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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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336部分:第二十八話 ミナ、一行に加わるのことその一


第二十八話 ミナ、一行に加わるのことその一

              第二十八話  ミナ、一行に加わるのこと
 神楽は少し楽屋裏に出た。そこにいたのは。
 白い髪に長い腰巻を着けて上は短いブラを思わせる服を着た褐色の肌の女だった。白地に青で縁取りをしているのが見事に映える。
 顔立ちは整っている。静かで楚々としたものすらある。その少女が神楽の前に来たのである。
「真鏡名ミナよ」
「それが貴女の名前なのね」
「ええ」
 神楽の言葉にこくりと頷いて返す。そのうえで傍にいる犬に似た小さい生き物を見て言う。
「これはチャンプル」
「シーサーね」
「シーサーを知ってるの」
「沖縄の神の使いね」
 こうその少女ミナに言ってみせたのである。
「そうね」
「沖縄じゃない」
 だがミナはそれを否定したのだった。そして言うことは。
「琉球。私の国はそこなの」
「ああ、そうだったわね」 
 ミナに言われて神楽も微笑んで返した。
「沖縄の昔の名前はそうだったわね」
「私はそこから来たの」
 また話すミナだった。
「この国に」
「そうなのね」
「貴女はヤマトンチューね」
 今度はミナからの言葉だった。
「そうね」
「そうよ。そちらの人間よ」
 神楽はミナに話を合わせてこう言った。
「そこからこの世界に来たの」
「やっぱり。そうなのね」
「時代は違うけれど」
 このことは前置きした神楽だった。
「それでもそこからその国に来たの」
「私は妖術師なの」
 ミナはこのことも神楽に話した。
「貴女の国じゃ巫女と呼ばれる存在ね」
「そうね。そのシーサーも一緒だし」
「感じるの、この国には」
「貴女もなのね」
「よからぬ存在が集まってきている」
「ええ」
 二人は顔を真剣なものにさせていた。そのうえで話をするのであった。
「確かにね。集まっているわ」
「だからここに来たの」
 また言うミナだった。
「貴女達のところに」
「そう、私達のところに」
「今は何かしているから後で」
「そう、後でね」
「貴女のお友達とも話をさせてくれるかしら」
「勿論よ」
 神楽は真剣な面持ちでミナの言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「ええ、それじゃあね」
「その時にまた会いましょう」
 こうミナに話す。
「それじゃあ。今は私達のやるべきことをやるから」
「応援しているわ」
 ミナはここで微笑んでみせてきた。優しい笑顔である。
「ミナという名前はね」
「ええ。何かしら」
「笑うっていう意味なの」
 こう言ってみせたのである。
「だから私笑うの好きなの」
「ミナで笑う。ということは」
「何なの?」
「貴女は確かに琉球の人だけれどアイヌの血も入っているのね」
 神楽にはすぐにわかることだった。彼女の知識の中にあったのだ。
 
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