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夢幻水滸伝

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第十一話 岐阜城にてその四

「戦いましょう」
「策は任せるだがや」
「お願いします、ただ」
「ただ?」
「先程三万と言われましたが」
 雅はここで兵の話をした。
「一つ問題があります」
「関東だがや?」
「はい、元々近江には素早く攻め込み北陸と連携して近江を手に入れてです」
 南北で割譲してというのだ、近江を。
「すぐに兵を関東への備えに戻すつもりでしたが」
「今はだがや」
「はい、関東は常に甲斐や駿河を狙っています」
 関東が隣接しているこの国々をというのだ。
「ですから」
「そちらの備えだぎゃな」
「三万の兵がいますが」
 しかしというのだ。
「彼等のうちの幾らかを関東との境に戻しましょう」
「さもないとだぎゃな」
「はい、攻め込まれます」
 その関東にというのだ。
「ですかわ」
「わかったぎゃ」
 坂口は雅のその策に確かな声で答えた。
「ではだがや」
「はい、兵を幾らか東に戻し」
「残った兵で岐阜城を守るだがや」
「そうしましょう」
「尾張から伊勢に攻めさせるつもりだった兵も戻すだぎゃ」
 彼等もというのだ。
「そうするだがや」
「それでは」
「それで、ですが」
 今度は滝沢が言ってきた。
「近頃関東と東北が関係を深めていますので」
「それで、だぎゃな」
「はい、連合してです」
 そしてというのだ。
「我々に向かって来るかも知れません」
「関東だけでも厄介だぎゃな」
「jはい、そこに東北も加わりますと」
「北陸が助けてくれますが」
 正宗も言ってきた。
「しかしです」
「わかってるだがや、東に送る兵だぎゃな」 
 その彼等の話もするのだった。
「多い方がええだがや」
「それではです」
 すぐにだ、雅は坂口に言った。
「二万を送りましょう」
「二万だがや」
「はい、すぐにです」
 三万の兵のうちのというのだ。
「そうしましょう」
「そうするだぎゃな」
「関東と東北の敵は我々だけです」
 地理的にだ、彼等と境を接しているのは東海そして北陸の連合だけだというのだ。つまり坂口達のことである。
「ですから全戦力を向けてきます」
「それで、だぎゃな」
「兵は多い方がいいです」
「二万だがや」
「そうしましょう」
「わかっただがや、ここに一万の兵を置いてだがや」
 坂口は即決した、そして正宗に対して言った。 
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