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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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36部分:第三話 関羽、趙雲と死地に赴くのことその十一


第三話 関羽、趙雲と死地に赴くのことその十一

 そしてだ。今まさに山賊達のアジトに向かおうとする公孫賛のところにだ。報告が入ってきた。
「御報告申し上げます」
「山賊達のことか」
「はい、退治されたそうです」
「そうか、退治か・・・・・・何っ!?」
 夜の中剣を準備体操の様に振りながら驚いた声をあげた。
「終わったのか」
「はい、終わりました」
「いや、それでは私の出番は」
「なくなりました」
 実に素っ気無い返答だった。
「これで」
「そうか、なくなったのか」
 それを聞いて見ただけでわかるまでに落ち込む公孫賛だった。
「それでは白馬に乗って颯爽というのは」
「いつも通りです」
「いつも通りか。折角包丁まで用意していたのにな」
「あの、包丁は流石にまずいのでは?」
「ううむ、最近そちらの方が有名だからな」
 何故かこんなことも言うのだった。
「だからなのだが」
「その最近ですがそちらの方も何か」
「ううむ、弟だけでは駄目なのか」
 話が訳のわからない方向にいっている。
「しかし、そうか」
「はい、出番はなくなりました」
「何でいつもこうなるのだ・・・・・・」
 がっくりと肩を落とす公孫賛だった。何はともあれ山賊達は退治され娘も子供達も無事に村に帰された。そしてであった。
「じゃあまたな」
「縁があればまた会おう」
「その時に宜しくな」
 テリー達が関羽達に別れを告げている。丁度道の分かれめであった。
「俺達はこのまま旅を続けるが」
「君達もそうなのかな」
「今度は何処に行くんだ?」
「南に向かおうと思っている」
 関羽が三人の問いに答えた。
「これからは」
「そうか、南か」
「私達は東に向かうとするよ」
「青州だったな」
 こう話すのだった。
「じゃあそういうことでな」
「またね」
「うむ、機会があればまた会おう」
「楽しみにしているのだ」
 皆笑顔で別れた。そのうえで関羽達は南に向かう。一行の中には趙雲も加わっている。関羽はその彼女に問うのであった。
「いいのか?」
「何がだ?」
「いや、公孫賛殿のところを離れてだ」
 問うのはこのことだった。
「我々はまだ仕官するつもりはないが貴殿はだ」
「いい。公孫賛殿はどうもな」
「どうも?」
「悪い人物ではないし能力もそれなりにある」
「そうだな。悪人でも無能でもない」
 それは関羽にもわかることだった。
「それにネタとしても面白い」
「ネタか」
「だが影が薄い」
 趙雲が言うのはこのことだった。
「致命的なまでにな。何処にいるのかさえわからないのがいつもだ」
「気の毒な話ではないのか?それは」
「あれでは?何かをする以前のことだ」
 何気に厳しいことを言う。
「私に相応しい主は他にいる。その主を探す」
「そうするのか」
「そうだ。それにだ」
 その言葉はさらに続く。
「御主等とこうして一緒にいるのも悪くはない」
 笑みを浮かべての言葉である。
「だからだ。同行していいか?」
「拒む理由もない」
 関羽は微笑みながら述べた。
「それではだ。行くか」
「その言葉有り難く受け取らせてもらう」
 こうして一行は趙雲も加えて旅を続けることになった。そしてその先でまたしても新たな出会いが一行を待っているのであった。


第三話   完


                2010・3・24
 
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