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夢幻水滸伝

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第十一話 岐阜城にてその二

 芥川は術で攻撃を浴びせ鉄砲も撃たせる、だが。
 滝沢は果敢に戦い彼等を寄せ付けない、そのうえで芥川に言った。
「ここは退きますが」
「それでもやな」
「まだ終わっていません」
 こう言うのだった。
「あくまでこの戦いだけです」
「そういうことやな」
「またお会いしましょう」
 芥川にこうも言ったのだった。
「次の戦場で」
「ああ、そしてやな」
「この雪辱晴らします」
 絶対にと言うのだった。
「必ず」
「そうか、ほなな」
「またお会いしましょう」
 術で障壁を張り自身の軍勢を守りつつだった、滝沢は芥川に告げた。そうして生きている者が全員戦場を離脱したのを見て彼も馬首を返した。106
 その彼等を見て部将の一人が芥川に己の意見を言った。
「追いましょう」
「いや、止めておくんや」
 芥川は彼のその案を退けた。
「充分やっつけた、それにや」
「それに?」
「相手は騎馬隊や、追いつくのは難しいしや」
 それにとだ、芥川は部将に答えた。
「下手に追ったら伏兵とかおってな」
「逆に討たれるからですか」
「そやからな」
「ここは、ですか」
「充分以上に叩いたさかいな」
 敵の軍勢をというのだ。
「今はええ、夜やし余計に伏兵を仕掛けやすい」
「迂闊には追うなということですか」
「そや、ここは兵をまとめてや」
 そうしてというのだ。
「綾乃ちゃんや中里と合流してな」
「そうしてですね」
「勝鬨をあげるんや、戦には勝った」
「勝鬨ですか」
「それで休んでから次の戦の用意や」
 それに入るべきだというのだ。
「ええな」
「岐阜城ですか」
「あの城を攻めますか」
「関ヶ原でも勝ちましたし」
「だからですね」
「そや、戦はこれで終わりやない」
 芥川は関ヶ原だけを見ていなかった、次の戦のことそしてそのまた次の戦のことも考えていた。そしてだった。
 そのうえでだ、こう言ったのだった。
「休憩と戦の後始末の後で岐阜城に向かうで」
「わかりました」
「ほなそうしましょか」
「ああ、岐阜城の後は美濃全体を手に入れて尾張や」
 そう移っていくというのだ、こう話してだった。
 芥川は自分が率いていた兵達をまとめそうして綾乃、中里及び彼等が率いていた兵達とも合流して勝鬨を挙げた、関ヶ原の戦は関西の勝利に終わった。
 勝った彼等は一旦休息に入った、だが。
 敗れた東海の者達は違っていた、彼等はというと。 
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