| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

0064話『梅雨の始まり。扶桑と夕立』

 
前書き
更新します。 

 




朝に目を覚ましてみると少しどこか湿気のような雰囲気に包まれている部屋の匂いを感じた。
それでカーテンを開けてみると雨がしとしとと降り注いでいた。
そうか…。もう梅雨の季節か。

「雨が降っているな…。あ、榛名、おはよう」
《おはようございます、提督。よく眠れましたか?》
「ああ」

朝の毎日の日課である榛名との朝の挨拶を終わらせてから少し考える。
この時期になると洗濯物が湿気臭くなってしまいカビの温床になる。
そこら辺は鳳翔さんがなんとかしてくれるだろうけど頼り切るわけにもいかない。
自身の洗い物は各自で処理しないとな。
それから少し湿気で硬くなっている提督服に袖を通しながらも今日の予定を考える。
畑仕事もこの雨だと出来なさそうだからな。
雨の日の出撃だと憂鬱になる子もいそうだしな。

「今日の予定はどうするか…」
《そうですね…雨が降り止むのを待って任務をこなしていきましょうか?》
「そうだな。とりあえず工廠系の任務は早めにやっておこうか」
《そうですね》

これからの予定を榛名と話しながらそんなこんなで食堂へと顔を出すと間宮さんが私に気づいたのか近寄ってきた。

「提督、おはようございます」
「おはようございます、間宮さん。今日の朝のメニューはどうなっていますか?」
「そうですね…」

間宮さんに今日のメニューを聞きながらトレーをもって間宮さんの料理が配膳されるのを待っていると、するとそこに今日は非番なのか扶桑が着物姿の所謂梅雨modeの姿で現れて私の後ろに並んだ。

「提督…おはようございます」
「ああ。扶桑、おはよう。その姿も似合っているぞ」
「ふふっ…ありがとうございます。先ほどに山城や時雨達にもこの姿を褒められたので少し気持ちがいいんです」
「そうか。それにしてもまさかその恰好で出撃するわけじゃないんだよな…?」

それで思ったのはゲームでは必ず限定衣装の姿で出撃していたから夏のイベントなどとかでは水着姿で少し緊迫感に欠ける光景ではと思っていたのだ。
それを扶桑も思ったのか、

「はい。さすがに一張羅の服は普段の服装とは違い修復されませんから…」
「そうか。それならよかった。さすがにそのままの出撃だとなぜか罪悪感が沸いてくるものなんだよ」
「そうですね。提督…? 今は他の皆さんも色々な梅雨の姿でいますから見て回られるだけでも楽しいと思いますよ…」
「わかった。その都度出会ったら感想を述べておくよ」

扶桑とそんな会話をしていると間宮さんが用意できたのか料理をトレーに乗せてくれたので、

「ありがとう、間宮さん」
「いえ、これが私の仕事ですから。提督もたまには甘味処間宮に来てくださいね」
「わかった。扶桑、先に行っているけど一緒に食べないか?」
「いいんですか…? それではご一緒させてもらいますね」

それで扶桑と一緒に席について料理を食べ始めていると、

「あー! 提督、扶桑姉さまと一緒に食事を摂っているんですカ!?」
「ああ、山城か。それならお前も一緒にどうだ? まだ食べ始めたばかりだから」
「くっ…髪のセットに時間がかかったために扶桑姉さまとの食事に出遅れてしまうとは…不幸だわ」

また山城の不幸自慢が始まっているけどさすがにこのままでは扶桑も食べづらいだろう。
だから、

「ほら! きびきび動く。待っていてやるからさっさと取って来い」
「わかっていますよ! …ああ、もうどうしてこう間が悪いのですか…」

そんな愚痴を山城は零しながらも食事を取りに向かっていった。
その山城の姿を見て扶桑はクスリと笑いながら、

「山城も素直になりましたね…」
「そうか? いつも通りだと思うけどな…」
「そんな事はありません。提督が山城としっかりと向かい合っていませんとこんな関係にはなれませんから。ですから私もとても感謝しているんですよ?」
「そ、そうか…。それならよかった」
「はい…」

扶桑はそれで少し儚そうに見える笑みを浮かべた。
扶桑の雰囲気にもマッチしていてとても綺麗だな。
そこに山城が戻ってきたのかどこか私にジト目を向けてきている。なんだ…?

「提督…? どこか扶桑姉さまと一緒だと楽しそうですね。少し嫉妬してしまいます」
「山城…? それは私に対して…? それとも…提督に対してかしら…?」
「や!? 扶桑姉さま、からかわないでください! 私はいつでも扶桑姉さま第一です! そ、その…提督の事は扶桑姉さまの次くらいには…」

山城はそれでゴニョゴニョと言葉を濁しながらも顔を赤くしている。
扶桑もそれで少しからかい気分が増したのか、

「うふふ…可愛いわね山城は。ね、提督?」
「そうだな」
「ね、姉さま~…私で遊ばないでください…それと提督も扶桑姉さまと一緒になって悪だくみをしないでくださいぃ…」
「ごめんなさいね、山城。それじゃ食事を再開しましょうか提督」
「うん。まだ温かいからゆっくりと食べるとしようか。今日は雨で出撃任務はそんなに出来なさそうだしな」

ちなみに山城は扶桑の隣ではなく天然なのかちゃっかりと私の隣に座っていたのでそれもまた扶桑にからかわれる要因になっていたのはまた別の話であった。







それから食事も済ませて私は執務室で任務の確認をしているとそこに雨合羽を着ている夕立が姿を現して、

「提督さん! 外に遊びに行こうっぽい!」
「いきなりだな夕立。どうした…?」
「うん! 梅雨の季節に入ったからこのお気に入りの雨合羽を着るのが楽しみだったっぽい!」
「…まぁいいか。気分転換に出てみるか」
「やったっぽい!」

それで私は傘を差しながらも雨が降っているので控えめにじゃれてくる夕立をあやしながらも中道を進んでいると前方からどこか仕事人のような格好の雨具を着ている千歳と千代田が傘を差しながら歩いてきた。

「提督…? こんな雨の中でどうされたのですか?」
「少し夕立に誘われてな」
「ぽい!」

夕立の頭に手を乗せながらそう答える。
夕立はそれでどこか嬉しそうだったのが印象的だった。

「それでそっちはどうしたんだ?」
「私が千歳お姉を誘ったんだ。ただ雨の日だからって外に出ないのは勿体ないからね」
「確かにそうだな」
「提督。それじゃ私達はこちらなので夕立さんと楽しんできてくださいね」
「わかった」

それで千歳と千代田は私達とは反対側に歩いていった。

「やっぱりみんな、雨の季節を楽しみにしているっぽい!」
「そうだな。こうして歩いていると色々な子達と出会えそうだ」
「うんうん! だからもっと歩こう!」
「そうだな」

それで夕立と一緒にそれからも色々な梅雨の姿の艦娘達と出会うのであった。


 
 

 
後書き
今回は扶桑と夕立の梅雨、そして千代田に千歳のmodeを掻きました。
前にどこかのイラストで千歳と千代田が仕込み傘を持っているのを見た事があって仕事人みたいというイメージがついちゃっています。
扶桑姉さまの梅雨modeは色っぽいですよね。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧