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歌集「春雪花」

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 若楓

  風に戯る

   木洩れ日に

 叶わぬ恋ぞ

    隠しけるかな



 青く茂る若い紅葉の下…風に揺れ、足元に落ちた木洩れ日も戯れるかのように揺らいでいる…。

 影も光も…ちらちらと何かを隠すかのように…。

 あぁ…私のこの叶わない想いさえも、隠してくれているのかも知れない…。


 ほんのひとときでも…寂しさを忘れるようにと…。



 恋しきと

  呼ぶは蛙の

    恨めしき

 わが言の葉は

    夜風にぞ消え



 初夏…蛙は相手を求め、ここにいるのだと鳴いている…。

 なんと恨めしいことか…蛙さえ憚らず自らを誇示出来ると言うのに、私は口にすることさえ憚られる…。

 私も伝えることが出来たなら…何か変わるのだろうか?

 彼に会いたい…彼と生きたい…。


 囁いた言葉は無情にも…ただ夜風の中へと霧散するばかり…。



 
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