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風魔の小次郎 風魔血風録

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66部分:第七話 力と力その二


第七話 力と力その二

「主君の願いを果たすのこそが忍の務め」
「主君っていいますと」
 姫子は今の竜魔の言葉が自分に向けたものであることを察した。それで照れ臭そうに笑って蘭子にも言う。
「私のことですよね」
「間違いなく」
「何か時代劇みたいで」
「まあそうですが姫様」
「はい」
 今度は蘭子に対して応える。
「中には馬鹿者も混ざっていますので御気をつけを」
「馬鹿者!?」
「そう、例えば」
「おい、また俺かよ」
 蘭子に話を振られて抗議する者が約一名いた。
「何で俺ばかりなんだ」
「いい劉鵬、行け」
「いいんだな、それで」
「うむ」
 あらためて劉鵬に頷いて答えてみせる。
「柔道ならば御前におあつらえ向きだ。それに」
「それに?」
「向こうも間違いなく八将軍が出て来る」
「八将軍がか」
「だからだ。いいな」
「ああ、御前が言うのならわかった」
 劉鵬も竜魔の言葉で遂に納得した。
「では思う存分やらせてもらうぞ」
「期待している」
 こうして劉鵬の出陣が決まった。対する誠士館では夜叉姫の前に武蔵と壬生がいた。そのうえで報告をしていた。
「雷電と闇鬼の傷は思ったより浅いですか」
「はい」
 武蔵が夜叉姫の問いに対して答えて頷く。夜叉姫は相変わらずチェスの駒をボードの上で動かし続けている。
「不知火達と同じ時期に戦線復帰できるかと」
「まずはよきこと。しかし」
「わかっております。おそらくその時には風魔の項羽と林彪もまた」
「風魔も存外強い。我々のダメージもかなりのものになっています」
「確かに。それで今度の柔道大会ですが」
「確か黒獅子が出ていましたね」
 彼の名前が出た。
「柔道ならば彼の独壇場ですが」
「確かに。八将軍随一の強力の持ち主」
 壬生が告げる。
「その実力は伊達ではありません」
「彼ならば問題ないでしょう」
 夜叉姫は黒獅子に対する絶対の信頼を見せていた。
「ここは。しかし」
「しかし?」
「武蔵、攻介」
「はっ」
「何でしょうか」
 あらためて二人に声をかけてきた。二人もそれに応える。
「近頃制圧した地域の押さえが効かなくなっているどころではなくその地域の周辺が騒がしくなっているようですね」
「その通りです」
 壬生が答える。
「陽炎の話ではそこで我等と対峙していた忍のうち幾つかが壊滅しております」
「この辺りでもですか」
「はい。それで」
「姫様」
 ここでその陽炎が部屋に入って来た。妖水も一緒だ。
「先程の壬生の話ですがそれに関わっている者達がいるようです」
「関わっている者達が」
「はい。まず近頃伊達総司をその周囲で見たとの報告が相次いでいます」
「あの伊達総司を」
 伊達総司の名を聞いた夜叉姫の顔が一変した。
 
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