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魔術師ルー&ヴィー

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第一章
  XⅧ


 空には夕の紅と夜の藍が重なりあう。月がその光を誇示し始め、その光に星々が従うように瞬いている。
 塔の前では、グスターフが中に赴いて半時程が経っていた。三人はそれぞれ黙していたが、ふとヴィルベルトが師へと問い掛けた。
「師匠…グスターフさんが言ってたことって…。」
「あれか。ありゃな、謂わば妖魔にとって死の魔術だ。魔術によって妖魔になったんだから、その逆をすれば全てが分解しちまう。」
「それじゃ…。」
 ヴィルベルトは眉を潜めた。その意味をやっと理解したという風である。
「そうだ。あいつ…終らせろと俺に言ったんだよ。」
 師の答えに、ヴィルベルトはただ俯いた。隣に立つウイツも居た堪れないと言った様子であったが、何かに気付いて上を見上げると、塔の最上階より何かが落ちてくるのが見えた。
「おい、ルー…」
 そう言ったルーファスを呼ぶより早く、それは目の前の地面に叩き付けられた。
 叩き付けられたそれは…グスターフであった。頭は割れて手足は有り得ぬ方向へと曲がっており、ヴィルベルトはそれから視線を逸らした。だが、ルーファスがそれを見ていると、さして時を経ぬうちにその体は修復され、グスターフは何事もなかった様に立ち上がったのであった。
「済まない。嫌なものを見せてしまったな。」
「お前…大丈夫なんか?」
 ルーファスが問うと、グスターフは「どうと言うことはない。」と返し、そしてこう付け足した。
「そんなことを話している時ではない。妻が来るぞ。」
「どう言うことですか?」
 師の後ろよりヴィルベルトが問うと、グスターフは溜め息を吐いて返した。
「私と共にあってほしいと言ったら、何故か怒りだしたのだよ。」
 グスターフがそう言うと、ルーファスらは深い溜め息を吐いた。
「お前なぁ…始めからしっかり説明したんか?」
 呆れ顔でそうルーファスが問うと、グスターフは怪訝な表情を浮かべて返した。
「いや…通じると考えていたのだが…。」
 その答えに、三人は再び溜め息を洩らした。そして、今度はウイツがグスターフへと言った。
「グスターフ殿…何故こうなってしまったかの説明はしたのですか?」
「…言い訳は男らしくない。」
 その答えに、ルーファスは苛ついてグスターフに怒鳴った。
「そうじゃねぇだろ!恋や愛なんてぇのは神聖な反面、すげぇ泥臭ぇもんなんだよ!セシルはお前の泥臭ぇ言い訳がほしかったんじゃねぇのか?こんなんなっても一緒に居てぇんだったら、どんなに罵られようがセシルが納得すんまで言い訳してやりゃ良いんだっつぅの!ま、どんな女でもって訳にゃいかねぇけどよ。」
 ルーファスにそう言われたグスターフは、眉間に皺を寄せて考え込んでしまった。どうやら、こういった事態を想定していなかった様である。
 その時、彼らの前に靄の様なものが集まり出したため、ルーファスらは身構えた。それがセシル…ミストデモンだと分かったからである。
 だが、ミストデモンは人に憑かねば力を行使することは出来ないため、一先ずは結界を張っただけである。
「おい、セシルが来たぞ。」
 ルーファスはそう言い、グスターフに説明を促した。当のグスターフは未だどうしたものか思案に暮れていたが、そんな彼にセシルが話掛けた。
「この方々と共に来て…よくもぬけぬけとあの様なことを…。」
「それは誤解だ。セシル、この方々は私がわざとここへ招いた。それは、君とのことを見届けてほしかったからだ。」
「嘘だ!」
 セシルがグスターフの言葉をそう強く否定するや、凄まじい邪気が放出され、ルーファスらは危うく吹き飛ばされそうになった。グスターフに至っては、少し離れていたルーファスの前まで飛ばされていたが。
「セシル、聞いてくれ!私には君しかいないんだ!君だけを愛しているんだよ!」
 グスターフは叫んだ。それは公爵としてではなく、紛れもなく一人の男としての叫びであった。
 だが、セシルから吹き出す邪気は止まることはなかった。
「今更です…。あの時、私は裸で追い立てられたも同然。そしてこの様な姿に成り果て、何故に愛などという不確実なものを信じられましょう?」
 口調は丁寧だが、それとは裏腹に邪気は強まる一方である。
 そこで、グスターフは真剣な表情を見せてセシルへと言った。
「では、その証として私の中に入ってくれ。」
「…!?」
 その言葉にセシルは動揺している様で、邪気が一気に引いた。グスターフはそれに続け、セシルへと言葉を紡いだ。
「私がどれだけ君を愛し、君を喪った哀しみがどれ程だったか…私の中に入れば解る筈だ。さぁ、私の元へ来てくれ!」
「ならば…望み通りお前を喰らってやろう!」
 セシルはそう言うや、凄まじい邪気と共にグスターフを取囲み、凛と立つグスターフの中へと入ったのであった。
 グスターフはセシルの力に体を捩り、苦しみのあまり地へと倒れた。体の中ではグスターフとセシルの力が反発しているのである。
 暫くそれが続いていたが、ルーファスらにはどうすることも出来ずにただ、事の成り行きを見詰める他なかった。
 どれ程の時が経ったであろうか、グスターフは落ち着きを取り戻してスッと立ち上がってルーファスらを見た。
「グスターフ…大丈夫か?」
 ルーファスがそう問うと、彼はニタリと笑みを溢して返した。
「ああ、大丈夫だ。奴はもう居ないからな。」
 その答えに、三人は中に入っているのがセシルだと気付き、ルーファスはヴィルベルトとウイツを後退させた。
「そう警戒せずとも良いではないか。」
 嫌な笑みを見せるや、セシルはルーファスらへと手を翳した。すると、ルーファスらに向かって強大な邪気が放出されたが、それは今までのセシル自身のものとは質が異なり、グスターフ…シェオールの力が加わっていたのであった。
 もし仮に、このままシセルがこの街の結界を破れば、周囲に点在する村や町はたちまち死者の園と成り果ててしまうだろう。
「お前…どうして…。」
 邪気に耐えながらルーファスがそう問うと、セシルは憎しみを顕に言った。
「どうして…だと?この男をどうして…と言うことなら簡単だ。男など、所詮は皆嘘をつく。女を道具としてしか見ようとしない。お前とてそうだろう?女は抱くための…快楽の道具。そして家を繋ぐ子を産む道具。子を産むことが出来なくば、出来損ないの欠陥品なのだよ。」
「だが、グスターフの愛は真実だったぞ。」
「愛?それが何だと言うのだ。そんなもの…生ける者の戯言だ。魔術師よ、お前達はここで死ね。私はこの力で、この醜い世界を打つからな。」
「…!」
 その言葉に、ルーファスらは表情を強張らせた。三人はそれぞれセシルを止めようと試みるが、邪気が強すぎて結界を維持するのがやっとの有り様である。
 しかし、暫くして事態は一変したのであった。
「なんだ…これは…!?」
 三人は自分の目を疑った。邪気に押される三人の前に、生ける屍が集まってきていたのである。それはしだいにセシルを取囲み、それに驚いてセシルは力を発動出来なくなった。
「ルー…これは…。」
「教会前で眠ってた奴らだな…。だが…力どころか肉体すら残ってなかったってぇのに…。」
 二人がそう言っている間にも、生ける屍は次々にセシルへと押し寄せていた。
 それは、まるで彼女からグスターフを取り返そうとしている様であった。その証拠に、屍達が集まる程にセシルの力が弱まっていったのである。
 セシルが発した邪気も薄れゆき、ルーファスらは結界を解いた。この屍達が襲ってくることはないと確信していたからである。ヴィルベルトだけはビクビクしてルーファスの後ろに隠れていたが。
 ルーファスらは暫く屍達の表情を見ていたが、そこから何かを読み解くことは出来なかった。何故にこの様な行動に出たかは理解出来なかったのである。
「おい、ウイツ。あれ…。」
 夕日も落ちた月明かりの中、ルーファスは見覚えある屍を見付けてウイツに指差した。
「…ああ、グスターフが器として使っていた…。」
 それは少年の屍であった。その表情には、明らかに哀しみと怒りが見て取れた。その感情はグスターフにではなく、その体を支配しているセシルへと向けられていることは二人にも理解出来た。
 暫く三人は何もせず、ただ屍達を観察し続けていたが、そうしているうちに屍達が何かを言っていることに気が付いた。
 が、それを聞き取ることは難しく、どうにか口を読もうと試みたのであった。しかし、その大半にもはや唇と呼べるものはなく、カタカタと剥き出しの歯を鳴らしているだけなのである。
「師匠…あの少年、"グスターフを返せ"って言ってませんか…?」
 ヴィルベルトが恐る恐る師に言った時、急にセシルが叫び声を上げた。
「止めろ!グスターフはお前達を殺した本人ではないか!何故に私を責める!」
 そう言うや、セシルは群がる屍達を攻撃し始めた。そのため、ルーファスは屍の中に分け入ってセシルを制したのだった。
「シセル!お前はなぜ屍達が集まったか気付いている筈だ!グスターフの記憶を見たんじゃねぇのか!」
 ルーファスにそう怒鳴られ、セシルはその動きを止めて言った。
「ああ…見た。だが、あれを全て信じろと言うのか?」
「信じろ!」
 ルーファスは思い切りそう言った。
 今のセシルは、真実を知っても受け入れ難いことは承知していたが、それでもグスターフは彼女に知ってほしく、一緒にいたいのだと言う思いを、ルーファスはセシルへと伝えたかった。
「己…下賤の分際で…!」
 しかし、その声はセシルを怒らせてしまい、何かをしようと体を動かした刹那、彼女は人形の様に地へと倒れてしまったのであった。
 それが合図であったのか、周囲に集った屍達もまた次々に倒れてゆき、最後にはルーファスら三人だけがその場に立ち尽くしたのであった。
「…何なんだ?」
「師匠…僕が思うに、この屍になった人達がセシルさんの力を吸収していたんじゃないでしょうか?」
 そのヴィルベルトの意見に、ルーファスとウイツは互いに顔を見合わせた。
 確かに、セシルの力を吸収すれば動き出すことは可能であろう。だが、彼女にその気が無いにも関わらず、何故その屍達がセシルの力を吸収出来たのかが解らない。
 そこでルーファスはとある仮説を立てた。
「ウイツ。もしかしたら、グスターフの意志がセシルの力を屍達へと吸収させたと考えられねぇか?」
「ルー、それはどうかと思う。グスターフ自身がああやって人々を葬ったのだから、それを利用するとは些か考え難いと思うが?」
 ウイツは腕組みをしてそう返したが、ルーファスは尚も仮説を続けた。
「だが、セシルに完全に体を奪われれば、あいつらの様な犠牲者が溢れる。こいつらだってそれは望まねぇだろうし、力を貸してほしいとグスターフが頼んだとしても不思議じゃねぇだろ?」
「それは…。だが、それで何故ここに集まる?その理由が…」
 ウイツがそこまで言った時、倒れていたグスターフの体が不意に起き上がった。そのため、三人には緊張が走り、視線をグスターフへと向けたまま息を止めた。それがグスターフなのか、はたまたセシルなのかを見極めなくてはならなかったからである。
「いや、済まない。私も油断していた。」
 何とも間の抜けた言葉に三人は緊張を解き、深い溜め息を洩らしたのであった。
 グスターフはそんな三人を他所に、月下に響かせんとばかりの大声で言った。
「皆よ、立て!安らげる場へと誘おう!」
 その声が発せられるや否や、倒れていた屍達が再び立ち上がっていった。
 そうして後、グスターフは神妙な面持ちでルーファスへと言った。
「済まないが、もう暫し付き合ってもらいたい。」
「何をしたいんだ?」
 その表情からルーファスは何かを読み取り、グスターフへと尋ねた。その問いに、グスターフは直ぐ様返した。
「この者達を、然るべき場で眠らせてやりたいのだ。あの教会の扉を開き、この者達を招き入れてやってほしい。そのため、仮初めの肉体を与え、自ら歩める様にしたのだ。」
「なぜ今までそうしなかったんだ?他の魔術師でも出来たろ?」
 ルーファスは不思議に思ってそう問うと、グスターフは自嘲気味に笑いながら返した。
「いや、私を見ただけで攻撃してきてな。その攻撃でこの者達を傷付けるため、敢えて話し合える魔術師を待っていたのだ。」
 その答えは、謂わば「わざと封じられた」と言っている風であった。それも死者を傷付けないために…である。
「それで、俺達なら出来ると?」
 ルーファスはグスターフの想いを理解した上で、彼を見据えてそう問った。ルーファスの隣に立つヴィルベルトとウイツの二人も、グスターフの答えを待つ様に彼を見ていた。
「そうだ。教会内へは招き手が必要だ。招き手があれば、皆在るべき場所へと赴ける。それこそ私には出来なかったことなのだ。頼まれてくれるか?」
 そうグスターフは言ったが、三人の意思は既に決まっていた。そのため、ルーファスはこう返したのであった。
「分かった。これがお前の最期の仕事なんだな?」
「その通りだ。世話をかけるな…。」
「今更だっての。」
 ルーファスはそう言って笑みを見せるや、ヴィルベルトとウイツもグスターフへと微笑んで了解の意思を伝えたのであった。
 さて、グスターフはそのまま死者を引き連れ、街の教会へと歩み始めた。それと同時に、ルーファスら三人は一足先に教会へと向かい、到着するや裏にある墓地へと入ったのであった。
「ウイツ、そっちはどん位だ?」
「こっちは七十人程度なら埋葬出来そうだ。そっちはどうなんだ?」
「こっちは百人ちょいって程だ。全く足んねぇよ。」
 墓地で三人がやっているのは、死者を葬る墓穴を作ることであった。グスターフが死者を連れてきた時、墓穴が無くば葬れないのである。
「師匠、あっちの土地はダメなんですか?」
 ルーファスとウイツが頭を抱えていた時、ヴィルベルトが墓地の外にある荒れ野を指して言った。
 それに対し、ルーファスは頭に手をやって言った。
「ありゃダメだ。土地が邪気で腐ってっからな。」
「でも、師匠が付けてる聖ニコライのサファイアがあれば、あの土地を浄化出来るんじゃないですか?」
 そのヴィルベルトの一言に、ルーファスとウイツは顔を見せた。
 すっかりと忘れていたが、ルーファスの手首には聖ニコライのサファイアがある。女公爵から借り受け、いざと言うときに使用するためである。
「そうか…ま、こんなとこで使うとは思わんかったけどな…。」
 そう言うや、ルーファスは墓地から荒れ野へと出て、そこで静かに呪文を詠唱した。それはどこかで聞いたことのあるもので、ヴィルベルトはそれであることを思い出した。
「これって…死者の行進の…。」
 その歌うような詠唱は、死者の行進で聞いたものとよく似ていた。だが、それもその筈で、この呪文も新しいものなのである。
 この呪文の創作者は死者の行進のそれと同じと言われ、このタイプの魔術は"旋律魔術"と呼ばれていた。そのどれもが美しく、全て音楽と言っても差し支えないものであった。
 ルーファスが詠唱を始めて暫くすると、聖ニコラスのサファイアが輝き出した。すると、空から淡雪の様な光が降り注ぎ、穢れた土地を浄化し始めたのであった。
 その光景を前に、ヴィルベルトはルーファスを福音史家であるのではないかと思った。無論、そのようなことはないのだが、それはそう思わせるほど厳かな光景だったのである。
 地に落ちた光は邪気を吸い、それを中和させながら消えて逝く。それがどれ程続いたであろうか、ルーファスが詠唱を終えたと同時に全て消え去り、ヴィルベルトにさえ感じるように大地が蘇っていたのであった。
「ルー。私が埋葬する穴を作っておくから、お前はヴィルベルト君とグスターフを出迎えてくれ。そろそろ到着する筈だから。」
「分かった。ヴィー、行くぞ。」
「はい、師匠。」
 そうしてルーファスとヴィルベルトは教会へと戻り、そこにあった蝋燭全てに火を灯してから、死者が墓地へと赴ける様にと道を整えた。そうして後、二人は正面の大きな扉を開いたのであった。
 扉を開くと、そこには既にグスターフの姿があり、扉が開かれたと同時に死者が入り始めた。しかし、そう歩まぬうちにその歩みが弱まったため、ルーファスは即座に魔術を行使した。それは死者の行進である。
 ルーファスが詠唱を始めると、死者の弱まった歩みは戻り、整えた道を真っ直ぐに裏の墓地へと向かって行ったのであった。そしてウイツが用意した墓穴へと入って行き、それを確認してウイツは魔術で土を盛って行ったのである。
 どれ程の時を経たであろう。とうとう最後の一人が教会へ入ろうとしていた。それはあの…グスターフに体を貸した少年であった。だが、その少年の屍はグスターフの近くより動こうとはしなかった。
「グスターフ…そいつは…。」
「私を父と勘違いしているのだろう。私が中に長居してしまったせいだ。」
 グスターフはそう言うや、その少年の屍に向かって静かに言った。
「早く行きなさい。私も直ぐに行くから。母さんが中で待っている。」
 そう優しく言われた少年の屍は、何かを悟ったかの様に歩き出した。真実を言えば、魔術をもってしても屍に心を取り戻すことは叶わない。一度死ねばそれきりなのである。ルーファスもそれは知っているが、目の前のこれは明らかに前例の無い事実であった。
 セシルが屍達に取り囲まれた時にも思っていたのだが、これは恐らくグスターフ…いや、シェオールとしての力なのだろう。それがまたグスターフ自身を苦しめることになったのだが…。
 少年の屍は時折、グスターフを見るように振り返りながらも教会へと入った。そこではルーファスが詠唱を続けていたが、教会へ入った少年の屍はそのルーファスの前で止まって淡々とお辞儀をし、心へと直接語りかけてきたのであった。

-どうか…あの人…を……救って…下さ…い…。-

 ルーファスは些か驚きはしたが、ここで詠唱を途絶えさせる訳にも行かず、少年の屍へと首を縦に振って了承の意思を伝えるや、少年の屍はそのまま墓地へと向かい、最後の一人として墓穴へとその身を横たえた。
 そして、もう動くことはなかった。



 
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