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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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second contact
  ep.045 この命は彼女のために

操作は鈴菜を抱きかかえたまま暗闇の中を進む。
何処に着くのかも分からない細道は余程の屈強な精神でない限りは滅入ってしまうそうなほど暗黒だ。

「操作様...大丈夫ですよ。 私はもう歩けますから...わざわざこんなことをして頂かなくても...。」

操作はそう言いながらも鈴菜が無理をしているに気付いているから無言のまま歩き続ける。
肝心の鈴菜はと言うと少し赤面気味で、まるで熱でもあるかのように赤くなっている。
それに鈴菜はこの状況に嫌悪感を抱いている訳でもないため抵抗はしない。
そしてようやく操作が口を開く。

「箱部さんは無理をし過ぎなんだ。 他人思いで自分はいくらでも傷付いていいものだと思っている。」

「..........。」

鈴菜は少しの反論もしようとしない。
両親を失ったあの夜から自分のことを誰よりも見てくれている操作が意見を言うのだ。
普段は鈴菜にそこまで反論しようとしない操作が敢えて反論までするのだから本当なのだろう。

「そんな排他的な善性なんて偽善よりもずっと怖いものだ。 人間が持つべきものじゃない。 だから.....。」

「.....だから?」

鈴菜が不思議そうに聞く。
だが操作は言葉が上手く出てこなかった。

そのまま歩いている内に2人の前には2つの分かれ道が出現し、2人は立ち止まる。

「どちらに向かうべきなんだ?」

操作が呟く。
すると鈴菜が2手に分かれて進もうと提案した。
能力者が相手ならば鈴菜であれば少なくとも牽制くらいは可能だろうと踏んだ操作はその案を受け入れる。

◆◆◆◆◆◆

操作と別行動になった鈴菜は暗闇の中を進む。
彼女が何でも自分で解決しようとする癖は実は操作に出会ってから出来たものだ。

『これ以上、あの人に助けられるだけの私ではいられないの。 彼に寄り添い、彼を助けられてこそパートナーである私の意味があるのだから。』

しばらく歩くと広場に着く。
そこにはたくましそうな男が待っていた。

「ほぉ....女じゃねぇか。 こりゃ良い...当たりの引いたのは俺の方だったらしいな。」

男は舌なめずりをする。
いかにも品のない下劣な男だと鈴菜は認知する。

「私は先に進まなければなりませんの。 即刻にお通し願います。」

鈴菜は警戒心と殺気を周囲に飛ばしながら構える。
男はと言うと仁王立ちしたまま動く気配がない。

鈴菜は男に急接近し、その体に拳を当てた。
そして"無力撃・終の型"が発動する。
相手は意識が飛んだように白目を剥く。

鈴菜は早々に決着がついたと思い気配を緩めた。
男と少しの間距離を取り、安全を確認すると横を通って次の部屋に進む.........






























......はずだった。
鈴菜は突如腕をガッシリと掴まれる。
ハッとして振り返ると寒気がするようなくらいの笑みを見せる男の姿があった。
男は掴んだ腕を離さず、そのまま鈴菜を体ごと持ち上げると鞭を振るかのように鈴菜をコンクリート製の柱に全力で叩き付けた。

「かはっ!!」

鈴菜は全身を激痛に襲われぐったりとしていた。
だが男の攻撃はこれで終わることはなく。
倒れ込んだ鈴菜に追い打ちを仕掛けるように勢いを付けて蹴り飛ばした。

『なぜ....終の型は決まったはず...なのに..。』

鈴菜は地面に激突し、転がる。
能力の差をポテンシャルで押し切られている。
そう解釈した鈴菜はさらに迫り来る男に自身の能力を発動する。

「ハハッ!! 俺を能力者だと勘違いしているようだが..残念だったな、俺はレベル0なんだよ!!」

俺は今度は走った分の速度を利用してより強力な蹴りを鈴菜にお見舞いした。
慈悲のない一方的な戦いになっている。

「俺は生意気な女を見ると、思う存分嬲り倒したくなる性格でよぉ...お前も生意気だからメタメタに嬲り殺してやるから覚悟しとけよ。」

再び地面を転がる鈴菜はあまりの激痛から意識が段々遠のいて行くのを感じていた。
 
 

 
後書き
今回はここまでです。
多分、僕史上1番キツい戦闘描写だった気がします。
書いてる僕自身が「操作くん急いで!!」って
なっています。

次回もお楽しみに。 
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