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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0066話『漣の梅雨気分』

 
前書き
更新します。 

 




漣の回キタコレ!
というツッコミをしろというお告げが突然頭に沸きあがったのでとりあえず言っておきます。
なにやら漣が主役の回みたいなんですよこれが。
メタ発言は控えろって? ノンノン、私は読者の皆さんにお応えしているだけですよ。
え? それがダメだって? 知りません。
ですのでせっかくですからご主人様に前に買ってもらった私服を着て会いに行ってみましょうかねー。
漣は最初からフルスロットルですよー!
それで部屋で着替えをしていると同室のぼのたんが入ってきた。

「…漣、あんたなんで私服でいるのよ? クソ提督に怒られるわよ?」
「うっふっふ。ぼのたんには漣のたくらみが分からないみたいですねぇ…」
「はぁ? 相変わらずあんたって頭のネジが飛んでいるわね」
「痛ったー! ぼのたん、いつも通りに辛辣なお言葉、ごちになります」
「うっさい! それとぼのたん言うな!」

漣の返しにぼのたんは頭が痛そうな表情をしています。
そうです、ぼのたんはからかい甲斐がありますから漣が自らきっかけを作ってやりませんと調子を崩してしまうかもしれないのです。
…え? お前のせいで余計に調子を崩しているって? まっさかー。
漣はいつもぼのたんやみんなの事を大切に思っているんですよー。…信じてもらえませんけどねー。
とにかく、

「これからご主人様にこの恰好を見せに行こうと思っているんですよー。だからぼのたんも一緒にいきませんか?」
「なんであたしまであんたの用事に付き合わないといけないのよ…?」
「同じ部屋のよしみと思って付き合ってよぼのたんー」
「だからぼのたん連呼するな!って手を掴むな!!」
「まぁまぁ」

そんなこんなでぼのたんを強制的に引き連れて漣はご主人様に会いに行くのです。
ぼのたん、地獄まで一緒に付き合ってもらいますよー。ふふふっ!

「…やっば。あんた、その不気味な笑み、なんかたくらんでるでしょ?」
「まさかー。ただご主人様にこの恰好を褒めてもらうついでに間宮券をたかりにいくだけですよ」
「やっぱりたくらんでいるじゃない…」

それでぼのたんはため息をつきながらももう諦めもついたのか素直に着いてきてくれた。
ありがたいですねー。デレぼのたん、ktkr。
それで二人で執務室に向かっているとちょうどよかったのか前方から潮ちゃんと朧ちゃんが歩いてきました。
第七駆逐隊集合ですね。

「…あれ? 漣ちゃんに曙ちゃん? なにをしているの? っていうかなんで漣ちゃんは私服なの…?」
「そうだね。基本制服が標準の格好だから漣、なにかたくらんでるでしょ?」

あやや。朧ちゃんにまで疑われてしまいました。

「ほらね。あんたが珍しい格好をしていると疑いの眼差しを向けられるのよ。自覚あるんでしょ?」
「うう…ぐうの音も出ねぇ」

それでぼのたんが二人にご主人様にたかりに行く話を説明していた。
そしたら二人とも少しジトっとした目を向けてくるではないか。
なんですか! ただ褒めてもらいたいだけじゃないですか!…ただちょっとお駄賃貰いたいなっていう思いもあるにはありますけど…。

「もう…。漣ちゃん? 提督は忙しい見なんだから迷惑かけちゃだめだよ?」
「潮のいう通りだよ」

それで二人とも説教modeに入ってしまい漣はなぜか正座をさせられてしまってしまいました。
うう…事の達成には犠牲が付き物ですがまさか漣自身がこんな羽目になるなんて…。
うさぎさん、慰めてぇ…。
もしくはウサギさん連盟(巻雲に卯月)助けて!
まぁ、そんな都合よく二人が現れる事もなくそれから五分くらい説教を受けていました。

「…このくらいでいいかな?」
「うん。いいと思うよ朧ちゃん。漣ちゃん、反省した…?」
「しましたよ~。しましたから執務室に行くだけ行きましょうよ。褒めてもらいたいのです」
「しょうがないわね。潮、朧、少しだけだけど付き合ってよ」

おお! ぼのたんがまさかの助け舟を出してくれるとは。
デレ期か? デレ期なのか!?

「…なんか気分が変わりそうだわ。漣がなんか変な事を考えているみたいで…」
「そ、そんなことはないですよー…?」
「漣ちゃん、目が泳いでいるよ…」
「説得力は皆無だね」

三人にさんざんな扱いを受けながらもやっと漣たちは執務室へと到着しました。
それで扉をノックします。
大抵は畑仕事以外は鎮守府内を誰かと回っているか執務室で執務をしているかですから多分いると思いますけど…。

『どうぞ』

すると榛名さん声のご主人様の声が聞こえてきました。
よかった、今は執務室にいるみたいです。

「漣です。ご主人様、中に入ってもいいですか?」
『構わないよ。ん…? 他にも何人かいるのか? 気配がするけど…』
「さ、さすがご主人様です。たまに戦闘に参加するようになってから感知能力が上がりましたか?」
『ああ、多分そう言う所だろうな。一緒にいるのは第七駆逐隊の面々か…?』

するどい!漣の行動パターンも把握済みですか。
やりますね、ご主人様。
それで素直に扉を開けてみんなで中に入らせてもらいます。
執務室の中には提督と一緒に透明の榛名さんの姿がありました。
榛名さんって執務の手伝いは出来ないけど応援はしているという話なんですよね。羨ま…もとい楽しそうですね。
そしてご主人様がめざとく漣の恰好に気づいてくれました。

「お。漣、前に買ってあげた服を着てくれているのか」
「ッ! そうなんですよ。ご主人様に見せておこうと思いまして」
「そうか。似合っているぞ漣。な、榛名?」
《はい、漣さんとても似合っていますよ》

ご主人様と榛名さんに同時に褒められてしまいましたー。
いや、漣だけなら別に良かったんですけどぼのたんとかもいますから恥ずかしいですねー。
案の定ぼのたんは含みのある笑みを浮かべながら、

「ねぇ、クソ提督? 漣がね、なんか褒めてくれるついでになにか奢ってほしいとかいう魂胆らしいんだけど…」
「ちょ!? ぼのたん、それはさっき無しになったでしょうが!」
「いいじゃない? 漣の魂胆もついでに説明してあげるのも友としての役目よ」
「あはは…曙ちゃん、とっても悪い顔です」
「うんうん。でも曙の言っている事は別に間違っていないんだよね」

そんな感じで一人羞恥で顔を赤くしているとどこかご主人様が悩む仕草をしています。なんでしょうか?

「それならちょうどいいから後で曙と潮と朧の三人にも新しく服を買ってあげてもいいぞ。漣だけじゃ不公平だからな」
「い、いいんですか!?」

それでいの一番に潮ちゃんが食いつきました。
こう見えて潮ちゃんってご主人様に好意を抱いていますからご主人様の提案は嬉しいんでしょうね。

「…無理するんじゃないわよ?」
「別に無理はしていないよ曙。この世界に来てから趣味以外には特にお金は使っていないから余っているんだ。だから有意義に使わないとな」
「そんな…。朧、今の環境だけでも満足していますのにそんな大それたことなんて…」
「まぁまぁ、朧もそう言わずに素直に受け取ってくれ」
「ありがとうございます…」

ぼのたんがご主人様の心配をしていて曙ちゃんもどこか遠慮気味だけどご主人様の後押しで受け入れたみたいですね。
なんだか漣だけ取り残されているみたいですね。少し寂しい…。
だけどそんな漣の気持ちもご主人様は汲み取ってくれているのか、

「もちろん漣にもなにか上げるよ。ケーキでも買っておこうか?」
「ケーキキタコレ!」

とっさに反応を返してしまいました。
漣も結構がめついんだなと自己評価をしました。
それで結局間宮さんの所へと言って漣たち四人にご主人様は甘味を奢ってくれました。
最初に狙っていた事ですけどこうもうまくいきますと後が怖いですね。
でも素直に嬉しいです。


 
 

 
後書き
漣って結構表現が難しいキャラですよね。
調子いい時もあれば礼儀正しいしボケる時はボケるしで…。
そして第七駆逐隊が揃えば話のタネはいくらでもひねり出せますね。



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