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夢幻水滸伝

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第六話 飛将その五

「綾乃ちゃんはそっちにも政を向けてるけどな」
「DV対策か」
「こっちは中々減らへんけどな」
「こっちの世界でもそうした話あるんやな」
「そや、人間は難しい」
 鵺の言葉はここで哲学的なものになった。
「善でもあり悪でもありな」
「そうした奴もおるんか」
「正直に言えば夢もあるわ」
 先程否定したがこちらも肯定してみせた。
「悪夢もあればな」
「夢も悪夢もこの世にあるか」
「ええことも悪いこともな」
「ほな僕も大和撫子と」
「まあ性格を見るんやな」
 鵺の言葉はここでは人生への教訓だった。
「顔よりもな」
「そうしたらええねんな」
「そや、顔はある程度でもな」
「性格第一か」
「性格悪い女はどうにもならん」
 それこそというのだ。
「そういうのに惚れたら冗談抜きで酷い振られ方してな」
「自分が嫌な目に遭うか」
「そやから注意するんや」
「女の子も性格か」
「これは嘘やない、人間は内面や」
 これが第一だとだ、鵺は強い声で言った。
「顔は普通でも性格ええと絶世の美女になる」
「性格補正がかかるんか」
「性格が人相にも出るしな」
「ああ、それもあってか」
「性格美人はそれだけでちゃうんや」
「性格をよく見てか」
「付き合う相手を選ぶんや、ええな」
 鵺はそうした人生論もだった、中里に話した。
「戦でも人を見なあかんしな」
「ああ、そういうことか」
「そや、とにかく人間の内面を見るんや」
「そうするか、ほなな」
 ここまで話してだ、そしてだった。
 中里は難波と鵺、そして部将達にあらためて戦術を話してだ。そのうえでだった。
 軍勢をその戦術に従って動かした、それはわざと目立つものであり出雲の東で暴れ回っている彼等もだった。
 それを見てだ、彼等の拠点で言っていた。
「へえ、関西から来た連中がか」
「こっちに来ているんだな」
「たった一万二千で」
「無謀にも来るんだな」
 彼等の本陣で話していた。
「俺達は二万だぞ」
「一万二千で二万に勝てるか」
「数はこっちの方が上だぞ」
「しかもここは俺達の土地だ」
「地の利があるんだぞ」
「それで勝てるつもりか」
「馬鹿かあいつ等」 
 それぞれ言う、そしてだった。
 一際大柄な、毛深い鬼族の男が出て来た。同じ鬼族でも中里とは全く違う外見で身なりもかなり悪い。手には棍棒がある。このならず者達の頭目である。 
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