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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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250部分:第二十一話 劉備、友を選ぶのことその十一


第二十一話 劉備、友を選ぶのことその十一

「私は地位や権力より皆の方がずっと大事です!ですから」
「それで宜しいのか?」
 関羽は真面目な顔で劉備に問うた。
「劉備殿はそれで」
「はい、構いません」
 劉備も毅然とした顔で話した。
「ですから。ここは」
「しかし、貴殿は」
 まだ劉備を気遣う関羽だった。
「このまま」
「話は聞いたわ」
「今しっかりと」
 ここでだった。後ろで声がしてきた。
「そうなのね。桃家荘がね」
「お友達の危機ですよね」
「あっ、曹操さんに袁紹さん」
「貴殿達か」
 劉備と関羽は二人が来ていたことに気付いた。
「何時の間にここに」
「来られていたのだ?」
「さっきだけれどね」
「作戦のことでお話に来たのですけれど」
 こう話す二人だった。
「大変なことになってるわね」
「事情はわかりましたわ」
「い、いや別に」
 関羽はそれは隠そうとした。
「何でもない。こちらのことでだ」
「桃家荘を陥落させられてはこの戦を続けられないわ」
「後方基地としても最大ですし」
「すぐに援軍が必要ね」
「その通りですわ」
 だが二人はこう言うのだった。
「貴女達にすぐに行ってもらいたいのだけれど」
「宜しくて?」
「しかしそれでは」
 関羽は二人の考えを察してすぐに言葉を返した。
「この戦自体が」
「あら、この程度の相手どうにでもなるわ」
「我が袁家の軍を甘く見てもらっては困りますわ」
 二人は不敵な笑みと共に関羽に対して返した。
「さて、それじゃあ」
「ええ、今からですわね」
 今度は二人でその笑みのまま言葉を交わした。そのうえで。
「烏丸の軍を一気に叩いて」
「わたくし自ら指揮しますわ」
「麗羽殿、それは」
「幾ら何でもよくないのでは」
 曹洪と曹仁が袁紹のその言葉にすぐ突っ込みを入れた。
「どうしてそういつも前に出られるのですか」
「弓矢の前に」
「大将は前に出るものでしてよ」
 しかし袁紹は得意そうに笑って述べる。
「ですからこうして」
「ですから。将が討たれてはどうしようもありません」
「何故昔から貴女は」
「ああ、高覧に張郃だったわね」
「はい、曹操様」
「何でしょうか」
 二人は曹操のその言葉に応えた。
「麗羽の悪い癖が出たから」
「そうなんですよね」
「戦になって波に乗るとすぐに先頭に立ちたがる方ですので」
 高覧と張郃は困った顔で話す。
「危なくて見ていられません」
「何かあったら」
「昔からそうなのよね」
 曹操もこう言うのだった。
「全く。ここはね」
「はい、私達が抑えますから」
「流石に主を失うわけにはいきませんし」
 何だかんだで呆れられながらも家臣達に愛されているようである。
 
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