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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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146部分:第十三話 曹操、袁紹と官渡で会うのことその八


第十三話 曹操、袁紹と官渡で会うのことその八

 そしてだ。ズィーガーがまず言った。
「曹操殿、それでですが」
「ええ、丁度聞きたいと思っていたのよ」
 曹操もズィーガーに応える。戦いは終わり周りには白装束の者達の骸が転がっている。その中で馬を降り彼の話を聞いているのだ。
「いいかしら」
「はい、彼等ですが」
「覇王丸っていうのさ」
「柳生十兵衛」
「千両狂死郎という」
 白と黒の豪放磊落な雰囲気の男と隻眼の男と赤髪の男がそれぞれ名乗る。
「宜しくな」
「どうやら縁あってこの世界に来たが」
「いきなりこうしたことになるとはのう」
「けれどお陰で助かったわ」
 曹操は微笑んで三人に応えた。
「貴方達のお陰でね」
「そうか。だったらいいがね」 
 覇王丸は微笑んで彼等に話した。
「それならそれで越したことはないさ」
「うむ、しかしこの者達は」
「何じゃろうな」
 十兵衛と狂死郎はここで周りを見た。丁度骸が処理されているところだった。その白装束の者達のだ。
「刺客の様だが」
「乱派かのう」
「宦官かしらね」
 曹操は彼等の話からそう考えたのだった。
「十常侍達の」
「確かに。わたくし達がここで会合をするのはわかっていることでしたし」
 袁紹も言う。彼女も既に馬を降りている。周りには彼女と曹操の配下の者達もいる。
「刺客を送るには好都合ですわね」
「そうよね。ただ」
「ただ?」
「あの連中にしてはやることがはっきりしているわね」
 曹操は鋭い目で述べた。
「どうもね」
「そういえば。十常侍といえば」
「もっと陰険なことをしてきますわね」
「今までもそうだったしね」
 袁紹が自分の言葉に頷くのを見ながら話を続ける。
「それでも今のは随分と」
「はっきりし過ぎていますわね」
「それにここまでの数の刺客達を送るものかしら」
 曹操はこのことも指摘する。
「殆ど一軍だったわよ」
「十常侍達の私兵でしょうか」
 荀彧はそれではないかと言った。
「そうした裏の力も持っていますが」
「私兵ね」
「はい、影の者達です」
「その可能性はあるわね」
 曹操は真剣な顔で袁紹の言葉に頷いた。
「それもね」
「それでは」
「それでも数が多過ぎるわ」
 曹操はまたこのことを指摘した。
「普通の刺客の数でもないし」
「袁紹様、それにです」
「この者達ですけれど」
 今度は田豊と沮授が話す。
「動きがおかしくありませんでしたか?」
「次から次に。影みたいに出て来て」
「影、確かにそうですわね」
 袁紹も二人の話を聞いて言う。
「それを考えれば確かに刺客ですけれど」
「正規軍の動きでないのは間違いありません」
「それにです」
 二人は袁紹に対してさらに話す。
「十常侍は私達がここに来ることを知っています」
「それでここに刺客を送り込んでは」
「疑われますわね」
 袁紹の目がぴくりと動いた。
「間違いなく」
「はい、特に張譲がです」
「確実に」
「如何に帝の信頼がありお傍にいるからといって」
 袁紹はこのことも考えるのだった。
 
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