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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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110部分:第十話 張飛、また馬超と会うのことその九


第十話 張飛、また馬超と会うのことその九

 だが速かった。張遼は素早く後ろに跳び退いてそれをかわしたのだ。
「僕の鉄球をかわした!?」
「ほう、かなりやるやんか」
 張遼は着地してから述べた。
「ただの日銭稼ぎかと思うてたらこれは中々」
「行くのだ!」
 次は張飛だった。
 蛇矛を手に突き進んでだ。そうしてその矛を激しく繰り出す。
 張遼はそれを自分の得物で防ぐ。次は。
「むっ!?」
「あたしもだ!」
 馬超の槍も受ける。その速さにも驚く張遼だった。
「三人共この強さは」
「ここにもいるぞ!」
 そして馬岱も槍を出してきた。それを受けても言うのだった。
「このお嬢ちゃんも。若いけれどかなり」
「この家は守るからね!」
 許緒はまた鉄球を振り回す。
「絶対に!」
「おっと、そうはいかねえよ」
「残念だったな」
 しかしであった。ここで後ろからその三人の声がしてきた。
 見るとだった。あの三人が男の子と姉を捕まえてだ。不敵な笑みを浮かべてきていた。
「こっちにも都合があってな」
「金を手に入れないとな」
「卑怯なのだ!」 
 張飛がその彼等に対して叫ぶ。
「よくもそんな卑怯なことをして平気でいられるな」
「へっ、卑怯もヘチマもあるか」
「要は目的を達成できたらそれでいいんだよ」
 三人は馬超に対しても返した。
「さて、大人しくしろよ」
「さっさと金をよ」
「どうせお金なんか最初から目的じゃないんでしょ」
 馬岱は三人に対して自分の考えを言ってみせた。
「その美人のお姉さんが目的なんでしょ」
「へっ、どうとでも言いな」
「言ったって何もならないからな」
 しかし三人の態度は居直りであった。
「こうなったらこっちの勝ちだからな」
「残念だったな」
「甘いな」
 しかしここで。もう一人の声がした。
「悪党は滅びる運命にあるのだ」
「何っ!?誰だ!?」
「誰だってんだ!」
「この声は」
 悪党共は周囲を見回す。だが馬超だけはその声を聞いて気付いた様に呟いた。
「まさかあいつかよ」
「誰なの?あいつって」
「ああ、すぐにわかるさ」
 こう馬岱にも返す。
「すぐにな」
「すぐになの」
「何か変わったところのある奴だったけれどな」
 馬超は彼女についてこんなことも言った。
「今度は一体何をするっていうんだ?」
「とうっ!」
 いきなり白い影が現われた。そのうえでそれは姉と弟を助け出してそのうえで家の上に跳んだ。見ればその顔には黄色い鮮やかな蝶の仮面があった。だがどう見ても彼女は。
「手前誰だ!」
「誰だってんだ!」
「悪のあるところ現われる」
 その美女が言う。
「愛と正義の使者」
「愛と正義の使者!?」
「だから誰なんだ!」
「人呼んで華蝶仮面!」
 そして今その名前を名乗った。
「この仮面の輝きを恐れぬのならかかって来るがいい!」
「っておい」
 馬超が呆れながら彼女を見上げて突っ込みを入れる。
「あんたどう見てもよ」
「誰か知ってるの?」
「ああ、知り合いでな」
 呆れ果てながら許緒に対しても答える。
「まさかこんな趣味があるなんてな」
「変な人だよね」
「ああ、あらためてそう思うよ」
「御前は誰なのだ!」
 だが張飛ぶその彼女を指差して問う。
 
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