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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  激戦



剣撃、拳撃、黒球、波動砲

あらゆる攻撃で、「奴」がメンバーをなぎ倒していく。





「バルディッシュ!!」

「ストラーダ!!」



フェイトとエリオの二人が、キャロからの最大ブーストを身に受けて「奴」へと切り掛かっていく。

半ば無茶とも見えるブーストだが、相手が相手だ。そんなこと言ってもいられない。



金色と真紅の閃光と化し、二人が「奴」へと一気に突っ込んでいった。
それを「奴」は魔導八天で受けながら、徐々に後退させられている。


相手の速度が速度なだけに、「奴」の身体にも少々の切り傷が増えていく。



「おいおい・・・その背中・・・・」

「舜からもらったものだ・・・・!!!」

「ぼくも・・この力はあの人にもらった!!」



バチチ!!と爆ぜる音がして二人がさらに速度を上げていく。
もはや「奴」の目ですらも追いきれない。

だから



「オラこいや!!!」



「奴」はガードをやめ、腕を広げて二人を受け止めた。
刃が二つ、身体にめり込む。

その光景に一番驚いたのは当の二人だ。

だが、「奴」はそこでニヤリと笑い・・・・



《イーター!!!》



そんな起動音を鳴らし、バキリ!とデバイスの先端をかじりとって破壊してきた。
コアは無事だったものの、戦闘など到底不可能だ。



「な・・・」

「に!?」


「ガイアメモリの記憶は破壊されたらなくなるわけじゃない。現に一回破壊されたメモリもまた出てきたりしてるしな」


ゴスッ!!という重い音が二回して、二人が腹部を押さえてその場に崩れ落ちた。

「奴」の腹からはワニの顎のようなものが飛び出しており、それがバリボリとストラーダとバルディッシュの先端を咀嚼していたのだ。



と、そこに



「音撃打・怒涛爆砕!!」



ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!



「奴」の真上数メートルのところに太鼓の鼓のようなものが現れ、そこに向かって響鬼が思い切り音撃棒を連続で叩きつけてきた。

まるでバズーカの連続発射のように衝撃と炎が「奴」へと襲い掛かっていくが、「奴」はそれを左手の「口」でそれを飲みこみ、一気に固めて吐き出し放つ。


それを食らい響鬼が吹っ飛び、「奴」が両手をパァン!!と合わせると、ハイパーフォームとなって過去から攻撃を加えようとしたカブトがバチッ!!と現れて地面を転がる。



「な・・・・ただの手合せで・・・時空に干渉だと・・・!?」

「オレ、天の道どころか天そのもの行ってるから」


そういってゴバッ!!と地面ごとカブトを蹴り飛ばし、その先にいるメンバーを数人巻き添えにさせる「奴」。
土ではなく、地面。それを蹴り飛ばしだのだから、飛んでくるのは土砂なんてレベルではなかったのだ。



だが、その中をすり抜けて駆けてくる影が一つ。



「ウオおおおお!!」

「チッ、劫の目か!!」



光を放つその左目で未来を予知し、土砂の隙間を予見して駆けだしてきた皐月駆が、刀・雷切を爆ぜさせながら「奴」に切りかかって行った。
それを受け、反撃する「奴」だがそれが放たれるよりも早く駆は回避行動を取り、完全に死角から「奴」の背中を切り裂いた。



初めて入った一撃。
しかし、ここまでやってやっと一撃なのだ。



それに反応して振り返りながら「奴」が剣を振るが、それも回避されて斬られる。



「わかるぞ・・・・お前の未来を、敗北に追い込む!!」

「未来・・・か。思えばそいつを敵にするのは初めてだな!!」


そういって、「奴」がバックステップを取るが、それすらも予見されているのかぴったりとついて突き込んでくる駆。

しかし



「じゃあお前は・・・・俺がこうする未来をどうする!!」

「?・・・・ッッ!!うをぁっ!?」




そこで「奴」が一気に攻撃を仕掛ける気で魔導八天を握った。

逃げ場はない。受け止めきれるのか!?

そんな未来のヴィジョンが飛び込んできて、駆は焦って後方へと飛びのく。
それに合わせて「奴」が駆に接近し、こめかみに向かって拳を振り下ろして昏倒させた。



「未来に踊らされてるようじゃ、今の自分は越えられないぜ?」

「お前に、「今のお前」を超えられるのか?」

「!!!」



ギャォオッッ!!!



「奴」がニヒルに吐いた言葉に、背後から応える声がした。
それに反応して「奴」が魔導八天でガードしながら振り返った。



そこにいたのは、漆黒の翼。




「クラウドさんじゃァあーりませんか!!」





「奴」がクラウドに向かって呼びかけるも、当の本人はそんなことに取り合ってはいられないと言わんばかりに、「奴」へと斬り掛かっていく。
それを魔導八天で受ける「奴」


そうしていると背後から草壁美鈴が刀を携えて突っ込んできて、「奴」へと切り掛かってきた。
「奴」はそれにとっさに体を開き、クラウドを右で、背後からの美鈴を左でと、一人片手で受けながら剣撃を繰り返していった。


「陰陽剣士に漆黒の翼人・・・・ちと左右のバランス悪くない・・・かいっ!?」


美鈴の剣を「奴」が弾き飛ばし、彼女を蹴り飛ばしてからクラウドへと向き直って大きく剣を振るう「奴」
が、クラウドはそれを合体剣で受け止めたのち、「奴」の顔面を殴り付けた。


「奴」の剣がクラウドの合体剣に打ち付けられてから離されるまでの数秒に、「奴」はクラウドに数回殴りつけられていた。



「ブッ・・・くそ・・・・意識がいくまでに何べんも殴りやがってからにぃ!」

「数秒でも、貴重な攻撃機会だからな」



顔を押さえて後退する「奴」に、クラウドが合体剣を二刀に分けて左右から挟みこむようにして振った。
うまくいけば、上半身と下半身を分けることができる。


だが、「奴」も魔導八天を二刀に分け、右手と左手に握って地面に思い切り、杭のように突き刺した。
クラウドの二刀はその杭にガッァン!!と阻害され、「奴」はそれを握ったまま体重をかけ、両足でクラウドの胸に向かってキックをぶち込んだ。


「奴」の両足キックにクラウドの体が地面を数回バウンドして、大木に大の字で叩きつけられる。

更に「奴」はそのクラウドに魔導八天を分割し、投げ放った。
まず四本がクラウドの両肩と両腿を貫き、残り四本が脇の下などに突き刺さって身動きが取れないようにする。



「ガッ・・・っ・・・う・・・・!!このッッ!!」

「だぁっ!!」



ドッ、パァン!!!


そのクラウドの胸に、「奴」の拳が叩きこまれ、衝撃がクラウドの背後の大木を木端微塵に吹き飛ばした。
クラウドは口から血を吹き出し、ズルリとその場に崩れこんでしまった。



その拳の威力たるや、クラウドに突き刺さった四本の剣が抜け落ちてしまうほどだった。





ゴッ、パァン!!




と、そうしている「奴」に観鈴からの衝撃波が襲い掛かり、「奴」が地面を滑るように押しやられ、後退する。

その隙に観鈴の衝撃波を背に受け、さらに加速したスバルと凩が「奴」へと突っ込んでいった。



「リボルb―――」

「おっそい!」



しかし、早速スバルが投げ飛ばされる。
高速回転するリボルバーナックルのギアをイーターメモリで変化した右手で噛みつかれ、逆にスバル自身の方がきりもみ回転していって投げ飛ばされる。

が、その一瞬を狙って凩が「奴」に向かって「チン!」と刀を抜き収めた。
直後、「奴」が腕をクロスして受けるがその体に次々と切り傷が出来ていき、肩口がバッサリと斬り裂かれた。



「おぅっ!?」

「ぬ・・・反応するか。なんという御人!!」



それに対して「奴」はやられたこと、凩は狙いを逸らされたことに驚愕するも、間髪入れずに向きあって武器を構え、再び衝突した。


刀に手を添えたまま凩が走り出し、一瞬の間を以って「奴」を通過する。

その瞬間、再び「チンッ」という音が聞こえ、同時に「奴」も魔導八天を左下から右上に大きく振りぬく。



直後、背中を剥かせあう二人の間で、無数の斬撃場ぶつかり合い、甲高い音を鳴り響かせていった。


「ぬ・・・!!」

「ったぁ~~!!やっべぇなおい!!でも・・・」




ギャギリリリリリリリリ!!!・・・・・・




「いったな」



ギャッ、斬ッ!!!




「アグッ!!」

その剣撃の中から、凩に向かって斬撃が一つ飛び、彼の背中を両断した。





「アンデットの類か。凄まじいが、今一つ届かなかったな。惜しい!!!」

ドォン!!!


凩に向かってそう言葉をかける「奴」に、桜色の砲撃がぶち込まれ、それを片手で簡単に弾き飛ばす。

砲撃手は、なのは。
その隣にはティアナも立ち、二人そろって集束を始めた。


そして――――――




「「スターライト、ブレイカァァァァアアアアア!!!」」


ドッゴォウ!!!





「奴」に向けて、集束砲撃の頂点に立つ魔法が二つ、とんでもない大きさになって飛んできた。

無論、「奴」はそれに対して迎撃を試みる。



だが、なのはとティアナの狙いはこれよりも少し先にあった。



「レイジングハート!」

「クロスミラージュ!」

《《OK!!》》




そう二人がデバイスに働きかけた瞬間、二つの集束砲撃魔法はグバッ!!と枝分かれしていった。

それは本当に満天の星のようで、それが一斉に「奴」へと伸びる。



だが、それを見ても「奴」は不敵な笑みを隠さない。


「大したもんだ。でもな?そんな大質量、バラバラにして制御できるわけねぇだろうが!!」


そう、目測だがこれは一つの砲撃が五十ほどの数に分裂している。

そんな数を制御できたとしても、この質量ではどうしても不可能だ。



しかし、思い過ごしだろうか。


砲撃はすべて「奴」に向かって突っ込んできた。




「んなぁ!?」


砲撃を寸でのところで回避した「奴」だが、ぶつかり合った砲撃は一つになってまた「奴」へと向かってくる。
向かってくる間にも一つになった二つはちゃんと分裂している。

これほどのコントロール。
それを担っているのは、ほかの人物だった。



「私の力を使えば、砲撃の誘導は楽だよ!!」

「ありがとうございます!ティアナ、私たちは砲撃の大まかな照準を!!無理そうなのは観鈴さんがやってくれるから!!」

「はい!!」



誘導しているのは、ほかでもない純白の翼だった。
それを以って、「奴」へと一気に到達する砲撃達。




「チぃ・・・これは・・・」


がバッ!!!



「覚悟を決めるぜ!?」

ドゴォッッ!!!



そういって「奴」が自らの波動砲エネルギーで腕を覆って、その砲撃と受け止めて行った。


十発目くらいはまだよかった。
しかし、そこから先は地面に足をつけ、右上腕を左手でつかんで支えながら強引に受け止めていく。



そして・・・・・



「う~け~と~め~ェ!!きったぁ!!!」

「な!?」

「そんな・・・」


「黒球!!!」


そして、その砲撃のエネルギーを取り込みながら黒球を作り出し、生き残ったメンバーをまとめて覆い、ひねりつぶした。



全員が地面に倒れる。
そして、一番目の前の人間に、視線が向く。



「さて・・・終わらせに行きますか?」


そういって、なのはの頭に手が伸びていき―――――



「それ以上はさせません!!」




その腕が掴まれ、奴の体が投げ飛ばされた。
クルクルと回転し、体制を整えて着地する「奴」は、自分を投げ飛ばした相手を見た。



「アーリスさーん。最初からいたくせにおっそい登場で!!」

「もうこれ以上はさせません」




パァッ!!!



アリスの服装が、ゆったりしたものから変わる。
下はロングスカートだが、上がノースリーブになり、肘まであるような長い手袋を付け、二の腕をさらす格好になる。



「管理者として以上に、この世界の一員として・・・・あなたを、倒します!!」

「やってみろォア!!!」





「奴」が吼え、アリスが構える。





最後の砦、立つ。






to be continued

 
 

 
後書き

さて、メンバーが軒並みやられてついにアリス参戦!!!


翼人はやられてしまいました。どんだけだよこいつwwww

感情の集束というのもできませんでしたねェ。
まあ、フォーティーンとの戦いのときに結構無茶して集めていたからできませんでした、という。

え?上条さんなら黒球をどうにかしたかもって?
あれは幻想殺しのキャパをオーバーしてて、しかも彼の腕力で捻じ曲げることもかなわない代物ですから。



次回はアリスVS「奴」!!
ではまた次回

 
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