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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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16部分:第二話 張三姉妹、太平要術を授かるのことその三


第二話 張三姉妹、太平要術を授かるのことその三

「天和姉さん」
「何、人和ちゃん」
 張角が張梁の言葉に応える。
「どうかしたの?」
「この本だけれど」
「ああ、その本ね」 
 張角はその言葉に応える。彼女は部屋の真ん中に立っており張宝と張梁はベッドに間隔を置いて座っている。そのうえで話をしているのだ。
「その本どうなの?」
「ちょっと読んでみたけれどね」
 張宝がここで言ってきた。
「凄いわよ」
「凄いの?」
「うん、凄い妖術が書かれているわ」
 こう言うのである。
「何かこれ使えばね」
「どうなるの?」
「凄くなるかも」
 こう姉と妹に話すのである。
「それこそね。成功できるかも」
「えっ、成功って」
 それを聞いて驚きの声をあげる張角だった。
「私達売れっ子になれるの?」
「なれるかもよ」
 張宝は明るい笑顔で話す。
「本当にね」
「成功って私達が」
 張角はそれを聞いて目を大きく見開いた。
「嘘よね、そんな」
「嘘じゃないわよ。とにかく凄い術なんだから」
「そんなに凄いの」
「人和も読んでよ」
 張梁にも言うのだった。
「読めばわかるわよ」
「そうなの」
「そうよ。これからはじまるのよ」
 まずは彼女が乗り気になっていた。
「私達の時代がね」
 こうしてであった。次の日。張宝はいきなり何かを買ってきた。それは赤、青、緑のそれぞれの色をした小さな宝貝であった。それを買ってきたのだ。
「よし」
「何、これ」
 ホテルのベッドの上に置かれたそれを見て言う張角だった。
「宝貝よね」
「そうよ、宝珠のね」 
 それだというのである。
「ありったけのお金はたいて買ったのよ」
「ちょっと姉さん」
 張梁は次姉のその言葉を聞いてむっとした顔になった。
「買ったの」
「そうよ、買ったのよ」
「お金は」
「お金って?」
「だからお金」
 張梁が問うのはこのことだった。
「お金はどうしたの?」
「ああ、それね」
 ここでやっとわかった感じの張宝だった。
「それだけれど」
「どうしたの、それは」
「ヘソクリはたいたのよ」
 そうしたというのである。
「ちょっとね。それ使ったわ」
「えっ、それって」
 張梁はそれを聞いて眉を顰めさせてきた。
「私達の今の財産の殆どだけれど」
「いいじゃない、今が一か八かなのよ」
 そうだと言って開き直る。
「けれどこれを使ってね」
「これはどういう力があるの?」
 張角はその宝貝自体について尋ねた。
「お姉ちゃん妖術の勉強は苦手だったからよくわからないけれど」
「姉さんが一番妖術の勉強をした時間長かったんじゃなかったかしら」
「けれど歌や踊りや楽器の方が得意なのよ」
 そうした長姉であった。
 
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