです」 
 八条もこのことはわかっていた、完璧であるに越したことはないというのだ。
「しかし現実問題としまして」
「百点の提督を百人置くことは無理か」
「天才は百人もいません」
「その分野で転載が同時にそれだけ出ることはな」
「有り得ません」
 それこどだ、到底というのだ。八条は天才と呼ばれる存在についてキロモトにこの歴史上の天才の名前も出した。
「モーツァルトは一時代に二人も出ません」
「天才は、な」
「秀才も。九十点ともなりますと」
「出ないな」
「おいそれとは」
 それで、というのだ。
「ですから六十五点です」
「その点数の提督達を育てていくか」
「そして相手に対します」
「そういうことか。名将ではなく凡将か」
「連合軍に必要であるのは」
「凡将と言うと聞こえが悪いがな」
「要するに普通のことを普通にしてくれる提督です」
 それが凡将だというのだ、八条はこの言葉を決して悪い意味で使ってはいなかった。むしろ肯定的にさえ使っていた。
「それが凡将なので」
「だからだな」
「はい、凡将でいいのです」
 またこう言うのだった。
「連合軍に必要であるのは」
「普通に戦える提督か」
「普通のことを普通に出来る」
 それが、というのだ。
「そうした人材を連合軍は尊んでいます」
「成程な」
「連合軍は練度を指摘されていますが」
「訓練についてだな」
「確かに訓練の時間は少ないです」
 八条もよくわかっていることだった、このことは。
「お世辞にもです」
「あまり訓練はしていないな」
「実戦訓練は」
 実際にその時間は少ないというのだ。
「していません」
「だから実戦に対してはな」
「どうしても劣ります」
 実戦における能力は低いというのだ、それは何故かというと。
「軍規軍律への教育、市民との交流に災害救助訓練」
「そうした訓練の方に時間を割いているからだな」
「実戦訓練に関しましては」
 そちらはなのだった。
「どうしてもです」
「あまりしていないな」
「ですから」
 それで、というのだ。 
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