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マイ「艦これ」「みほ2ん」

作者:白飛騨
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第46話<Hey、提督ゥ>

 
前書き
司令がようやく鎮守府に戻ると艦娘たちも悲喜こもごもだった。そして新しい動きがあった。
 

 

「比叡が、いろいろ世話になったネ」

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マイ「艦これ」「みほ2ん」
 第46話 <Hey、提督ゥ>(改)
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 私たちの乗った軍用2号車は鎮守府の正面玄関に戻る。
車を降りると私は改めて本館の建物を見上げた。

正面玄関は北側に面しているから午後になるとちょうど日が陰る。
「もう午後か」

日向も降りてきた。

 青葉さんが言う。
「では青葉たちは車を戻してから後片付けをします」

「ああ、分かった。頼む」
私たちは敬礼をして車庫へと向かう二人を見送った。

 制帽を軽く持ち上げながら私は何気なく日向に言う。
「いやはや今日は大変な墓参になったな」

「そうですか」
艦娘には墓参と言ってもピンと来ないか。

「考えても見ろ。昨日は鎮守府埠頭や空軍の滑走路を大破。そして今日は境港の岸壁や幹線道路、公園などをボコボコにした」
「……」

「私が着任してからの美保鎮守府周辺には、ろくな事がない。境港の住民感情が悪化しなければ良いけど」

すると彼女は応える。
「今は戦争中ですから」

「……」
私は苦笑した。それを言われると身もフタも無い。ホントに日向も独特な子だよな。

 ただ彼女は昔からそうだ。

このドライな感じだからこそ戦場でも沈着冷静で居られるのだ。確か姉が伊勢で日向は末っ子のはずだが意外にしっかりしている。それで着実に戦果を上げられるのだろう。

私はふと、どうでも良いことを思い出した。
「お前は山城さんと姉妹なんだよな?」

「基本設計は同じですが……あまりそれを意識した事はありません。それが何か?」
「いや、良い」
ピンと着てない感じだな。

 私たちは鎮守府本館の玄関を入る。ロビーには、ちょっと疲れた顔の神通さんが居た。
(ああ、彼女はさっきまで鎮守府近海の掃海部隊を指揮していたな)

そんなことを思っていると神通さんが軽く敬礼をして声をかけてきた。
「司令」

「どうした?」
 私は彼女の顔を見ながら、この子は静かなタイプだが日向とは、また違った雰囲気があると思った。声は可愛いが意外にしっかりしてる。

「スミマセン司令。作戦は終了したのですが、あの子達は何か……なかなか収まりがつかないみたいです」

「第六駆逐隊のことか」
彼女は無言で頷く。

 私も正直どうすべきか分からない。だが彼女たちにとっては理不尽ともいえる命令を発して混乱させたのは私だ。この後始末は私が責任を持って付けるべきだろう。
「そうだな。対応については検討する。皆、良くやってくれた。有り難う」

「はい」
神通さんは軽く会釈をした。彼女の前髪が、ちょっと垂れ下がる……この娘も敬礼よりは、お辞儀の方が似合うタイプだ。

「失礼します」
そう言いながら立ち去る華奢(きゃしゃ)にも見える彼女の後姿を見ながら思う。

(神通さんは鳳祥さんみたいに奥ゆかしい感じか)

 艦娘ってのは個性的だ。活発な子、大人しい子。各人各様(かくじんかくよう)だ。それをバランスを取って配置していくことで部隊としての調和が取れていく。
鎮守府とは、それで良いのだろう。

 黙ってジッと待っていた日向を私は振り返る。
「待たせたね、行こうか」

「はい」
日向と一緒に階段を上がって作戦指令室に入る。

「うは」
思わず声が出た。窓が開け放してあるが室内はムッとして暑い。

 中のデスクにメモや書類をまとめている祥高さんがいた。やや疲れ気味の彼女は
私たちを見ると、ふらふらと立ち上がって敬礼をしかけた。

私は制した。
「いいよ、そのまま……大淀艦隊はどうなった?」

改めて腰をかけた祥高さんはメモを見ながら応える。
「14:15頃には戦闘が終結。轟沈は、ありません。大淀艦隊は大破6、中破4、小破2です。速力が低下していますので、まだ帰還していません」

「ご苦労だった」
半日とはいえ鎮守府周辺の、すべての応戦指揮を一手に担ったんだ。大変だったな。
彼女も足元がふらついているようだ。

 しかし墓参なら今日が良いと計画を立てたのは秘書艦だ。悪く言えば身から出た(さび)とも言える。

 でも私が着任する前に美保で、ここまで大規模な敵襲は無かったはずだ。
今回は深海棲艦側にも意外に情報収集能力があることを知り得たな。

 ただ気になるのは秘書艦だ。実は今回の墓参も何か作為的な……意図的に計画されたものを感じるのだ。気のせいかな?

悶々としている私に彼女は聞く。
「どうかされましたか?」

「いや」
別に今、私は妄想してたわけではないので後ろめたくはない。

(いろいろな疑念について今、まだ聞くべきではないか)

私は誤魔化すように聞く。
「お昼ご飯、まだだろ?」
「はい。でも、もう少し報告がございます」

彼女は続けた。
「今回は敵機動部隊2隻の空母のうち1隻を撃沈。残りは逃走しました」

私は少し驚いた。

「良く追い返したな」
意外に頑張ったじゃないか? 大淀艦隊。

「それが……」
そのとき指令室の無線機が割れんばかりの声を出した。

「Hey! 提督ゥ!」
比叡より軽い声が聞こえた。

「なんだ? これは」
この発音は……本物のハーフか?

まさか夕立2世なのか? いきなり筋肉痛が酷くなった心地がした。
「提督、聞えますかぁ? ワタシ金剛ね! よろしくデース!」

金剛……聞いたことあるぞ。
「比叡が、いろいろ世話になったネ」

いや、してない。

「いま周りの皆、ダメージマックスで足遅いネ。そっち着くのは少し待つネ」
元々軽い感じの無線機の音声が更に薄っぺらくなる。

「いや、慌てなくて良い。ゆっくり戻って来い」
つい返事をしてしまった。

「イエース!」
……軽いな。秘書艦が珍しく苦笑している。

 しかし、この金剛という艦娘には、妙に反発心が湧くのはなぜだ? さすが比叡の姉か。

祥高さんが続ける。
「神戸から着任の金剛です。軍令部からの指示ですが比叡のお姉さんに当たるとか」

比叡と同型の戦艦か……まてよ。それは、つまり足が速いということか?

祥高さんが補足する。
「火力、速力、防御力、全てにおいてバランスが取れています」

「なるほど、それは心強い」

だが私はふと隣に居る日向を見て山城さんを連想した。
「山城さんが、また落ち込まなければ良いけどな」

そう、さっきの龍田さんの説明じゃないけど山城さんって火力はあるけど基本的な足が遅いのが弱点だ。

(おまけに性格に難が……それは良いか)

すると急に日向が応えた。
「山城さんなら大丈夫です、司令」

「え?」
そのとき無線機に、また別の通信が入った。

 
 

 
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/

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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
 
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