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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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22部分:第二話 張三姉妹、太平要術を授かるのことその九


第二話 張三姉妹、太平要術を授かるのことその九

「まさかと思うけれど背の高くて筋肉質で」
「むっ!?」
「そして不敵な笑いを浮かべてはいなくて?」
「華琳、まさか貴女の領土にも」
「ええ、来ているわ」
 そうだと袁紹に返してきたのだ。
「怪しい奴だから監視はしているけれど」
「そうでしたの。貴女のところにも」
「そうよ。まさか貴女の国にも出て来るなんて」
「それに」
 曹操の話はさらに続く。
「その他にも青い服の金と黒の髪の男もいるわね」
「ああ、あの男もでして?」
 二人の話はここでも一致した。
「顎鬚を生やしていますわね」
「そうよ。何なのかしら」
「わかりませんわね。ただ今は何かと物騒な時」
 話す袁紹の顔はもう笑ってはいなかった。曹操も同じである。
「気をつけるに越したことはありませんわね」
「そうね。じゃあ私はこれでね」
「帰るのでして?」
「領主がこんな場所に一人でいては何かと騒動の種になりかねないし」
 自分でそれはわかっていたのだ。
「だからね」
「そうでしてね。貴女も今では大変な立場ですわね」
「それは貴女もね」
 ここでようやく笑顔に戻った二人だった。
「じゃあまたね」
「ええ、会いましょう」
「ただ。一つ言っておくわ」
 曹操は別れ際にまた袁紹に声をかけてきた。
「私は今よりも上を目指すわよ」
「上を、ですのね」
「そうよ。それは貴女もね」
 不敵な、それと共に楽しむ笑みで袁紹に言ってきたのである。
「麗羽、貴女も」
「勿論よ。確かに私は妾腹」
 このことを言うと無意識のうちに顔を顰めさせる袁紹だった。
「けれどそれでも自負はありましてよ」
「だからなのね」
「そうですわ。私もまたさらに上を目指しますわ」
 不敵な笑みが戻っていた。彼女もまた。
「貴女とはその時何があるのかしら」
「その時も楽しみね。じゃあまたね」
「ええ、それじゃあ」
 こうしてであった。彼女達は今は別れた。そのうえで何進との面会を終えた袁紹は領土に戻った。そしてその本拠地で今は黒いボブの何処か大人しい感じの少女、それと緑の肩までの癖のある髪の威勢のよさそうな少女の応対を受けていた。
「お帰りなさいませ、麗羽様」
「お元気そうで何よりです」
 ボブの少女は青紫の上着に白のミニスカート、黄金の鎧に緑の長いスカーフである。緑の髪の少女は緑の上着に白いミニスカート、青いスカーフである。二人がそれぞれその壮麗な宮殿に入った袁紹を出迎えてきたのである。
「何かありました?それで」
「大将軍は何か」
「特に何もありませんでしたわ」
 まずはこう返す袁紹だった。赤い色の廊下を歩きながら話す。
「貴女達は先に戻っていて」
「はい、わかりました」
「それでは」
「顔良さん、文醜さん、それでは」
「お任せします」
 田豊達は主の言葉に一礼してそのうえで場を去った。後はこの三人で話すのであった。
「それで斗詩、猪々子」
「はい」
「今度は何ですか?」
「私のいない間領土で何かありまして?」
 彼女が尋ねるのはこのことだった。
「とりあえず平穏みたいですけれど」
「また人材が来たから入れておきました」
「別にいいですよね」
「人材?誰ですの?」
「はい、三人です」
「また異国の者達です」
 こう主の問いに返す二人だった。
「御会いになられますか?」
「今丁度宮殿に来ていますけれど」
「ええ、それなら」
 いいと返す袁紹だった。
 
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