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ケップのお話

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第四章

「私痩せた方がいいって言ったわね」
「確かにね」
「貴方が太ったって思ったから」
「太ることはよくないから」
「だからそう言ったけれど」 
「ご主人と奥さんから見るとね」
「痩せてきて病気じゃないかっていうから」
 ジマイマは首を傾げさせつつケップに言いました。
「不思議ね」
「そうだね、痩せた方がいいよね」
「ケップもそう思うわね」
「ご主人達もいつも太った、よくないって言ってるし」
「私もお二人のやり取りから思ったの」
 痩せた方がいい、太っては駄目とです。
「それが違うから」
「不思議だよね」
「本当にそうよ、訳がわからないわ」
「太るのも痩せるのも駄目?」
「どちらもね」
「じゃあ真ん中がいいのかな」
「真ん中でいることは」
 それこそと言ったジマイマでした。
「凄く難しいわよ」
「すぐに痩せたり太ったりするからね」
「そうよ、だからね」
 まさにそのせいでというのです。
「それは凄く難しいわ」
「いや、今回でそう思ったね」
「全くよ、私もかしらね」
「ジマイマも太った?」
「自覚はしてるわ」
「そうなんだ」
「これでもね」
 こうケップに答えます。
「太ってきたわね」
「痩せる?」
「まさか、普通位までにね」
 あくまでその程度にというのです。
「しておくわ」
「それが難しいって今話したけれど」
「だからある程よ」
 それ位だというのです。
「それで止めておくわ」
「病院に連れて行かれない為に」
「そう、まさにその為にね」 
「じゃあ今のままでもいいかな」
「今だと太ってるわよ」 
「何か難しいね」
「本当にそうね」
「何かとね」
 太っている、痩せている、このことについて心から思う二匹でした。病院に連れて行かれたくはないですが太りたくもないのです。
 ですがここでジマイマはふと気付いて言いました。
「適度に太っているか痩せているか」
「それでもいいかな」
「じゃあ私はこれでもいいかしら」
「そうかもね」 
 ケップはジマイマの言葉に応えました、ですが結局二匹の間で答えは出ないままでお話も何となく終わったのでした。


ケップのお話   完


                       2016・11・11 
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