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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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232部分:第二十話 公孫賛、気付かれないのことその八


第二十話 公孫賛、気付かれないのことその八

「狭いけれどかなり立派にできているわね」
「大軍の基地としては狭いですけれど」
 袁紹もこのことは指摘する。しかしだった。
「それでも基地の一つとしては充分ですわね」
「これはかなり優れた者が築城したのでは?」
「確かに」
 荀彧と田豊がここで言った。
「これだけの城を短期間で築城するなんて」
「相当の人物では」
「誰なのだ?それで」
「この城を築城したのは」
「ああ、それはですね」
 劉備は夏侯惇と夏侯淵の言葉に応えて孔明をその手で指し示して話した。
「孔明ちゃんです」
「はわわ、ここで言っちゃうんですか?」
「だって本当のことじゃない」
 慌てる孔明にこう返す。
「孔明ちゃんが全部やってくれたじゃない」
「孔明!?」
 それを聞いてだ。審配がその眉をぴくりと動かして述べた。
「というと水鏡先生の弟子の伏龍」
「伏龍!?」
「というとまさか」
「あの伝説の名軍師!?」
「それがここに」
「幽州に来ているのか」
 曹操陣営の者達も袁紹陣営の者達も一斉に騒ぎだした。
「揚州でも抜群の冴を見せたという」
「江南の美周郎も唸らせたというあの軍師がか」
「あれっ、そんなに有名人なのかよ」
 しかし文醜だけがこう言った。
「この娘ってよ」
「何言ってるのよ、今や鳳雛と並ぶ名軍師よ」
 顔良が咎める顔で彼女に突っ込みを入れる。
「それで何で知らないのよ」
「だってあたい最近ずっと匈奴とか涼州の方に出張ってたからな」
 それで知らないというのである。
「中央の話とか知らないんだよ」
「麗羽は知っていたでしょうね」
「名前だけは聞いたことがありましてよ」
 一応曹操にはこう言えた。
「この河北にも名前は轟いていましたし」
「それならいいけれど」
「知らないことあるしね、この人」
「困ったことにね」
 曹仁と曹洪はその袁紹を見ながらひそひそと話す。
「子供の頃からそうだし」
「ムラの多い人だから」
「しかし。その様な軍師が関羽殿の配下になるとは」
「凄いことね」
 高覧と張郃は関羽を見ながら述べる。
「それに西涼の馬超と馬岱に天下で一、二を争う弓の使い手黄忠もいる」
「かなりの陣営になっているわね」
「いや、私は主ではない」
 関羽は二人のその話は否定した。
「私はむしろ仕えている側だが」
「仕えている!?」
「一体誰に?」
 麹義と許緒が関羽のその言葉に問うた。
「見たところ貴殿が首座だが」
「違うの!?」
「首座はこの方だ」
 関羽は自身の右手にいる劉備を手で指し示して一同に紹介した。
「中山靖王の末裔である劉備玄徳殿だ」
「あらためてはじめまして」
 こうして劉備が一同に紹介された。話を受けた曹操と袁紹は主だった家臣達と共に劉備達との話に入った。だが荀彧と荀諶はというと。
「だからあんたはどっか行きなさいよ!」
「あんたこそ!」
 二人で取っ組み合いの喧嘩を演じていた。
「何であんたが参戦してるのよ」
「そっちこそよ。許昌で留守番していればよかったのよ」
「それはこっちの台詞よ!」
「何よ、言うの!?」
「言うわよ!」
「じゃあ言い返してやるわよ!」
 猫の喧嘩の様だった。そんな二人だった。
 
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