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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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167部分:第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその四


第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその四

「一体な」
「ああ!?勘定払わせるつもりだったんだよ」
「勘定!?」
「勘定って」
「あの娘食い逃げしようとしてたんだよ」
 こう言うのである。
「だからだよ。捕まえようと思ってな」
「それでか」
「それでだったんですか」
「ほい、それでな」
 親父は憮然とした顔でだ。一行に対して右手の平を差し出してきた。
「代わりに払ってもらおうか」
「代わりに?」
「代わりにって?」
「あの娘の代わりにだよ。お勘定をだよ」
「何で私達がなのだ!」
 関羽はすぐに抗議した。
「全く、何故だ」
「あんた達のおかげでこうなったんだからな」
 だからだという親父だった。
「ほい、じゃあな」
「うう・・・・・・」
「仕方ないわね」
 舞が苦い顔で述べた。
「今回は私達のミスなんだし」
「だよな。しかしこれ物置か?」
 馬超は茶店の横にある小屋を見て言うのだった。
「随分と古い場所だな」
「ああ、そこは昔の店だよ」
 親父は関羽から金を受け取りながら馬超に応える。
「近いうちに取り壊すつもりなんだよ」
「そうなのか」
「ああ、まあそっちは気にしないでくれ」
 そんな話をしていた。そうしてであった。
 その娘の代わりに金を払ってだ。一行はあらためて揚州に入った。そこに入るとであった。
「ちょっと」
「んっ?御前は」
「待ちなさいよ」
 あの娘だった。こう言いながら一行のところに来た。そうしてだ。
「あんた達旅の武芸者よね」
「それがどうかしたのだ?」 
 張飛はむすっとした顔で娘に問う。
「御前のせいでお金を支払う破目になったのだ」
「そう、有り難う」
「有り難うではないのだ。全く御前のせいで」
「それはわかったわよ。ただ」
「ただ?」
「あんた達武芸者ならね」
 こう言うのである。
「私の家来になりなさい」
「何でそういう理屈になるの?」
 今の言葉に香澄もいぶかしむ顔になる。
「理屈がわからないけれど」
「理屈はいいのよ」
「よくないわよ」
 今度は舞が突っ込みを入れる。
「っていうかあんた誰?」
「私?私はね」
 娘は舞の問いにだ。胸を張ってこう答えた。
「孫家の末娘よ」
「孫家!?」
「っていったら揚州の」
「そうよ。名前は孫尚香」
 胸を張ったままである。
「覚えておいてね」
「孫家の末娘ってよ」
「何故こんなところにいるのだ?」
 馬超と趙雲がそれを聞いていぶかしむ。
「それって滅茶苦茶嘘臭いだろ」
「全くだな」
「あんた何でここにいるのかしら」
 キングはかなりダイレクトに問うた。
「そもそも」
「そうですよね。お姫様がこんな場所に?」
「ちょっと考えられませんね」
 ナコルルと孔明もこう話す。
「はい、ですから」
「若しかして」
「何よ、間違ってもね!」
 だがここで孫尚香は言うのだった。
 
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