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魔法少女リリカルなのはエトランゼ(異邦人) 再構築

作者:ケン009
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2部 P・T事件
5章 宿命が閉じるとき
  時の庭園での死闘

 なのはたち三人は、時の庭園入り口にいた傀儡兵を全て倒すと、
急ぎ内部へと向かった。
途中、傀儡兵が何度か襲い掛かってくることもあったが、クロノとなのはは特に問題なく倒していった。
傀儡兵にも強い個体がいるのだが、いくら強いといっても簡単な命令しか受け付けない物体にフェイトとの戦闘で経験つんだなのはとユーノそしてアースラの切り札と言われているクロノの前にばったばったと倒れて行った。
傀儡兵を倒しながら三人がしばらく走っていると、
さらに奥へと続いていく扉があった。
その扉を三人の先頭を走っていたクロノは、
走る勢いそのままに扉を蹴り開ける。
扉をくぐると、そこは広い空間となっており、大量の傀儡兵がいた。
 大量の傀儡兵の多さに、なのはとユーノは集中をしていたが、クロノはは落ち着いた表情で辺りを見渡す。

「ここで二手に分かれる。なのはたちは最上階にある駆動炉へ向かってくれ」

「クロノくんは……?」

「僕はプレシアの所へ行く。それが仕事だからね」

 クロノはなのはの質問に力強く頷く。
そんなクロノに微笑みを返すが、すぐに表情を引き締める。

「でも、そっちには多分なぞのあの人がいるよ・・・」

「大丈夫。そちらもたくさんの傀儡兵がいると思うから気をつけて」

「うんそうだね。すぐにそっちに行くからね」

「あぁ期待している」

 話を終えると、クロノは気合いをこめながら叫ぶように声を上げる。

「僕が道を作るっ! その隙にっ!」

「わかった!」

「了解!」

 なのはとユーノの返事を聞くと、クロノは自身のデバイスであるS2Uを構え、

『Blaze Cannon』

 クロノが砲撃魔法を放ち、上層へと続く道を塞いでいた傀儡兵を吹き飛ばす。
なのはは心の中でクロノに称賛の声を上げる。
なのはは隣にいるユーノと頷き合い、クロノが空けてくれた道へと飛翔しながら向かった。

「気をつけてね、クロノくんっ!」

 心配しながらなのははクロノに話しかけていた。
大丈夫という表情をなのはに向けながら行き先を見据えていた。
そして、なのはとユーノの姿が見えなくなると、クロノは残りの傀儡兵に向かって叫ぶ。

「悪いが、無駄な時間をすごしたくない通らせてもらう!!」

 クロノは魔力スフィアを生成しながら、傀儡兵へと突っ込んでいった。 

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 クロノたちが時の庭園で戦いを繰り広げている頃、
リンディを含め、アースラの局員たちはジュエル・シードの暴走を止めるべく、対処の励んでいた。
そして、その騒がしいアースラの病室に二人の少女がベッドに寝かされていた。
先ほどの戦いでプレシアの次元魔法を受けた綾と母親であるプレシア・テスタロッサから決別を言い渡され、絶望の淵に立っているフェイト・テスタロッサである。
その瞳からは今まで感じられていた力などなく、ただ虚空を彷徨っているだけであった。
そして、そんな二人を心配そうに見つめている一人の人物の姿もあった。

「あの子たちが心配だから、綾だったっけあの子達を助けてくるよ
そしてフェイトすぐに帰ってくるから
終わったらゆっくりでいいからわたしの大好きな、
本当のフェイトに戻ってね。
これからは、フェイトの時間は全部、フェイトが自由に使っていいんだからさ
ちゃっちゃっと戻ってくるから」

 アルフは話を終えると、
フェイトを心配そうに見つめながらもなのはたちの手助けをするために、部屋を後にした。

 それからしばらく時間が過ぎたころに綾の目がうっすらと開いた

「ぐっ」

見慣れない天井だ・・・
ここは医務室みたいだな
俺ってよく倒れている気がするのだが・・・

[ティア生きてる?]

[それは私のせりふです綾様。
大丈夫ですか?]

[不死身は専売特許だからね。
確認したい今どんな状態]

[かくかくしかじか]
 
[ふ~ん。隣で眠ってるのはフェイト?]

[ええ、どうするんですか?]

[クロノとゼロが戦ったらまぁ十中八九負けるだろうなぁ
いくらやると言っても奴はノータイムで撃てるからね]

[でも現れないのでは]

[そうかもしれないよね
でもここまでしてくれた落とし前してもらわないとね
現れないなら厄介ごとがなくなるからそれでいいんじゃないかな]

[こちらはいつでも動けますよ]

[ん!了承]

 ティアと話し終えたのでベッドから起きていると
焦点が合ってないフェイトを見かけた。

「聞こえてなくても聞こえていても良いや
なのはは君を気にしているけれど私は君とはほとんど接点がない
だから一言だけ言っておくね
そのまま寝ているのも
起きて一緒に行くのもフェイトの自由だと思う」

 相変わらず焦点が合ってないでもきっと届いているはず。

「でもきっとフェイトはそのままだと誰かに言われないと動けない人になると思う。
時間がかかってもいい、出来れば現場に行って君の言葉をあの人に伝えてほしいかな
そうそうなのはが言っていたっけ
「捨てればいいってわけじゃない、逃げればいいってわけじゃもっとない」ってそれじゃ私は言いたい事いったし行くね
人生に絶望するには君は若すぎるよ
選ぶのは君だ
んじゃあね」

そうして俺は医務室から出て少しだけフェイトをまった。
そして独り 言のように
自分に言い聞かせるように言葉が聞こえてくる

「何度もぶつかった、真っ白な服の女の子。
まっすぐに向き合ってくれた女の子
何度も出会って、戦って、何度もわたしの名前を呼んでくれた。
何度も、何度も・・・
そう確かにあの白い服の女の子は言っていた」

(――捨てればいいってわけじゃない、逃げればいいってわけじゃ――もっとない)

 フェイトはベッドから静かに降り立ち、
その手に破損したバルディッシュを優しく握り、話し掛ける。

「わたしたちの全ては、まだ始まってもいない。
そうなのかな、バルディッシュ?」

 主の言葉に答えるように破損している状態にも関わらず、
ミシミシという音を出しながら起動状態となった。
主であるフェイトの背中を押しているようであった。

「Get set」

「バルディッシュ・・・?」

 そんなバルディッシュの姿に、フェイトは涙を流しながらバルディッシュを自身の胸に抱きかかえる。

「そうだよね。バルディッシュもずっとわたしの傍にいてくれたんだよね。
お前も、このまま終わるなんて、嫌だよね?」

 バルディッシュはフェイトの言葉に返事をするように、強く明滅する。
すると、フェイトは涙を拭き、バルディッシュを構える。

「上手く出来るかわからないけど、一緒に頑張ろう」

 フェイトは、静かに、だが力強く言葉を放つと同時に、
自身の魔力を両手に込める。すると、
あっという間にバルディッシュが修復された。
そして、漆黒のバリアジャケットを纏い、その上からマントを羽織る。
 

「わたしたちの全ては、まだ始まってもいない。
だから、本当の自分を始めるために、今までの自分を終わらせよう」

不意に医務室の扉が開いてフェイトはびっくりしているようだった。

「決心はついた?」

「私もいくよ」

「そう?ならあそこまで私もつれてってくれないかな」

「うん」


 時の庭園内部

 なのはとユーノ、そして二人と合流したアルフは駆動炉を目指し、最上階を上がっていた。だが、最初は順調であったが、駆動炉が近づくにつれ、傀儡兵の数が多くなり、三人は苦戦を強いられていた。
なのはは射撃魔法を放ち、次々と傀儡兵を撃破していくが、
多勢に無勢
倒しても倒しても現れる傀儡兵に精神的に疲れが来ていて苦戦していた。

「くっそっ、数が多いっ!」

「だけならいいんだけど……っ!」

「なんとかしないと……」

 そう、傀儡兵の力は一体が魔導師ランクAほどの実力があり、そう簡単には倒せるような強さではない。
いくらなのはが才能豊かで魔術師としても経験を多少つんだからといっても焦りがあせりを呼んでいた。

「あっ!?」

 なのはは焦りと疲れから周囲を見渡すのを少しはずしていた。
その瞬間、
ユーノがバインドで捕獲していた一体の傀儡兵が拘束を破り、なのはへと襲い掛かった。
その光景に、ユーノは他の傀儡兵を抑えながら叫ぶ。

「なのはっ!!」

「っ!?」

 ユーノの声を聞き、なのはが背後へと振り返るが、傀儡兵が持つ戦斧はなのはの目の前へと迫っていた。
その光景に、ユーノとアルフは焦ったように目を見開き、何かを叫んでいるが、なのはには何も聞こえなかった。

(だめ、避けれないっ!)

 なのははすぐ訪れるであろう衝撃に耐えるように、思わず目をぎゅっと閉じる。
だが、その衝撃が訪れることはなかった。


『Thunder Rage』
「サンダーレイジッ!!」
『怒龍爆炎獄(ナパーム・デス)』

 その叫びとともに、なのはの周りが金色と赤い光に満たされた。
それは雷撃と爆炎の炎球が飛び散っていった。
その攻撃により、なのはに襲い掛かってきた傀儡兵を含め、
三人の周囲にいた傀儡兵までも粉砕された。
なのははその雷撃と爆炎の発生源を見つめる。
そこには、美しき金髪の少女、フェイト・テスタロッサの姿と
級友でもある銀髪の少女 南條 綾の姿があった。

「フェイト……っ!?」

 アルフがフェイトの姿を視認し、驚きの声を上げる。
フェイトは叫ぶアルフへと少し視線を向けた後、なのはの傍へと移動する。
その表情には、まだ戸惑っているように感じられた。
そんなフェイトになのはは何かを言おうとするが、

ドゴンッ! と、轟音が響き渡り、周囲が振動した。

 なのはとフェイトがはっと、音がした方へと視線を向けると、そこには今まで見てきたものの中で
一番の大きさを誇る傀儡兵が壁を破壊し姿を現した。

「お二人さん話は後々、あれをどうにかしないと」

「もう綾ちゃんも心配したんだから」

「ありがと、フェイトを連れてきたから心配もチャラにしてね。あでも連れてきてもらったのは私の方かな」

 なのははフェイトと綾に向けていた意識を大型の傀儡兵へと向け、レイジングハートを構える。
すると、フェイトが大型傀儡兵へと視線を向けながら、静かに口を開いた。

「大型だ、バリアが硬い。――だけど、二人なら」

「っ!? ――うん! うん!」

 なのはは一瞬何を言われたのかわからなかったのか、ポカンとした表情となっていたが、すぐに喜びの表情を浮かべた。

「周囲にいるガラクタは私が掃除しておくから出来るよねティア!」

「もちろんです」

「「うん」」

「いくよ、バルディッシュ!」

『Get set』

「こっちもだよ、レイジングハート!」

『Stand by ready』

 二人は同時に射撃体勢に入る。
すると、大型傀儡兵が肩に備え付けている砲塔から、
砲撃魔法を放とうとしていた。
だが、それよりも早く、二人は攻撃の準備が整った。

「サンダースマッシャー!!」

 フェイトが突き出したバルディッシュの先端から金色の魔力が放たれ、雷撃を纏った砲撃が大型傀儡兵へと直撃する。
大型傀儡兵はフェイトの攻撃を受け、少し怯んだものの、
その硬い防御力を持ってフェイトの攻撃を防ぎきった。

「ディバインバスター!!」

なのはがフェイトとは反対側から砲撃魔法を放った。

「「せーーっの!!」」

そして、二人の声が重なり、金色の砲撃魔法と桃色の砲撃魔法はさらに威力を上げ、その攻撃は大型傀儡兵をいとも簡単に飲み込んだ。
その攻撃力は、言わずもがなであった。

「フェイトちゃん!」

「……ん」

 なのはが笑顔でフェイトの名前を呼ぶと、フェイトも少しだけ微笑んでいた。

「フェイトーー!!」

 そんな二人のやり取りとは関係なく、
狼形態から人間へと戻ったアルフがフェイトへと抱きついた。
その瞳には涙が浮かんでおり、フェイトが元気になったことを心の底から喜んでいた。

「アルフ・・・心配かけてごめんね。
ちゃんと自分で終わらせて、それから始めるよ。「本当のわたしを」」

「うん、うん……っ!」

 フェイトの胸で泣いているアルフに、フェイトはアルフを抱きしめながら話した。
そんな二人のやり取りを、なのはは少し涙を浮かべながら見つめていた。

「綾ちゃんは大丈夫なの?」

「てっきり感動シーンで私忘れられているかと思ったわ
私は大丈夫だよ
あれぐらいの砲撃でやられる私じゃないって
急だったから対応が遅れただけだし平気だよ」

「凄く心配したんだよ」

「本当にありがとう
時間があまりないかもしれないから
積もる話は終わってからにしよう」

「「「うん」」」

 そんな感動の再会の後、なのは、フェイト、綾、ユーノ、アルフの四人は駆動炉へと急いだ。
途中、やはり傀儡兵が襲い掛かってきたが、
今のなのはパーティに勝てる者など、いるはずもなかった。
 そして、行く先を塞いでいた扉を吹き飛ばすと、
5人は大きなホールへと足を踏み入れた。

「あのエレベータに乗っていけば、駆動炉に辿り着ける」

「うん、ありがとう。……フェイトちゃんはお母さんのところに行くんだね?」

「うん」

「フェイト聞きたいことがあるゼロはどこにいるの」

「きっと母さんの近くにいると思う
でもあまり良くわからない」

「そっか」

「なのは、とユーノは最初の計画通りでお願いできるかな」

「うん、綾ちゃんは?」

「ん~ゼロがきになるからフェイトと一緒に行くね」

「うん、やみ上がりだから気をつけてね」

「ありがとうそちらもまだ傀儡兵いるから気をつけてね
余裕であしらってそちらを手伝うからそれまで気をつけてね」

「うん、綾ちゃんもね」

「ユーノもサポートよろしくね」

「綾さんも気をつけてください」

「そんなに心配しなくても大丈夫元気な姿で戻ってくるから」

 心配そうななのはにそうは無し
話を終えたのを見たユーノが叫ぶように話してきた。

「ん、了解。今、クロノが一人で向かってる。急がないとっ!」

「じゃあ、急ごう」

ユーノの言葉にフェイトは頷きを返すと、
なのはたちと別れ、フェイトとともにプレシアたちの下へ向かった。


 ――一方その頃――

 クロノはプレシアの下へと急いでいた。途中には大量の傀儡兵がいたが、クロノは問題なくそれらを撃破していった。
 もう少しで、プレシアの下へと辿り着くところまできていた。

「エイミィ、状況は……?」

『なのはちゃんとユーノくん、駆動炉に突入っ!
綾さんとフェイトちゃんとアルフは最下層へ。大丈夫、いけるよ、きっと』

「ああ、そうだなっ!」

 エイミィと会話しながらもクロノは襲い掛かってきた傀儡兵を蹴散らしていく。

『クロノくんの方は大丈夫?』

「大丈夫だ。傀儡兵なんかで苦戦なんかしていられないからね
それに女の子ががんばっているんだからこれぐらいしないとね」

 心配そうに質問してくるエイミィに言葉を返しながらも、
クロノは走るペースを落とさない。そうしてしばらく走っていると、今までで一番大きな扉が見えた。
クロノは立ち止まり、扉へと手を掛け、そこで一度動きを止める。
そして最後のステージに行こうとしていた。 
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