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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その五十四

「連合のことだが」
「あの国ですか」
「マウリアは一人勝ちを望んでいない」
 連合の、というのだ。
「そのことを頭に入れてな」
「そうして、ですね」
「連合のことも考えていこう」
「マウリアですね」
「あの国は確かに連合の同盟国だ」
 このことは間違いない、マウリア自身もそう言っている。
「しかしだ」
「我々の同盟国でもありますね」
「双方のだ」
「つまりバランサーですね」
「バランサーはだ」
 まさにというのだ。
「双方のバランスが取れてこそだ」
「バランサーとして成り立ちますね」
「我々がこれ以上落ちることも」
「連合がこれ以上発展することも」
「どちらも望まない」
 そうだというのだ。
「あの国はな」
「では」
「あの国の力も借りてだ」
「そうしてですね」
「連合と対しよう」
「しかしマウリアは」
 この国はというと。
「決してです」
「連合とは敵対しないな」
「それはないですね」
「絶対にな」
 ギルフォードもこう答える。
「バランサーだからな」
「それで、ですね」
「そういえば我がイギリスはだ」
 ギルフォードは己の祖国の歴史も語った。
「バランサーと呼ばれていた時期があったな」
「十八世紀頃の欧州でしたね」
「そうだ、三十年戦争から暫く後のな」
「その立場で利益を得ていたと言われていますね」
「しかし実はな」
「違いましたね」
「あの時のイギリスはフランスを抑えたかっただけだ」
 バランサーではなく、というのだ。
「ルイ十四世、ルイ十五世の時代のフランスをな」
「特にルイ十四世の頃のフランスですね」
「その為オーストリアと手を結んだりだ」
「プロイセンとも手を結びましたね」
「フランスと戦っている勢力とな」
「正直オーストリアとはあまり衝突していませんね」
 その頃のイギリスはだ。
「三十年戦争の時に多少介入しましたが」
「これといってな」
「はい、ありませんでしたね」
「同じハプスブルク家の勢力のスペインとは衝突した」
 英西戦争然りだ、この戦争においてイングランドはスペインの無敵艦隊を破り国家を守りきったのである。
「しかしな」
「ハプスブルク家本家と言ってもいいオーストリアとは」
「然程揉めていない」
「スペイン継承戦争やオーストリア継承戦争では同盟を結びました」
 どちらの戦争でもイギリスはフランスと戦っている。 
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