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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その二

「私自身も出向いてな」
「そうされてですか」
「是非にですか」
「働いてもらう」
 こう言い切るのだった。
「人材にな」
「全ての人材にですか」
「このファイルに名前がある全員に」
「エウロパにおいてですか」
「働いてもらいますか」
「そうでもなければだ」
 全員いなければというのだ、まさに。
「エウロパはな」
「復興出来ない」
「そしてそれからの発展もですね」
「出来ないと」
「そう仰るのですね」
「それだけエウロパは困難な状況にある」
 今はというのだ。
「だからだ」
「まさに全員ですか」
「ここにある人材全員が」
「閣下の下に集まり」
「エウロパに尽くしてこそ」
「まず言うが私に尽くすのではない」
 ギルフォードはそうではないと言い切った。
「私は国家元首だ、しかしだ」
「国家ではない」
「エウロパではですね」
「シャルル=ド=ゴールはフランスは私であると言った」
 この言葉が自分がフランスを動かしているという意味かフランスの全てという意味かは意見の分かれるところだ、この時代でも。
「しかしだ」
「閣下はですね」
「エウロパではない」
「そう仰るのですね」
「私は国家元首でしかない」
 エウロパのそれでしかというのだ。
「国家第一の公僕だ」
「国家のですか」
「第一の」
「それも世襲のだ、君主でもない」
 そうでもないとも言うのだった。
「私だけのことだ、その私に忠誠を誓う必要はない」
「ではエウロパにこそですね」
「この国にこそ忠誠を誓うべき」
「それが閣下のお考えなのですね」
「エウロパにですね」
「私は忠誠心を求めない」
 自分自身へのそれはというのだ。
「国家への愛国心、それを求めている」
「エウロパへのですね」
「それをですね」
「そういうことだ、資質の他にはな」
 それを求めているというのである。
「私を嫌おうが軽蔑しようが構わない」
「そのどちらもですか」
「不要ですか」
「閣下にとっては」
「そうなるのですか」
「私もまたエウロパを見ている」
 自分自身ではなく、というのだ。 
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