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レーヴァティン

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第五話 神殿でその四

「だからだ」
「情報を仕入れてもか」
「その真偽を知ることだ」
「それも大事なんだな」
「世の中嘘を吐く奴もいる」
 英雄の語る言葉は冷たい、そして冷たさは現実を知っているが故のものだった。
「それも平気でな」
「いるな、そんな奴」
「しかもそうした奴は何処にいるかわからない」
「こうした村にもか」
「平気で誰にも悪意を向けてだ」
 嘘を言うというのだ。
「息をする様にな」
「そんな奴がいるからか」
「だからだ」
「情報を集めてもか」
「それを検証することだ」
「事実かどうかだな」
「その通りだ、ではいいな」
 英雄はその冷たい目のまま久志に言った。
「行くぞ」
「今からな」
「情報を収集していくぞ」
「そうしようか」 
 こう応えてだ、そしてだった。
 二人で町に出てものを買いつつ情報を集めた、これまでの戦闘で金はあり馬も鞍等の馬具も買えた。その他の生活用品もだ。
 そのうえ鎧や兜も頑丈な鉄製のものが買えた、しかし盾は。
「買うべきだったか?」
「いや、俺達の剣術を考えるとだ」 
 買った鎧や兜を身に着けつつだ、英雄は久志に話した。
「買わない方がいい」
「両手で刀剣を持つからか」
「それなら両手で持って戦う方がいい」
 盾を持たずにというのだ。
「その方がな」
「余計なものは持たない方がいいか」
「そうだ」
 英雄は今度は冷静な声で話した、鎧や兜を着けているのは防具屋の試着の場だ。そこで試着してみて確かめているのだ。
「邪魔なだけだ」
「俺の剣はでかいからな」 
 トゥーハンドソード、今は鞘に入っているそれを見つつだ。久志も言った。
「片手じゃ振れないしな」
「俺は剣道だからな」
「剣道は両手で持つからな」
「日本の剣道はそれだ」
「二刀流があってもな」
「二刀流でも盾は使わない」
 古代はあったが平安時代以降ああした刀が出てからそうした剣術になった。
「だからだ」
「最初からか」
「俺は盾を使うつもりはなかった」
「自分の剣術に合わせて防具も買うべきか」
「合わない剣術をしてもだ」
「駄目だな」
「そうだ、下手をすれば死ぬ」
 英雄はまたこの現実を指摘した。
「死にたくないならだ」
「防具を買うにしてもだな」
「自分に合うものだ」
「そういうことか、しかし俺の場合剣を片手で操れたら」
「その時は買えばいい」
 盾、それをというのだ。 
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