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風魔の小次郎 風魔血風録

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83部分:第八話 聖剣伝説その六


第八話 聖剣伝説その六

「これもいいけれどな。もっといいのがあるだろう」
「今度は何をしている?」
 ここで後ろから何者かの声が聞こえてきた。
「馬鹿なことをしているようだが」
「その声は」
 気付いてそちらに声を向けると壬生がいた。
「またおめえかよ。何か全部の作戦のサポート役になったらしいじゃねえか」
「その通りだ。そして」
「今回は殴り込みか?」
「そういったところだ。姉上直々の御命令でな」
「おめえも何かと大変みたいだな」
 右目を歪めさせたうえで壬生に対して言う。
「怪我もやっと回復したっていうのによ」
「その怪我は貴様のせいだがな」
「それはそうだけれどな。それで俺とやり合うつもりか?」
「やり合うのではない」
 それは否定してきた。
「殺す」
「物騒だな、また」
「本来忍の闘いは生きるか死ぬか」
 左手に持つ剣を前に突き出して小次郎に告げる。
「ならば私と貴様の闘いもそうである筈だ」
「じゃあ俺とも殺し合うってことかよ」
「貴様だけではない。ここに来ている全ての風魔」
 彼はまた言う。
「全てこの手で倒してやる」
「そうかよ。待てよ」
 小次郎はここであることに気付いた。
「何だ、その剣は」
 壬生が今持っていて自分に向けてきている剣を見て言った。
「やけに長いしよ。それに全部黄金色で。変な剣だな」
「これこそ黄金剣」
 壬生は黄金剣の名を告げた。
「我が夜叉一族に伝わる家宝だ」
「家宝を出してきて俺にやるってわじゃねえよな」
「当然だ。倒す」
 それをまた告げる。
「この黄金剣でな」
「何が何だかわからねえけれどよ。俺だってそう簡単にやられるわけにはいかねえんだけれどな」
「案ずるな、苦しむことはない」
 言いながら構えを取ってきた。
「ここでな。この黄金剣で斬ってやる」
「じゃあ俺だってよ。やられるわけにはいかねえんだよ」
 小次郎も今持っている木刀で構えてきた。当然闘うつもりなのだ。
「この前は引き分けだったけれどよ。今度は勝つぜ」
「それはこちらの言葉だ。行くぞ」
「来やがれ!」
 二人は斬り合った。まずは木刀と木刀が打ち合う。しかしその時だった。
「なっ!」
 何と小次郎の木刀が真っ二つに割れてしまった。打ち合っただけで。
「何だよ、これって!」
「これぞ我が黄金剣」
 壬生は表情は変えない。しかし声は不敵なものであった。
「この剣に勝てるものはない」
「な、何なんだよ木刀が一撃でかよ!」
「この剣を出してきたのは私が生きている限りはない」
「くっ!」
「小次郎、貴様も風魔の者達も一人残らず倒すということだ」
「やられてたまるか!」
「黄金剣に敵はない!」
 しかし壬生の攻撃がここで来た。
「大人しく倒されろ小次郎!」
「ちいっ!」
 その攻撃もかわした。しかしであった。
 左から右に横薙ぎにされたその一振りはかわした。しかしその剣圧で今度は何と小次郎の腹が切られたのだった。それだけで。
「かわしたのにかよ」
「言った筈だ。黄金剣に敵はない」
 壬生の声は相変わらず自信に満ちたものだった。
「観念しろ、小次郎」
「くそっ、やられてたまるかよ!」
「死ねっ!」
 咄嗟に木刀を手に取ろうとする小次郎とそれに襲い掛かる壬生。間に合うかどうか微妙だったが何とか間に合った。間一髪で壬生の剣を受け止めたのだった。
「むっ!」
「この木刀は」
 見ればさっきの巨大な木刀だった。それで壬生の黄金剣を受け止めてみせたのである。
 その巨大な木刀が小次郎を救った。彼は受け止めてから言う。
「さっきの馬鹿でかい」
「まさかその木刀は」
「知ってるのかよ、壬生」
「その木刀こそは」
「そうだ」
「蘭子!」
 ここで蘭子が出て来た。丁度ここで戻って来たのである。
「その木刀こそ聖剣の一つ風林火山だ」
「風林火山!?」
「やはりそうか」
 小次郎は驚き壬生は確信したのだった。
 
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