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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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126部分:第十一話 孔明、世に出るのことその十二


第十一話 孔明、世に出るのことその十二

「凄かったんだから」
「だから余計なことは言うななのだ」
 また怒る張飛だった。
「鈴々はそんな奴じゃないのだ」
「そうそう」
 そんな話をしながらだった。張飛は孔明の手を掴んでそのうえで屋敷に帰った。そして次の日であった。
「もう大丈夫です」
「サロンパ草はどうでした?」
「凄い効き目です」
 見れば関羽はもう着替えていた。あのミニスカートにである。
 そしてしっかりと立っていた。その右手にはあの得物もある。
「おかげでもう完全に」
「そうなの。それは何よりよ」
「お世話になりました」
 そのうえでの言葉だった。
「おかげで」
「ええ。それでだけれど」
 ここで水鏡は関羽に対して言うのだった。
「一つ我儘を聞いてくれるかしら」
「我儘?」
「ええ、そうなの」
 こう話すのである。
「実はあの娘を」
「孔明殿を?」
「貴女達と一緒に旅に連れて行ってくれるかしら」
 関羽に対しての言葉だ。
「貴女達とね」
「旅にですか」
「あの娘も前から言っていたし」
 孔明もだというのである。
「それに」
「それに?」
「あの娘は羽ばたくべきだから」
 こうも言うのであった。
「ここから。世の中にね」
「世の中にですか」
「見聞を広めながら。その為にも」
「私達と共に」
「一人で行くのはあまりにも危険だし」
 そのことも踏まえていたのであった。
「あの娘は確かに賢明だけれど力はないわ」
「非力なのは間違いありませんね」
「それで一人旅はとても無理。特に今の様な戦乱の世では」
「だからこそ我々と共に」
「ええ、御願いするわ」
 あらためて言うのであった。
「貴女達と一緒に。いいかしら」
「はい」
 関羽の返答は快諾であった。
「仲間達に話してみてからですが旅は多い方が楽しいですし」
「そう。だったら御願いするわね」
「孔明殿の知恵、頼りにさせてもらいます」
 こうも言うのであった。
「我々としても」
「あの娘は若しかしたら」
 水鏡はふと言うのであった。
「江南の美周郎に匹敵、いやそれ以上の軍師になれるかもね」
「あの江南のですか」
「ええ、これは贔屓かも知れないけれど」
 言いながら少し苦笑いにもなる水鏡だった。
「けれど。大きく育ってもらいたいわ」
「その為にもですね」
「ええ。御願いするわ」
 こうして孔明は一行と共に旅に出ることになった。屋敷の門のところで水鏡と手を振り合う。そうしてそのうえで今果てしない旅をはじめるのであった。
「では行くか」
「はい」
 関羽の言葉にも頷いてみせる。
「それじゃあ」
「戦いのことは任せてくれ」
 キングがその孔明に言う。
「私達がやらせてもらうからな」
「けれど頭脳労働は頼むな」
 馬超の言葉だ。
「あたしそういうのは苦手だからな」
「けれど。参謀が入ったのは有り難いですね」
 香澄は素直に孔明のその知力に期待していた。
 
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