| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

英雄伝説~灰の軌跡~

作者:sorano
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

外伝~メンフィル・エレボニア戦争の和解調印式~ 第6話

~グランセル城・会議室~



「そ、そんな……!?どうしてⅦ組の皆さんがリィンさん達―――メンフィル帝国の指揮下に入らなければならないのでしょうか……!?」

シルヴァンの話を聞いたアルフィン皇女は表情を青褪めさせてシルヴァンに問いかけた。

「彼らの柔軟な動きや今までの活躍や奮闘を考えれば、頭が固く、柔軟な動きや判断が厳しい正規軍よりは使えると判断した。――――何せⅦ組はヘイムダルやザクセン鉄鉱山等エレボニア帝国の一部の地域で起こった”帝国解放戦線”によるテロ活動を未然に防いだ事に加えて、”西ゼムリア通商会議”の最中に”帝国解放戦線”が一時的に占拠した”ガレリア要塞”を奪還したのだからな。」

「なっ!?」

「に、”西ゼムリア通商会議”の最中にガレリア要塞が帝国解放戦線に一時的に占拠されたという話は本当なのですか!?」

シルヴァンの説明を聞き、ユリア准佐と共に驚いたクローディア姫はアルフィン皇女達に視線を向けて問いかけた。

「お、お待ちください!そのような話、我々も初耳です!何かの間違いではないでしょうか?」

シルヴァンの問いかけにダヴィル大使は血相を変えて反論したが

「ガレリア要塞の件は外部に漏れれば、エレボニア帝国の権威が失墜してしまう為あの件の関係者達には箝口令が敷かれていた為ガレリア要塞の件とは無関係のダヴィル大使は知らなくて当然だが………皇族であるアルフィン皇女はさすがに知っているだろう?」

「………………はい……………シルヴァン陛下の仰る通り、”西ゼムリア通商会議”の最中にガレリア要塞は”帝国解放戦線”の襲撃によって一時的に占拠されましたが、Ⅶ組の皆さんや正規軍の奮闘のお陰で奪還する事はできました………」

「なあっ!?」

シルヴァンの指摘に同意したアルフィン皇女の答えを聞くと信じられない表情で声を上げた。



「ま、まさか本当にガレリア要塞が”帝国解放戦線”に占拠されていたなんて………ですが、一体何故”西ゼムリア通商会議”の最中というタイミングでガレリア要塞を………」

「……恐らくはガレリア要塞に搭載されていた”列車砲”で通商会議が行われていた”オルキスタワー”ごと、”鉄血宰相”を葬るつもりだったと思われます。」

「”列車砲”で”オルキスタワー”を……」

「クロスベル自治州を一瞬の内に灰塵と化する可能性があると言われていたあの”列車砲”でオルキスタワーを砲撃すれば、クロスベルは甚大な被害を出し、通商会議に参加していた各国のVIP達の命も失われるという大事件へと発生したでしょうね………」

「多くの無関係の者達を巻き込む事にも躊躇しないとはまさに”狂人”の集団ですな……」

ダヴィル大使同様信じられない表情をしていたクローディア姫の疑問に答えたカシウスの推測を聞いたアリシア女王は重々しい様子を纏って呟き、エルナンとカラント大司教はそれぞれ真剣な表情で呟いた。

「ですがあの件はシルヴァン陛下の仰った通り、箝口令が敷かれましたのに、何故メンフィル帝国はあの件をご存知なのでしょうか?」

「―――皮肉な事にも今回の戦争で諜報部隊をエレボニア帝国全土へと散らせ、戦争相手であったエレボニア帝国の情報収集をした際に判明した。本来ならばガレリア要塞の件も問題にし、エレボニア帝国にメンフィルを含めた”西ゼムリア通商会議”に参加した各国への説明に加えて謝罪や賠償を求めたい所だが、不幸中の幸いにも列車砲によるオルキスタワーへの砲撃は”未遂”で済み、メンフィルはエレボニアと和解する事を決めた為、メンフィル帝国はガレリア要塞の件は特別に目をつぶってやる事にした。」

「………メンフィル帝国の御慈悲にエレボニア帝国を代表して心から感謝致します……!」

「本当にありがとうございます……!そ、その……リベール王国はガレリア要塞の件についてどうするおつもりなのでしょうか……?」

自分の質問に答えたシルヴァンの答えを聞いたアルフィン皇女は頭を深く下げて感謝の言葉を述べ、アルフィン皇女と共に頭を深く下げて感謝の言葉を述べたダヴィル大使は心配そうな表情でアリシア女王に問いかけた。



「オルキスタワーへの砲撃は幸いにも未然で食い止められていたのですから、リベールとしても友好国であるエレボニア帝国にこれ以上追い討ちをするような事をするつもりはございません。」

「お祖母様……」

「あ、ありがとうございます……!」

「リベール王国の寛大な御慈悲に心から感謝致します……!」

アリシア女王の答えを聞いたクローディア姫は明るい表情をし、アルフィン皇女とダヴィル大使はそれぞれ安堵の表情で感謝の言葉を述べた。

「―――話を戻す。先程”Ⅶ組”には特務部隊が行う作戦の補助をしてもらうと口にしたが、作戦実行の際は基本バックアップをしてもらうつもりだが一部の生徒達には特務部隊と共に”人と人が殺し合う本物の戦場”に出陣してもらうつもりだ。」

「そ、そんな……!?Ⅶ組の皆さんはまだ学生なのに、どうして”本物の戦場”に出る必要があるのですか……!?」

シルヴァンの話を聞いたアルフィン皇女は悲痛そうな表情で声を上げてシルヴァンに問いかけた。

「その者達を出陣させ、貴族連合軍の制圧作戦を手伝わさせる事で貴族連合軍と正規軍に貴族派、革新派共に下らん派閥争いを止めて”アルノール皇家”主導の下で今後のエレボニアを支えるという意思表示を示す為だ。幸いにもⅦ組には貴族派、革新派の有力人物の関係者達が揃っているからな。」

「そ、それは…………」

「……シルヴァン陛下はその”Ⅶ組”に両派閥の有力人物の関係者が在籍していると仰いましたが、その有力人物とはどなたなのでしょうか?」

シルヴァンの説明にエレボニアの今後にとってはメリットになる話であると理解していたダヴィル大使は複雑そうな表情で言葉を濁し、カラント大司教はシルヴァンに問いかけた。

「”革新派”は帝都知事カール・レーグニッツのご子息が、”貴族派”は”四大名門”の”アルバレア公爵家”の次男がⅦ組に在籍しています。」

「それと”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の一人―――”白兎(ホワイトラビット)”と両派閥に属していない中立の貴族にしてエレボニアでも5本の指に入ると言われている武人―――”光の剣匠”ヴィクター・S・アルゼイド子爵の娘もⅦ組に在籍している。」

「!!」

「オズボーン宰相に次ぐ”革新派”の有力人物であるレーグニッツ知事のご子息や今回の戦争勃発の元凶にして、”四大名門”の一角であるアルバレア公爵の次男に加えて”鉄血の子供達(アイアンブリード)”とかの”光の剣匠”のご息女ですか………確かにその方達ならば両派閥が”アルノール皇家主導の下で今後のエレボニアを支えるという意思表示を示す為の旗印”になりますね……」

セシリアとシルヴァンの説明を聞いたアリシア女王は目を見開き、エルナンは重々しい様子を纏って呟いた。



「シルヴァン陛下!失礼を承知で意見をさせて頂きますがもっと他にやり方がないのですか……!?まだ学生の彼らを政治に利用する事に加えて、”本物の戦場”にまで出陣させるなんて、あまりにも非道ではありませんか……!?」

するとその時クローディア姫が怒りの表情でシルヴァンに反論した。

「内戦勃発の原因は元を正せば”貴族派”と”革新派”による派閥争いだ。それぞれの派閥の関係者やその家族は内戦終結の為に貢献する義務が当然発生する事に加えて”貴族”は国の有事の際、民達や兵達の先頭に立って導く義務が発生するのだから、”非道”とは言わないだろう。」

「それは……!ですが彼らはまだ成人もしていない事に加えて学生なのですから、戦場に出陣させるのは余りにも酷な事ではありませんか!?」

シルヴァンの指摘を聞いたクローディア姫は反論を続けた。

「―――Ⅶ組が所属している”トールズ士官学院”は士官学校―――つまり”軍人の見習い”を育てる学び舎です。士官学校に所属している学生も”軍人の見習い”の為、国の有事の際、軍の指揮に従う義務が発生しますから、彼らが戦場に出陣する事自体に特におかしな点はありません。」

「現に”百日戦役”でも、リベールの士官学生達も”学生”の身ではあったが、王国軍の指揮の下王国軍を補佐していたではないか。―――例えばそちらのユリア准佐も”百日戦役”当時は士官学生ではあったが、一時的に行方不明になっていたクローディア姫の捜索並びに保護の任務についていたのだろう?」

「あ………………」

「殿下……………」

「「…………………」」

セシリアとシルヴァンの正論を聞いたクローディア姫は呆けた声を出した後辛そうな表情で黙り込み、クローディア姫の様子をユリア准佐は心配そうな表情で見つめ、カシウスとアリシア女王はそれぞれ重々しい様子を纏って黙り込んでいた。



「――そもそも、オリヴァルト皇子もアルフィン皇女を”Ⅶ組”の後ろ盾にして、カレイジャスの運用を彼らに委任すると推測されているのだから、我々のやろうとしている事と大して変わらないだろうが。」

「え…………」

「なっ!?い、一体何を根拠にそのような推測をされたのでしょうか……?」

シルヴァンの推測を聞いたアルフィン皇女は呆け、ダヴィル大使は驚きの声を上げた後シルヴァンに問いかけた。

「オリヴァルト皇子の内戦中の今までの行動を考えれば容易に推測できる。オリヴァルト皇子は内戦勃発前は遊撃士にアルフィン皇女をヘイムダルから連れ出して護衛する事を依頼し、内戦勃発後はカレイジャスを運用して貴族連合軍の目を盗みつつエレボニア東部で秘密裏に活動し、トールズ士官学院とも連絡を取り、Ⅶ組を含めた一部のトールズ士官学院の学生達とわざわざ合流をしたのだからな。」

「それらの件を考えますと恐らくオリヴァルト殿下は本来は護衛の遊撃士と共に貴族連合軍の捜索をかわしていた皇女殿下とも合流した後、皇女殿下をカレイジャス運用の正当性を証明する”後ろ盾”にしてⅦ組を含めたトールズ士官学院の学生達にエレボニア東部で内戦終結の為の活動をさせ、自身はエレボニア西部に向かい、第七機甲師団や他の中立勢力と連携して活動すると予測されています。」

「なお、オリヴァルト皇子の行動を真っ先に予測し、私達に助言したのはレンだ。あの娘の聡明さを知っているクローディア姫ならば、我々の言っている事は冗談の類ではないと理解できるだろう?」

「それは………………」

(さっすがレンちゃん!相変わらず可愛いことに敵うものはない事を示すとっても可愛い見本だね!)

(感心している場合じゃないでしょうが………まあ、”お茶会”を仕組んだあの娘ならスチャラカ皇子の行動パターンを推測する事くらい朝飯前でしょうし、あの娘が”参謀”である事にも納得ね……)

シルヴァンの指摘に反論できないクローディア姫が複雑そうな表情で答えを濁している中嬉しそうな表情をしているアネラスの様子に呆れたシェラザードはかつての出来事を思い出して疲れた表情で溜息を吐いた。



「さて……アルフィン皇女、第五条はどうするつもりだ?」

「…………二つ緩和条件があります。その緩和条件に同意して頂ければ、わたくしが第五条の通り内戦終結の方法をメンフィル帝国に委ねてその方法に従いますし、リィンさんに適した”騎神”も差し上げます。」

シルヴァンに問いかけられたアルフィン皇女は目を伏せて少しの間考え込んだ後目を見開き、決意の表情でシルヴァンを見つめて答えた。

「ほう?その条件とは何だ?」

「それは………―――Ⅶ組の皆さんが特務部隊の指揮下に入る事に対しての拒否権を頂く事と、もう一つはⅦ組の皆さんが特務部隊の指揮下に入る事を了承した際Ⅶ組の皆さんの意見も聞き、その意見が有用な内容であるのならばⅦ組の皆さんの意見を受け入れて頂く事に同意して頂くです。」

「で、殿下?何故緩和条件として学生である彼らの為にそのような条件をお望みなのでしょうか……?」

興味ありげな様子をしているシルヴァンに続きを促されて答えたアルフィン皇女の答えを聞いたダヴィル大使は困惑の表情でアルフィン皇女に訊ねた。

「Ⅶ組はオリヴァルトお兄様が貴族派と革新派に別れて争うエレボニアが抱える様々な”壁”を乗り越える”光”となりえることを望み、多くの方々の協力によって、ようやく設立する事ができたクラス。その”光”であるⅦ組の皆さんがわたくし達―――エレボニア帝国の事情や思惑に左右され、”本来のⅦ組として”動けなくなるというユミルの時のようにこれ以上恩を仇で返すような事は絶対にしたくないのです。わたくしを含めたエレボニア皇家の者達はガレリア要塞の件も含めてⅦ組の皆さんからは多くの恩を受けていますので……」

「アルフィン殿下………」

「………………」

アルフィン皇女の説明を聞いたクローディア姫は辛そうな表情でアルフィン皇女を見つめ、アリシア女王は重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込んでいた。



「ふむ………セシリア、今のアルフィン皇女の緩和条件に対してどう思う?Ⅶ組と関わり、エレボニアの内戦を終結させる当事者となるお前の意見を聞きたい。」

「………取り入れて構わないと思います。無理矢理従わせれば士気が低くなるでしょうから彼らの本来の力が発揮できなくなり、足手纏いになる可能性が発生する上、こちらの目を盗んで我々にとって想定外の事をされ、我々が考えた作戦に支障が出る可能性が考えられるのですから、いっそ我々特務部隊とは関わらず完全に別行動してもらうか、もしくは大人しく我々の指揮下に入ってもらう条件として我々もある程度は譲歩すべきかと。」

「……なるほどな。私もその意見には賛成だ。」

「では……!」

セシリアの意見を聞いて納得している様子のシルヴァンを見たアルフィン皇女は明るい表情をした。

「第五条に対して先程アルフィン皇女が口にした緩和条件を取り入れる。また、Ⅶ組が特務部隊の指揮下に入らず、別行動をするのならばメンフィル帝国より”軍資金”として7億ミラを支給する。なお、支給する軍資金の返済は不要だ。」

「あ、ありがとうございます……!」

「メンフィル帝国の寛大なお心遣いに心から感謝致します……!」

シルヴァンの答えを聞いたアルフィン皇女は頭を深く下げて感謝の言葉を述べ、ダヴィル大使もアルフィン皇女に続くように頭を深く下げて感謝の言葉を述べた。



「では第五条については緩和条件付きで双方合意という形でよろしいのですね?」

「はい。」

「ああ。」

そしてクローディア姫の問いかけにアルフィン皇女とシルヴァンはそれぞれ頷き

「……わかりました。では最後に第六条について、詳細な説明をお願いします、シルヴァン陛下。」

二人が合意している事を確認したクローディア姫はシルヴァンに続きを促した。




 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧