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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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320部分:第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその十二


第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその十二

「それでどうかしら」
「いいわよ」
 卑弥呼もそれでいいとした。
「それじゃあね。今からね」
「ええ、どちらがよりダーリンに相応しいか」
「勝負よ」
「一体何の勝負なんだ?」
 若者だけがわかっていなかった。
「さっきから一体何の話なんだ?」
「何でもないわ」
「別にね」
 その若者に対してはこう告げるのだった。
「それでよ」
「この御老人だけれど」
「ああ、見せてくれないか?」
 若者は老人を心配する顔で見ながら言ってきた。
「ちょっとな」
「あら、お薬持ってるの?」
「ひょっとして」
「それも持っているが他のこともできる」
 若者はこんなことも言ってきた。
「だから少し見せてくれ」
「ってことはまさか」
「貴方お医者様?」
「ああ、そうだ」
 その通りだというのである。
「俺の名前は華陀という」
「華陀?」
「それがダーリンの名前なのね」
「ああ、そうだ」
 二人を前にしても全く動じていない華陀だった。
「ゴオオオオッド米道!の者だ」
「わかったわ。ゴオオオオッド米道!ね」
「そこの人なのね」
「そうだ。その呼び方で頼むな」
 二人が自分と同じ呼び方をしたことは嬉しいようであった。
「それで御老人だが」
「どうなの?それで」
「助かるの?」
「ああ、どうやらこれは心臓だな」
 仰向けに寝ている老人の胸や腹をさすりながらの言葉である。
「そうか、これなら」
「治せるのね」
「ダーリンなら」
「任せてくれ」
 強い言葉で応える華陀だった。そうしてだ。
「病魔退散!」
 指を高々と掲げる。次に叫ぶ言葉は。
「光になれーーーーーーーーーーっ!!」
「指が光ったわ!」
「黄金色に」
 実際にその輝きだった。そうしてである。
 華陀がその指を老人の左の胸にやる。そうすればだった。
 胸から何かが消えた。そのすぐ後にだった。
 老人がゆっくりと目を開いてきた。穏やかな顔だった。華陀jはその老人に対して問うのであった。
「気分は」
「はい、有り難うございます」
 穏やかな顔で礼を述べるのだった。
「お陰様でもう」
「そうか。それならいいんだ」
 華陀は老人の今の言葉を聞いて彼もまた微笑んだ。
「俺の針は皆の為にあるからな」
「あら、針だったのね」
「そうだったのね」
 ここで二人もわかった。
「それであの色の光だったのね」
「そういうことだったの」
「ああ、そうだ」
 その笑みを二人にも見せる華陀だった。
「俺は針も使える。薬以外にな」
「これは凄いわね」
「そうね、名医ね」
 二人から見てもそうであった。
「まさにね」
「その通りだわ」
「やっぱりこの方は」
「そうね」
 そしてまた二人でひそひそと話すのだった。
 
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