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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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289部分:第二十四話 劉備、剣のことを聞くのことその四


第二十四話 劉備、剣のことを聞くのことその四

「こうしてな」
「それってどうやって出すんですか?」
 劉備がふとそのことを尋ねた。
「草薙さんっていつも普通に出してますけれど」
「ああ、これな」
 草薙は劉備に顔を向けてその問いに答えた。
「草薙家は代々こうして火を出せて操れるんだよ」
「代々ですか」
「草薙家は元々オロチを監視し倒す家でな」
「ああ、前話してたよね」
「そうですね」
 馬岱とリムルルがそれを聞いて頷いた。
「他の二つの家と一緒に」
「私達の世界では」
「まあ八神の奴等とはおかしなことになっちまってるがな」
 草薙はふとこんなことも言ったがここではこのことは多くは言わなかった。
「それでもな。そのオロチを倒す為にな。火を出せるんですよ」
「それって気を火にしているのよね」
 馬岱はすぐにこのことを察して言ってみせた。
「それで出せるのよね」
「そうさ、草薙家の特別な素養でな」
 それでだというのだ。
「草薙家は代々出せるんだよ」
「それじゃあですけれど」
 ふとだ。劉備はそれを聞いてある人物の名前を出した。
「真吾君は」
「ああ、無理だ」
 草薙の劉備への返答はここでは一言だった。
「あいつは草薙家の奴じゃないからな」
「そうなんですか」
「言ってるけれどわかってくれないんだよ」
 草薙はここでは少し困った顔になった。
「何か憎めなくて相手をしてやってるけれどな」
「矢吹君って何か憎めないのよね」
「そうですね」
 馬岱とリムルルは顔を見合わせてにこりと言い合う。二人の背丈は同じ位だ。
「必死だし勉強家だし」
「怪談好きなのが困りものですけれど」
「真吾君の怪談って怖いわよね」
 劉備は少し怯えた顔になっていた。
「聴く度に夜寝られなくなって」
「そうそう、物凄くね」
「怖いですから」
「あいつは怪談が趣味なんだよ。それでだ」
 草薙は今は劉備の腰を見た。そしてふと言うのだった。
「なあ」
「はい?」
「劉備さんが持っていたっていうその剣な」
 彼が今話すのはこのことだった。
「それは何処にあるんだ?」
「ええと、それは」
「わからないのか」
「すいません、今はちょっと」
「そうか」
 草薙は困った顔になった劉備にまた返した。
「見つかればいいな」
「そう思います」
 劉備もその困った顔で草薙の言葉に答えた。
「さもないと本当にお母さんに怒られますし」
「しかし物凄いお袋さんだな」
 草薙は彼女の話からその母のことを知っていた。そうして言うのだった。
「実の娘を川の中にか」
「思い出す度にですよ」
「普通ないな。というか無茶苦茶だろ」
 草薙はいささか呆れた顔になっていた。
「その度にあんたを掴んで全速力で川まで走って放り込むなんてな」
「力も素早さもね」
「私達よりも強いんじゃないでしょうか」
 馬岱とリムルルもこう思った。
 
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