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歌集「春雪花」

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 夏空の

  風に流るる

   白雲に

 想いぞ憂きし

    わが心根は



 晴れ渡る青空…風に流される白い雲…。

 長閑かな時間はただ静かに過ぎ行くだけ…。

 そんな緩やかな時にすら…私は憂い、寂しく感じてしまう…。


 彼を感じることのない…思い出の見つけられない場所…。

 私の心にあるのは…常に彼のことなのだから…。



 蒲公英の

  綿毛ぞ飛ぶや

    日も暮れて

 いづこへ行くや

   ともしとぞ思ふ



 不意に…タンポポの綿毛が風に飛ばされ、空高く舞ってゆく…。

 時にゆっくりと…時に風に煽られ…。

 一体どこへ行くのだろう…もう日も落ちた黄昏時、私はその綿毛を見詰めて思うのだ…。

 ああして飛んで行けたなら…直ぐ様、彼の元へ行けるだろうにと…。


 ただの綿毛だが…私にはとても羨ましい…。




 
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