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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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53.廃墟が好きな人がいる。良さがよく分からない。

<天空への塔-前>
ドリスSIDE

リュカ達が塔を登り始めて3日が経過した。
塔攻略パーティーは、リュカ、ティミー、ポピー、ピエール、サンチョ、プックルだ。
従って私達は塔の前で陣取り、帰りを待っている状態だ。

「何で私が留守番組なの!?」
「うるさいのぉ~…毎日毎日飽きもせず…」
「そうですよ、ドリス様。留守番も重要な役割ですよ。リュカ様は我々の事を信じて任せて頂いたのですから」
「まぁ…そうだけど…暇なのよ!」
私に留守番は向かない!

「………………し、しかしエルヘブンへ行ってよかったですね」
「そうじゃのぉ。天空の城の事も聞けたし、魔法の絨毯も貰えたからのぉ!」
そう!魔法の絨毯!あれは素敵だ!
1メートルも浮かび上がらないのだがスピード感が最高!
水しぶきをあげて海を疾走した時は最高の気分だった。
この旅が終わったら貰っちゃってもいいかな?
………それにしても………
「暇ねぇ~!」

ドリスSIDE END



<天空への塔-内部>

1フロアが無駄に広い内部に、モンスターが無駄に蔓延っている。
内部は酷く荒れていて、近年人が立ち入った形跡はない。
まるで廃墟の様な雰囲気だ!

黙って探索していると気が滅入るので歌う!
大きな声で『ハナミズキ』を歌う!
モンスターに襲われる!
みんなが駆逐する!

腹の底から『空も飛べるはず』を歌う!
モンスターに襲われる!
みんなが駆逐する!

滅多やたらに『ギャランドゥ』を歌う!
モンスターに襲われる!
みんなが駆逐する!

「お父さん…お願いだからダンジョン内で歌わないで。敵が寄ってくるから…」
半泣きの息子に止められた。
「もしくはお前も戦え!歌っているだけで戦闘は何時も観戦だ!」
ピエールがキレた。
「がうにゃん」
プックルに慰められた。
「で、でも…何時も楽しくて良いと思うな…」
娘がフォローしてくれた。
「ポピー大好き!」
娘を抱き上げ、クルクル回りながら踊る。

(ドン!)
娘を抱き上げ一人ロンドを踊っていると、何やら煉瓦造りの壁に衝突した。
「いた~い。何でこんな所に壁があるの?」
「ふんがー!」
「お、お父さん!壁じゃ無い!」
ポピーが上を見上げて驚いている。
俺もつられて見上げると…
「ふんがー!!」
そこには煉瓦造りのゴーレムが立っていた。
何か怒ってるし!
ゴーレムは巨大な拳を振り回し攻撃してくる。
俺はポピーを庇いつつ、拳をのらりくらりと避けかわす。

うわぁ~…あの拳骨に当たったら痛いだろうなぁ~。
逆鬼師匠の拳骨レベル?(誰だよソレ)
しかし俺に拳が掠りもしないので、更に怒り出すゴーレム。
勝手だなぁ~…
って言うか、何で誰も助けてくれないの?

仕方がないので抱いていたポピーをサンチョにパスして、ゴーレムに対峙する。
俺は右手をゴーレムに翳して牽制してから話し出す。
「待ちたまえ!何をそんなに怒っているのかね?」
「ふんふんふんがー!ふがふんがー!!」
「勝手だなぁ~!」
ゴーレムは両腕を振り回して突進してくる!
当たってやる義理はない。
難無くゴーレムを避けると、勢いの付いたゴーレムはそのまま壁に激突する。
激突した壁が崩れ、ゴーレムが塔の外へ落ちた!
塔全体が老朽化しているのだろう…予想以上に脆い!

現在の標高は槍ヶ岳レベル。
煉瓦造りの彼でも、さすがにマズいかな?
「ふ、ふん…が~」
ゴーレムは壁の縁に何とか掴まり、落下を凌いでいた。
俺は慌てて壁の穴から身を乗り出し、ゴーレムの手を掴むと塔内をイメージして魔法を唱える。
「ルーラ」



「ふんがふがふんが!?」
ひとまず大惨事は回避でき、落ち着いたところでゴーレムが礼を言ってきた。
「いやいや…助けるのは当然だろ!」
あのまま見捨てたら、正直後味が悪いし…
「ふんが~?ふんが」
「別に構わないけど…」
うむ…意外と律儀な子の様だ。
「ふんふんがー!ふがんが」
「そうか、よろしくね。ゴレムス!」

俺とゴレムスの話が一段落すると、ピエールが困り顔で訪ねてきた。
「リュカ…頼むから、通訳と説明をしてくれ」
めんどいなぁ………大体の流れで察しろよ!
「彼はゴレムス。聞こえてくる歌が気に入って近付いたら、歌が聞こえなくなった。だから怒っていたんだって。そして、命を救われたから、仲間になるってさ」

何故だか皆呆れている。
おかしいな…要点はちゃんと説明したのになぁ…
「…本当に…そんなにくだらない理由なのか?」
「何でピエールは何時も僕の事を疑うの?」
「いや…すまない…疑った訳では…」
この後、俺達は強力な仲間を新たに加え、並み居る強敵を粉砕しつつ塔の上部へと突き進んで行く。
俺の歌声と共に…


<天空への塔>
ドリスSIDE

いくら暇でもお腹はすく。
拾い集めた枯れ木に火を付け食事の用意をし、簡単な料理を作る。
料理も出来上がり、みんなを呼びに鍋の側を離れた途端、上空から塔の外壁が落ちてきた!
「な!?」
私には被害はなかったのだが、よりによって出来上がった料理を直撃した。
結構手間暇かけて作った料理に…

暇は解消された。
また食事を作らないと…
暇を呪った自分が憎い。

ってか、何で外壁が落ちてきたのよ!?

ドリスSIDE END



 
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