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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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315部分:第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその七


第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその七

「見事だ、美味い」
「そうか。この炒飯もいいぞ」
 関羽が最初に食べているのはそれだった。
「袁家だけはある。いい料理人がいるな」
「袁紹さんは美食家としても有名な方ですし」
 孔明は海老蒸し餃子を食べている。
「ですから。私達への御馳走もですね」
「そうね。この家鴨もいいわ」
 黄忠は家鴨のピータンと焼いたものを口にしている。
「素材も調理も見事ね」
「幾らでも食べられるのだ」
「全くだな」
 張飛と馬超は貪っている。
「麻婆豆腐も美味いのだ」
「このチンジャオロースだってな」
「そうね。量も凄いわね」
 当然神楽も食べている。
「これは満足できるわ」
「まずはたっぷり食べて明日頑張ろう」
 馬岱は明るい顔で皆に言った。
「明日が正念場だしね」
「よし、民の為だ」
 公孫賛はここでも話に力瘤を入れていた。
「ここは何としてもだ」
「そういえば白々ちゃんってさ」
「白蓮だ」
 またしてもいつものやり取りである。劉備と公孫賛だ。
「いつも誰かの為に何かするよね」
「それはな。己のことだけを考える者は嫌いだ」
 公孫賛は何気に己の哲学も語っていた。
「人は何の為に生まれ生きてそして死ぬかだ」
「何の為なの?」
「大義の為だ」
 こう劉備にも話す。
「その為に生き、そして死ぬのだ」
「そうよね、やっぱりね」
「桃香、御前もそう思うな」
「うん」
 今度は明るい返答だった。
「やっぱり私もそう思うよ」
「そうだな。御前も昔からそうだった」
 酒もある。二人で飲みながら明るく話す。
「自分の為よりもまず誰かの為だったな」
「劉家の者はかくあれ」 
 笑いながらこんなことも言うのであった。
「お父さんやお母さんによく言われてたしね」
「先生にもだったな」
「先生元気かな」
 劉備はこんなことも口にした。
「どうなのかな、最近元気なのかしら」
「都で将軍を務めておられるがな」
「あっ、そうなんだ」
 劉備は公孫賛のその言葉を聞いて明るい笑顔になった。笑顔のままで酒を飲む。それはかなり甘い酒であった。それを飲んでいた。
「立派になられたのね」
「私も一つの州を任されているしな」
「おめでとう」
「次は御前だ」
 ここで公孫賛の顔が真面目なものになった。
「御前も今みたいな一つの荘で終わるつもりはあるまい」
「私が?」
「そうだ。御前ならすぐに一つの州の主になれるぞ」
 劉備を見込んでの言葉だった。
「間違いなくな」
「そうかな。私は別に」
「そうした志はないのか?」
「それよりも今よりもずっと。皆が笑顔で暮らせる国になればいいなって」
「思うことはそれか」
「その方が大事じゃないかしら」
 こう公孫賛に話すのだった。
「やっぱりね。そっちの方がね」
「そうだな。だが御前自身はそれに対して己を立てようとは思わないのだな」
「全然。そんなことは」
 思わないというのだった。
「思ったことないし」
「やれやれ。相変わらず欲のない奴だな」
 今度は溜息と共の言葉だった。
「だがそうだからこそいいのかもな」
「いいのかな」
「いいのだ。御前はそれでいい」
 劉備の顔をだ。微笑んで見ていた。
「だからこそいいのだ」
「そうなんだ」
「まあ今は飲んで食べよう」
 公孫賛はこれで話を一旦切った。そのうえで話した。
「明日の為にな」
「うん、それじゃあ」
「それにしても」
 ここでまた孔明が言った。
 
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