夢幻水滸伝
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第九話 関ヶ原の戦いその十二
「それで敵の軍勢を逆に徹底的に叩いてな」
「それからやな」
「岐阜城に向かうで」
「そうするか」
「それで岐阜城を陥として美濃の北と東にも兵を進めるけどや」
それと共にというのだ。
「尾張にも入る」
「もう一つの欲しい国にもか」
「尾張は豊かな国や」
芥川はこのことにも言及した。
「そやからな」
「欲しいな」
「むしろあの国が一番欲しい」
尾張がというのだ。
「おそらく僕等が勝ったら東海の連中は伊勢に向けてきて今は国境におる連中を引き返えさせるわ」
「そうして国を守るか」
「そうしてくるわ、そやからな」
「その兵を叩いてやな」
「尾張を手に入れるで」
美濃を手に入れた後はというのだ。
「そうするわ」
「そうか、そうしてやな」
「ああ、美濃と尾張を手に入れてな」
「その後でやな」
「また次の動きや、とにかくな」
「まずは今夜やな」
「勝つで」
芥川は不敵に笑ってこの夜の策について中里と綾乃に細かいところまで詳しく話した、そしてその後でだ。
彼等はそれぞれの配置について夜を待った、その夜にだ。
芥川は帳が降りたばかりの空を見上げた、そしてそこにある星達を見て言った。
「ええ感じや」
「星で何か出てるか?」
「いや、今はないわ」
共にいる九尾の狐に答えた。
「勝ち負けは出てない」
「それやったら意味ないやろ」
「夜空が教えてくれるのはそれだけやないで」
戦の勝敗だけではないというのだ。
「他のことも教えてくれる」
「その教えてくれるのは何や」
「星の勢いもや」
「自分等のことやな」
「ああ、けどこれもや」
そのこともというのだ。
「今は空に出てないわ」
「ほなやっぱり意味ないで」
「と、思うやろ」
「それもまたちゃうねんな」
「そや、これはええ感じや」
「そういえばえらい星が多いな」
九尾の狐も夜空を見上げた、そしてこう言った。
「今夜は」
「そやろ」
「雲一つないわ」
「それがええねん」
その雲一つない晴れ渡った夜空がというのだ。
「この空がな」
「曇ってることもなくてか」
「ああ、充分にな」
「今夜の戦にやな」
「よお見えるわ」
芥川はまた言った。
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