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星河の覇皇

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第六十三部第三章 気付いている者といない者その二十八

「あれは非常に身体にいいスポーツでもありま」
「左右に駆けますからね」
「ボールを追い打ち」
「確かにカロリーを消費しますね」
「しかしです」
 今は、というのだ。
「それが出来ないことが残念です」
「ご多忙だからですか」
「相手をしてくれる方も」
 ここでは寂しく言うのだった。
「おられないので」
「相手の方もですか」
「壁を相手にすることも」
 やはり寂しげな言葉だった。
「こちらも」
「どうかというのですね」
「練習にはいいです、そしてカロリー消費には」
 だが、という言葉がだ。話の中にあった。
「ですがテニスは一人でするものではありません」
「相手がいてこそですね」
「ダブルスなら余計にです」
「それ故に」
「相手の方が欲しいですが」
「では」
 そう聞いてだ、モハマドは微笑みこう金に言った。
「ここは」
「相手の方をですか」
「はい、手に入れられては」
 こう言うのだった。
「如何でしょうか」
「そちらもですね」
「どなたかおられますか」
「それがです」
 難しい顔での言葉だった。
「中々」
「おられないと」
「よく言われていますが」
「内相程の方では」
 モハマドはここであえて金の美貌に焦点を当てて述べた。
「それは」
「すぐにというのですね」
「そう思うのですが」
「しかしです」
 それでもとだ、金はモハマドに残念そうな顔で答えた。
「それが中々」
「お相手がですか」
「とても」
 寂しげな、そして残念そうな笑みに全てが出ていた。
「どうしたものか」
「ううむ、では今も」
「相手の方に巡り会えていません」
「そうですか、八条長官もそうですが」
「長官もでしたね」
 金はモハマドのその言葉にはっとした顔で述べた。
「あの方も」
「残念ですが」
 彼、八条にしてもというのだ。
「それが中々」
「そうなのですか」
「難しいところです」
 全く以て、とだ。苦い顔で言うモハマドだった。
「政治家は、奇麗ごとを抜きにして」
「生涯の伴侶が必要ですね」
「はい」
 その通りだというのだ。
「どうしても」
「独身の政治家の方もおられますが」
「それだけでネックになります」
 独身、そのことだけでもというのだ。 
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