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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その十五

「とうにも」
「将校まで品がありません」
 別の側近も言う。
「彼等は」
「将校は貴族だ」
 ギルフォードはこのことも言った。
「平民の者も多いがな」
「しかし貴族は全て将校ですね」
「兵士、下士官にはなりません」
「それは決してです」
「なりません」
「そうだ、それ故にだ」
「将校には貴族としての気品が求められる」
 これがエウロパだ、騎士であることが将校に対して強く求められるからだ。それでそうした教育が為されるのだ。
「しかし連合は違う」
「言うならば職業倫理ですね」
「只のそれですね」
「エウロパでは警官も上級職は貴族だ」
 これは官公庁はおおむねそうだ。
「それ故にそれに相応しいものが求められるが」
「連合では警官もですね」
「消防隊にしてもですが」
「職業の一つに過ぎない」
 実際に連合ではそう考えられている、このことは紛れもない事実だ。
「あの国ではな」
「軍人もですね」
「そして将校もですね」
「所詮はその程度ですね」
「職業の一つですね」
「管理職だ」
 それだというのだ、連合軍の将校は。
「あくまでな」
「管理職ですか」
「それに過ぎませんですか」
「あの国では将校もまた」
「管理職ですか」
「職業の一つの」
「公務員に過ぎない、軍人もな」
 それが連合軍だというのだ。
「所詮な」
「だからですね」
「将校も品がないのですね」
「兵士、下士官と共に騒ぐ」
「大酒を飲み粗雑な料理を貪り」
「そうしてですね」
「連合ではそれがいいとさえ言われている」
 将校が兵士、下士官と共にいることがだ。
「艦内や基地内でも食堂は同じでだ、他の施設もだ」
「将校と兵士、下士官は分けられていない」
「何もかもがですね」
「艦内に士官室はあり士官室係の兵士、下士官もいるがだ」
 それでもだというのだ。
「同じ場所で同じものを口にして親睦を深めると言ってだ」
「ああしてですね」
「同じになって騒いでいるのですね」
「軍の階級はあるが社会の階級はないと言ってな」
 これが連合の考えの大きな特徴なのだ、軍の階級はあってもそれはあくまで職業上のことに過ぎないのだ。言うならば企業のそれと同じなのだ。 
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