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魔法少女リリカルなのは ~黒衣の魔導剣士~

作者:月神
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Vivid 01 「高町ヴィヴィオ」

 
前書き
 今回からVivid編に入っていきます。これまでの話とは別にして書こうとも思いましたが、世代交代しても思ったよりも出番が多くなる気もしたので続けて書くことにしました。すでに100話を超えているのでスクロールなどが大変だとは思いますがご容赦ください。 

 
 午前7時30分。
 目覚まし時計が鳴り響く。私はすぐにベッドから起き上がって目覚まし時計を止めて、閉めていたカーテンを一気に開いた。眩い光が一気に室内に射し込んでくる。

「うん、今日も良い天気!」

 皆さん、ご無沙汰しています。
 私は高町ヴィヴィオ。今は10歳になっていて、聖王教会系の学校《ザンクト.ヒルデ魔法学院》に通う4年生です。
 ちなみにザンクトの部分はstと書かれていることが多いので、今後はそちらで説明することもあると思います。
 学校に通っていると説明したので分かると思いますが、私が起きてからまずすることは着替え。昔はなのはママやフェイトママに着替えさせてもらったりもしてたけど、今はもう自分でやっている。髪を結ぶのだって問題ない。

「ヴィヴィオ、朝ごはんだよ~」

 着替えが終わった頃、私を呼ぶ声が聞こえた。
 声の主は、私のママである高町なのはさん。何でここでさん付けするのかって言われると、正確には私のママではないからだ。
 過去の事件を知っている人ならその経緯は知ってると思うけど、簡単に説明すると私は古代ベルカに居た聖王のクローンで、事件が解決するまでの間なのはママが保護者になってくれた。事件後は養子に引き取ってくれたので正式な保護者になってくれたというわけ。
 血は繋がってないけど、私にとっては大好きなママで大切な人。あっでも……さすがに今はなのはママと離れただけで泣いたりはしてないからね。泣かないってあのときなのはママとも約束したし、何より学校に通ってるんだから離れてる時間があるのは当然なんだから。

「おはようママ」

 リビングに入った私は真っ先に朝の挨拶をする。
 なのはママはエプロン姿で朝ごはんを並べている真っ最中。彼女の隣にはパートナーであるレイジングハートが浮かんでいた。

「おはようヴィヴィオ」
「グッドモーニング」
「うん、レイジングハートもおはよう。……手伝おうか?」
「いいよ、座ってて」

 そう言われたらこれ以上言うのもどうかと思うので、大人しくイスに座る。
 すぐになのはママがキッチンから朝ごはんを持っていて食卓に並べた。パンにサラダだけかと思いきや、まさかのオムライスまである。
 食べられはするけど、朝からここまで気合を入れて作らなくてもいいのに。まあそれ以上に……

「もう……また絵なんて書いて」

 オムライスにはケチャップで私の名前と絵が描いてある。嬉しくないと言ったら嘘になるけど、4年生にもなると恥ずかしさも覚えるわけで……。

「えっへん、自信作~!」
「それに必要以上に凝ってるし」
「中身も新レシピ。美味しく出来てると思うよ」

 世間で言えば公務員というお堅い職業に就いているのに時折なのはママは子供っぽい。私くらいの子供を持つママと比べると若いんだろうけど、成人しているわけだから大人は大人。そう考えると思うところもあったりする。でも

「……はむ」
「どう?」
「……うん、美味しい」
「良かった~」

 やっぱり私からすれば、料理が得意で明るい良いお母さんだ。
 まあ今でこそ料理上手だけど、出会った頃は今と比べると格段に下手というか……今まで仕事ばかりしてきたのかなって思うくらいの腕前だった。

「うんうん……これならいつパパと結婚しても夫婦円満にやっていけるね」
「な……きゅ、急に何言ってるの!?」

 顔を真っ赤にして取り乱すなのはママは子供の私から見ても可愛いと思う。
 ちなみにパパというのはなのはママの好きな人のこと。まだ結婚してないから正式なパパじゃないんだけど、私は出会った頃からその人のことをパパと呼んできたので今も変わらずそう呼んでいる。
 ただ……パパと顔を合わせたときにパパって呼ぶと毎度のように注意されてデコピンなどをされる。
 一度パパだと認めるような発言をしたのに態度を変えるのはいかがなものかと腹を立てたりもするが、私も少しは大人になった。ママが公務員だということを考えると、良からぬ噂を立てないようにするパパの考えも理解している。

「べ、別にショウくんとはそんなんじゃないし……結婚どころか付き合ってもないわけで」
「あのねなのはママ、子供の私が言うのもどうかと思うけど……もう少し素直になったほうが良いと思うよ。そんなんじゃいつまで経ってもパパとの関係は変わらないんだから」

 出会った頃はそういうことはよく分かってなかったけど、さすがに10歳にもなれば多少なりとも恋愛に興味は出てくるし、どういうものなのか理解もする。
 私の記憶に間違いがなければ、少なくともなのはママは4年前からパパのことが好きだ。
 そこに至るまでに10年ほどの交流もあったわけで、なのはママにとってパパは初恋の人でもあるのだろう。にも関わらず告白は出来ていないし、私がいないと一緒にお出かけすることも滅多にない。お仕事はエリートと呼べるくらいに出来る人だけど、恋愛に関してはダメダメだ。
 あとここまで読んでる人は分かってると思うけど、パパの名前は夜月翔。なのはママの言うショウくんというのは私のパパのことを指している。

「た、確かに……もっと仲良くなりたいとは思うけど。でも……恥ずかしいというか、ショウくんも忙しいだろうし」
「はぁ……なのはママってパパのことになるとヘタレだよね」

 まあヘタレなのはなのはママだけじゃないけど。
 私にはなのはママの他にもうひとりママと呼べる人が居る。名前はフェイト・T・ハラオウンさん。長くて綺麗な金髪の美人さんで、なのはママと同じ公務員。なのはママと比べると口数が少ないというか内気な性格だけど、なのはママ以上に優しい人だ。
 あっ……言っておくけど、なのはママもフェイトママに負けないくらい美人さんだからね。男の人だって放っておかないと思うし。まあパパとの恋愛に決着が着くまではパパ以外の人は私は認めないけど。
 話を戻すけど、フェイトママもパパのことが好きだ。
 何で分かるかというと、なのはママ以上にパパの名前が出るだけで慌てたり、顔を真っ赤にするので分かりやすい。他にもパパのことを話す時の顔が、これが乙女の顔なんだなって思える表情になるから。

「う……もう、私とショウくんのことはいいから早く食べなさい。じゃないと遅刻するよ!」
「はいはい」

 時々私は今回みたいに後押ししているわけだけど、毎度のように結果は今みたいに誤魔化されて終わる。多少なりとも進展しそうならそれでいいんだけど、まったく変わらないから困る。
 パパのことを好きなのがなのはママやフェイトママだけなら焦らなくていいけど……私が知る限り結構居るんだよなぁ。はやてさんとかディアーチェさんとか……掴みどころがないというか、分かりにくいけどシュテルさんも怪しいよね。
 はぁ……うちのママ達はパパと話せたり一緒に居れるだけで満足しちゃいそうなところがあるから不安だよ。もっと積極的にならないとパパのハートは射止められないのに。
 告白して振られたのなら私も嫌々諦めはするけど、何も行動しないでパパがママ達とは違う人が付き合ったりしたらもの凄く嫌だ。
 というか、私以上にママ達が後悔すると思う。ずっとパパのこと好きだったわけだし。想った時間が長ければ長いほど、そう簡単に気持ちを切り替えたりもできないだろうから。
 ……冷静に考えると何でパパもママ達の気持ちに気づかないのかな?
 見ている限りそこまで鈍感ってわけでもなさそうだし、ママ達の昔話を聞くと肝心な時にはいつも一緒に居てくれたみたいなんだよね。異性に興味がないってわけでもなさそうだし……単純にママ達が好みじゃないとか。
 ううん……そんなことないはず。
 だってなのはママもフェイトママも美人だし、スタイルも良いし、性格も悪くない。公務員だからお金だって持ってるわけだし……まあこのへんはパパは気にしなさそうだけど。

「となると……」

 パパの中ではみんなへの好意は一定くらいで現状だと抜きん出てる人はいないのかな。というか、多分そうだよね。そうじゃないと今まで誰とも進展してないことに説明がつかないし。
 どうやったらパパにママ達のことをより異性として意識してもらえるんだろう……見た目や性格は問題ないわけだし、女性らしさという部分でもなのはママは改善されてる。フェイトママはそのへんのことは昔からある程度出来てたし……。
 何か……昔からの接し方とかに問題がある気がしてきた。子供の頃からパパ達の関係というか言動って今と変わらなさそうだし。
 なのはママは何というかパパを目の前にすると素直じゃなくなるし、フェイトママは恥ずかしがって言いたいことが言えない。
 私から見て雰囲気は悪くないわけだからママ達が1歩踏み出せば少しずつ関係は変わる気がする。パパだってママ達のこと嫌ってるわけじゃないだろうから。というか、私から見ればママ達ってパパの中では好きな人に見えるし。

「ヴィヴィオ、さっきから何考えてるの?」
「なのはママにはひみつ」
「えー、私はヴィヴィオのママなんだよ。教えてくれてもいいと思うんだけどなぁ」

 何でそんなに子供っぽく訴えてくるのかな。確かに可愛いし、見ていてもイラついたりもしないけど……私じゃなくてパパにすればいいのに。そしたら私があれこれ考える必要もないわけだから。

「ひみつったらひみつなの」
「ヴィヴィオの意地悪……」
「もう、それくらいでいじけないでよ」

 ママはまだまだ若いけど大人なんだから。
 ……そんな目をしても教えてあげません。だって言ったらまたママ怒るというか、誤魔化して話を終わらせようとするだろうし。
 やれやれ……ヘタレなママを持つ大変だなぁ。
 お仕事してるときはカッコよく言いたいことズバッと言っちゃうのに。世間では《不屈のエースオブエース》だとか言われてるけど、私生活じゃその影がまるでないというか……。

「はぁ……」
「ため息!? ごめん、ごめんヴィヴィオ。もういじけたりしないから機嫌直して! ね?」

 あのねなのはママ……私はそこにため息を吐いてるんじゃないんだ。
 というか、何だか考えるの馬鹿らしくなってきたなぁ。私があれこれ考えても今すぐどうにかなる問題じゃないし。正直に言って荒療治というかパパをママのところにけしかけた方が早い気がする。
 そんなことを考えている間にも時間は過ぎていくわけで……気が付けばご飯を食べ終わって学校に向かう準備が終わった私は、なのはママと一緒に外に出る。

「ヴィヴィオ、今日は始業式だけでしょ?」
「うん、そうだよ」

 立ち話をするわけにもいかないので私達は歩き始める。

「帰りにちょっと寄り道するかもしれないけど」
「そっか。今日はママもちょっと早く帰って来られるから晩御飯は進級のお祝いモードにしよっか?」
「わー! いいね!」

 ママに対して子供っぽいと言っていたのにここで騒ぐなんてって思うかもしれないけど、私はママと違ってまだ10歳。お祝いってなれば喜ぶのは当然というか、むしろ義務だと思う。お祝いってなればケーキとかも出るかもしれないし……
 ――あ、そうだ!
 今日はお祝いをしてもおかしくない日なわけだからパパを呼んでもおかしくない。お仕事の都合が悪かったら無理だけど、パパはなのはママ達よりもちゃんとお休みはもらう人だし、最近忙しそうにしてるって話は聞いてないから多分大丈夫なはず。

「ねぇねぇ、なのはママ」
「なーに?」
「お祝いしてくれるならパパも呼んでほしいな」
「え……ショウくん?」

 戸惑っているように声を出したなのはママだけど、私はママのほっぺが赤くなっているのを見逃さない。
 何を想像……もとい妄想したのかは知らないけど、そこは深く追求しない方が良い。まずはママにパパに連絡してもらわないといけないんだから。

「うん。最近あんまり会えてないし……ダメ?」
「ダメってわけじゃないけど……うん、分かった。パパにはママから連絡しとく。でもパパにもお仕事とかあるわけだし、無理だった時は諦めなきゃダメだよ?」
「うん!」

 よし、これでパパとママを進展させるための第一歩はオッケー。
 あとはパパが無事に家に来れてからだ。どうにかして良い雰囲気を作らないと……どうやったら良い雰囲気って出来るのかな。
 私のお祝いってことだし、メインになるのは私なわけで……まあこのへんはいっか。パパやママに互いのことを意識させるような言動をさせればいい気がするし。
 パパ相手にそれをするのは難しい気もするけど、ママ相手なら行けるはず。パパを前にすると素直になれないなのはママを私がどうにか素直にしてあげないと。ママと私の未来のために!

「それじゃあ、ヴィヴィオ」
「うん、ママ」
「「――行ってきます!」」

 ママと笑顔でハイタッチを交わした私は、夜のことを考えながら魔法学校に向かって歩き始めた。

 
 

 
後書き
 読んでくださってありがとうございます。
 Vividの設定を考えていたりしたので更新が遅くなりましたが、今後少しずつ書いていきたいと思います。ただ現状引っ越しなどで手元に漫画を置いていない状態でアニメを見ながら書いてる状況です。序盤は大丈夫だと思いますが、今後更新速度に影響が出てくるかもしれません。
 またこれまでと同様に何か読んでみたい話や、面白くなりそうなネタがありましたら教えてもらえると話を作るうえで参考になります。

 まだVividの原作は続いていますし、アニメではVividの1年後の世界が放送されたりしたわけですが、可能な限り書き続けたいと思っています。Forceに関しては原作が打ち切りのようになってしまったと聞いたのであれですが、機会があればそこも目指していきたいところです。まあまずはVivid編からですが。

 長くなりましたが、今後ともよろしくお願いします。

 
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