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リリなのinボクらの太陽サーガ

作者:海底
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出立のリターン

 
前書き
色々と前途多難な道中です。 

 
先代ひまわり娘の屋敷に泊まった翌日、朝食を頂いた私達にクレスが早速昨日の話を切り出した。

「ザジ、あんたのアニマの器やけど、どうやらエレンのと違って休眠しとる。起動しておいて全く使わなかったことで、自動的にスリープ状態に移行したようやね」

「謎の金属板も省エネするんか……ま、休眠しとるなら起こせばええだけの話や。それで、どうすれば再起動してくれるん?」

「あんたがもう一度アニマの器の存在を感じ取れば一発なんやけど、今まで気付かんかった力に今更気付けなんて、まず無理な話やろ。っちゅうわけで、あんたの記憶を回復させるのが一番手っ取り早いという結論が出たわ」

「うちの記憶を……回復?」

要するに、ザジの記憶喪失を治してアニマの器を再び使えるようにするらしい。変な試練や手続きを行う必要が無いのは良いと思うけど、私は不安を抱いていた。

失われていた記憶を取り戻す、これだけ聞けば良いことのように聞こえるが、これまで忘れていたものが今になって戻ってくるのは、ある種の恐怖がある。もし……全く違う自分がそこにいたら、今ある自分が壊れてしまう可能性だってある。いや、壊れるのは大袈裟だとしても何らかの影響は受ける、少なからず性格などが変わってしまう事すらあり得る。

それだけじゃない、ザジは星読みの魔女だ。記憶喪失の原因がもし魔女の力の暴走だったとすれば、取り戻した直後に記憶の情報量が多過ぎて頭の中がパンクしてしまい、意識が混濁することも考えられる。正直に言えば、リスクが大きいのだ。

そのことに気付いていたザジは目を閉じ、大きく深呼吸をしてから口の端を釣り上げて笑った。

「ま、これも良い機会や。いつまでも頭の中にポッカリ抜けとる部分があるっちゅうのもモヤモヤするし、アニマの器にも興味が湧いてきよった。記憶を取り戻して力も使えるようになるなら、一石二鳥や」

「なんだか前向きですね、ザジさま。わたしもその姿勢を見習いたいです」

いや、リタは十分過ぎるぐらい前向きだと思う。これ以上ガンガン行くようになったら下世話な話だけど、ジャンゴの身が持たなくなるのでは……?

えっと、精力剤でも渡してあげた方が良いのかな……? いや、でもそんなモノ送られたら、男の人は色んな意味で困惑するに決まってるだろうし……う~ん……。

「(前から密かに思っとったんやけど、シャロンって地味にムッツリ系やよね。基本的に表には出さないけど、見えない所でムンムンしとるっちゅうか……)」

「(確かマスターがシャロンさまのことを以前、大人しそうに見えて実は意外と妄想がたくましいと言っていましたよ)」

「(そういや次元世界の人間に対する恐怖心も色々事情があったとはいえ、正直どこか行き過ぎな気もしとったんや。こう、限られた人や先入観だけで抱いたイメージが固定観念になってもうて、気付けばそれが全体に適用されるようになったみたいな……)」

「(ですね。サバタさまや向こうにいるマテリアルズという人達のように時間をかけて、誠意をもって接すればシャロンさまは心を開いてくれます。わたし達にも心を開いてくれたのは、サバタさま達が彼女の先入観などを解してくれていたからでしょう)」

「(逆に言えばサバタが何もしとらんかったら、シャロンはうちらにすら心を閉ざしていたかもしれへんのか。相変わらずあいつの影響力がデカいというのはさておき、普通にシャロンの心を開きたいなら、あまり押し付けるようなことはやめて、時間をかけて接した方がええってことやね)」

「(はい。まぁ……サン・ミゲルから半ば強引に連れ出した身として、わたしは少し耳が痛いですけど)」

私に内緒で何かボソボソ話しているザジとリタに思う所はあるけど、とりあえず気にしないことにした私はザジの記憶を取り戻すことに話を戻し、どうやれば記憶が戻るのかをクレスに尋ねた。

「そんなん簡単や。それは―――」

「ショック療法ですね! 任せてください!」

「ヒィッ!? そ、そんなんされたら昔のジャンゴみたく死にかける(ライフが1まで減る)わ!」

……何というか、男の人って大変なんだなぁ。リタのショック療法って、記憶を取り戻すどころか、むしろ生命ごとぶっ飛びそう……。それに瀕死とはいえ一応耐えた辺り、ジャンゴの耐久力の凄さがよくわかる気がした。

「心配しなくても大丈夫です、今度は失敗しませんから!」

「堪忍してや!? ちょ、アカンから! マジでアカンから指鳴らしながら近づいてこんといてぇ!?」

「おい小娘ども、人が話しとる間はちゃんと最後まで聞けや。……しばくで?」

「「すみませんでした!!」」

クレスから一瞬で全身に怖気が走るほどの冷気が発せられ、慌てて席に戻る二人。正直、私も今のやり取りだけで冷や汗が大量に背中を伝っていた……。

「いい加減、話進めるで。まず、記憶を取り戻したいなら、その記憶に関わる何かを見て、刺激を与える必要がある。その何かに込められた想いが強ければ強い程、刺激は強くなるもんや」

「記憶に関わる何か……?」

「ま、当てずっぽうで探すのは時間が無駄やし、星読みである程度目星は付けといた。そこはアースガルズと言って、数年前の大規模な吸血変異で枯れてもうた太陽樹が存在しとる。そして……あんたの生まれ故郷や」

「うちの生まれ故郷……? アースガルズ…………ッ」

「どうしました?」

「何でもない、少し頭の中がチクッとしただけや」

「……つまり、私達はこれからアースガルズに向かうのですか?」

「せや。アースガルズまではうちが転移魔法でサッと送ったるから、旅の心配はせえへんでもええ。で、どうする? もう行くんか?」

「う~ん、そう……ですね。ここでもうしばらくのんびりするのも良いですけど、先延ばしにしたら私が次元世界に行く気力を無くしそうで……」

「あんたって相当次元世界が苦手なんやねぇ……。だったら決意が鈍らんうちに送っといてやるわ」

私の言葉に若干優し気……というか呆れ顔?な表情をしたクレスは、軽く私の頭をポンポンと叩いた。少しは大きくなったと思ってたけど、この人にとって私はザジと同じようにただの小娘なんだろう。

そういえばふと疑問に思ったんだけど、クレスは次元世界に帰ろうとは思わないのかな? いや、帰りたがらない私が言うのも変だが、あっちに知り合いとかはいないのかな?

まぁ、こっちに来てかなり長いらしいし、次元世界に未練とかはもう無いのだろう。私は……今の所は世紀末世界の方が良いと思ってる。未来での私がどっちの世界に居住を構えるかは、これから行う旅次第か。

庭に出ると、クレスが私達の足元に全属性の紋章が浮かぶ六芒星の魔法陣を展開、転移魔法の詠唱を始めた。ザジも一応転移魔法は使えるが基本的に短距離で、長距離を移動したことは今まで一度も見たことが無かった。恐らく長距離を転移したいなら、この六芒星の魔法陣を作るぐらいの魔力操作が必要なのだろう。この時点でクレスの魔法の腕がザジのそれを上回っているのが誰からも見て取れた。

「これが伝説の魔女と呼ばれた方の魔法ですか……! なんだかドキドキしてきました」

「癪やけど、やっぱり師匠は魔力の練り上げも精密さも凄い……うちもこんなんじゃダメやな。でも、次帰って来た時こそ、師匠を超えたるで!」

「(この魔法陣……世紀末世界のだけじゃなくて、次元世界の魔法……特にベルカ式に近いものを感じる。もしかしてクレスさんは二つの世界の魔法を混ぜ合わせた、新系統の魔法体系を編み出したのかもしれない)」

それ故に途轍もない魔力制御、それも浮遊魔法だけでトランプの五段タワーを作るぐらいの精度が必要だ。世紀末世界と次元世界の全ての人間の中でも、クレスは間違いなくレベルが桁違いで高い。彼女ほどの領域にたどり着くには、それこそ数十年単位の相当な修練を積む必要があるだろう。こんな人が一緒にいてもキング・オブ・イモータルには一人では勝てなかったとか、サバタとジャンゴの父リンゴの戦いはどれだけ過酷だったのか想像すらできないや……。

うん……ザジさん、どう考えてもこの人に勝つのは無理だ。せめて直撃を一発だけ当てるとか、その辺に妥協しといた方が良いよ……。

「なんでシャロンから哀れむような目で見られとるのか知らんけど、図らずもうちの生まれ故郷に行くことになるなんてなぁ……。……楽しみでもあり、不安でもあるわ」

「太陽樹さまが枯れているという事は、その恩恵を授かっていた街も……。……今の内に気を引き締めておきましょう」

「そうそう、シャロン。転移する前に一つ、老婆心から忠告しといたる」

忠告?

「昨日の夜、空いた時間であんたのことを占ってみたんやけど、『前』という文字が見えた。この意味、あんたはわかるか?」

「前? ……いえ、わかりません」

「さよか。まあそっちはええ、言いたいのは未来についてや。あんたの場合、未来はなぜかよく見えへんかった。うちの占いですら見えなかったということは、あんたの行く先には途轍もない何かが関係してくるはずや」

「え、こんな時に不安になることを言わないで下さいよ……」

「だから今の内に忠告しとるんやで。次元世界で何が待っとるのかはわからんが、最低限何が起こっても大丈夫なように心を強くしとけ。まぁ所詮は占いやし、警戒した所で何も起こらないかもしれへん。でもな……世の中には油断大敵っちゅう言葉もある、無事に帰って来るためやと思って心に留めておいてほしいんよ。あんたはうちにとっても数少ない同郷の人間なんやしな」

「そうだったんですか……わかりました、ご忠告ありがとうございます!」

そうやってお礼を告げた直後、クレスの詠唱が完了し、転移魔法が発動……光に包まれて私達は先代ひまわり娘の屋敷から姿を消した。





フワッとした感覚に一瞬なった後、意識がはっきりした私の視界には先程まで居た屋敷は無く、全く別の場所……何もない荒野と人の気配が無い廃墟、そしてその先に佇む枯れた大樹があった。

街の外れにある丘……そこに転がっていた岩に引っかかっていた看板を見ると、“大地の都アースガルズ”と書かれていた。クレスの転移魔法は、私達をちゃんと目的地に送り届けてくれたようだ。

「やはり……ここも数年前の吸血変異で滅びてしまった街のようですね。太陽樹さまの結界も、イモータルの襲撃には耐えきれなかったのでしょう」

「日中だからアンデッドの姿は見えない……多分、今は屋内にいるんだろうね。……あれ?」

ちょっとだけ強い風が吹き、岩に引っかかっていた看板が飛ばされていく。するとその看板に隠されていた岩の下の部分に、石灰石で書かれたらしい変な絵が描かれていた。興味をひかれた私は近づいて覗き込むと、それは絵ではなく文字だった。

『いつかまた帰りたい』

その短い文章に込められた想いは、悲しくて、辛くて、とても切なくて……胸が痛かった。でも……これから前に歩き出すから、いつか立派な姿になって戻ってくるという、巣立ちの覚悟のようなものも感じた。

「ッ………! あぁ……うちは……ここを知っとる。ずっと昔……ここは……うちの秘密の場所だった。魔女だと迫害されたうちが、一人になりたくて……心を休ませるために、辛い気持ちを吐き出したくて…………そして…………」

―――アイツと初めて出会った。

文字に軽く手を当てながら、ザジはしんみりと呟いた。どうやら早速記憶が一部蘇ったようだが、その内容は良い記憶も悪い記憶も入り混じっていて、心中複雑になっているらしい。

「ザジさん……」

「……ごめん、少し行きたい所が出来た。二人は太陽樹の近くで待っていてくれへんか?」

「……わかりました。わたしもあの太陽樹さまの様子が気になりますので、あちらの方でお待ちしていますね」

ザジの気持ちを察したリタがそれを承諾し、私も無言でリタについて行った。今ザジを一人にするのは気が引けるが、それでも一人になりたい時はある。誰かが傍にいると、落ち着いて考えられないこともあるからね……。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


シャロンとリタが枯れた太陽樹の所に向かったのを見届けた後、うちは服の袖をまくって改めて右ひじを見た。そこに残っていたのは両親に付けられた傷、うちが捨てられた証、泣いてばかりで何もしなかったうちに与えられた罰……。

「……あいつらと同じように、うちも向き合う時が来たんやな」

袖を戻して杖をギュッと握り締めたうちは、とある場所へ歩き出した。さっき取り戻したのは、この街で魔女として迫害されていた記憶と、アイツとの初めての邂逅、そして旅立ちの思い出。この街も神秘の森も無くなってしまったけど、思い出はちゃんと残っていた。

街を歩いてきたうちは、とある一軒家……うちの実家の前で立ち止まった。扉の取っ手に手をかけた途端、開けるのに思わず躊躇してしまったが……アイツにもらったこの杖と思い出から、なけなしの勇気をもらった。今までそのことを忘れてたのにアイツは……ずっと力を貸してくれてた、傍で支えてくれとった。いなくなった今でも……まだ……。

そして……ギィ~っと音を立てながら扉を開けたうちは、追い出されてから初めて実家へ帰った。

「ただいま……」

当然ながら返事なんて帰ってこないが、それでも言いたかった。手入れされていないことで家中ホコリだらけで、風化もしていた。せやけど、やっぱり実家には実家の安心感というものがあった。例えそれが、辛い思い出ばかりだったとしても。

かつてうちの部屋だった空間に入ると、そこは追い出された時と物の配置が全く変わってない状態で放置されていた。本も、小物も、ベッドも、ぬいぐるみも、何もかもがそのまま……。

「そういや昔のうちは、標準語を使とったんやったな。今ではすっかり師匠の口調が移ってもうて、完全に戻しようがあらへんわ」

なんてことを呟きながら適当に机を物色してたら、小さい頃の日記が出てきて、思わず苦笑する。読めるかなぁと思ったものの、残ってたのは表紙だけで中は風化して読めなくなっとった。ちょいと残念や。

「懐かしいなぁ……でも、おとーさんもおかーさんも、なんで処分せえへんかったのかな。うちが嫌いなら、うちの私物をこんな風に残しとく意味なんてないはずやのに……」

今更うちを捨てたことの文句を言いたい、といった気持ちはもう湧かないけど、せめてあの時、もう少し歩み寄れていれば……ちゃんと話し合って、少しでも両親の気持ちを知ることが出来ていれば……なんて後悔は湧いてくる。

あの時の両親は精神的な余裕がほとんど無くなっていた……うちもやけど、両親も限界やったんや。両親に責任を押し付けることは……うちには出来へん。

「せやから……お別れや」

リビングにいた2体のグール……なぜかうちを見ても襲ってこない所から、直感的にうちはそのアンデッドが両親の成れの果てやと気づいた。魔法で倒してもええんやけど、それよりちゃんと太陽の光で浄化してやった方が、肉体的にも精神的にも両親のためだと思った。

「リグ・ボルト!」

杖の先端から雷の魔法を天井に放ち、貫通……穴が開いてリビングに太陽の光が注がれる。黒煙を上げて浄化されていく両親のアンデッド……。うちはその光景を沈痛な気持ちで見つめていたが、完全に浄化される直前に、両親のアンデッドは頭を下げた気がした。まるで、娘に酷いことをしたのを謝るかのように……。

「今になって謝られても、どうしたらええのかわからへんよ……おとーさん、おかーさん。結局……仲直りできないまま、最期はこんな風になってもうたけど……これだけは言わせて。うちを生んでくれてありがと。……ま、あんなことがあった後やし、魔女にお礼言われるのは嫌かもしれへんな。だからあっちに行っても、うちのことは……もう何も心配いらんで……」

頬に一筋の滴が流れるのも気付かず、うちは空に昇って消えていく両親の灰を見送った。






「……あ」

枯れた太陽樹の傍でしゃがんでいたシャロンが、やって来たうちを見て声をかけようとしたが、すぐ口を閉ざした。その反応をされた辺り、どうやら雰囲気的に色々察せられたらしい。
そういう勘は鋭いんやよなぁ、シャロンは。月下美人とかそういうの関係なしに、人の機微を見とる。なんちゅうか……臆病やからか? なんにせよ、あまり気ぃ遣わせ過ぎるのも悪いし、一応吹っ切れたつもりやからその辺フォローしとくか。

「あんまし気にせんでええよ。放置しとった問題を一つ片づけてきただけや」

「そうなの? さっき、ここからリグ・ボルトの光が見えたけど、本当に大丈夫だった?」

「大丈夫大丈夫、ちょいと家の屋根壊しただけやで」

「つまり、これから毎日家を焼こうぜ的なことをしたと?」

「放火まではしとらんわ! それに壊したのはうちの実……あ、何でもない。まぁどうせこの街自体が廃墟なんやし、建物が一つ崩れたとしても怒られるようなことにはならへんやろ」

「そういう問題なのかな……」

機能しているかどうかは不明だが、財産権とか所有権とか諸々が気になるというシャロンに、うちは別の話題を差し向けることでごまかすことにした。

「ところでリタはどこにおるんや?」

「あの中だよ」

シャロンが端的に言ったその言葉と一緒に出した指さしにつられて、うちもその方向を見ると、ここから少し上の太陽樹の幹に、人が何とか入れるぐらい大きなうろが出来ていた。どうやらシャロン曰く、リタはあの中に入っていったようや。

「前にジャンゴさんが“古の大樹”っていう古代の太陽樹の中に出来たダンジョンに挑んだことがあると聞いたけど」

「ああ、死の翼フレスベルグがいたイモータルダンジョンやね」

「もしかしたら、ここも似た感じになってるかもね。もう少ししたら様子を見に行ったリタも戻ってくるはず……」

すると彼女の言葉通り、うろから手に植木鉢を持ったリタが出てきて、うちらのおる所まで慎重に降りてきた。

「ただいま戻りました」

「おかえり、リタ。それで中はどうだった?」

「ダンジョンの可能性も想定していましたが、少々広い空間が一つあるだけでした。ただ、その空間の中心に太陽樹さまの苗木が生き残っていらっしゃったので、僭越ながらわたしが回収させていただきました」

「苗木って、この植木鉢にあるのがそれ?」

大地の巫女としてなのか、リタは太陽の果実や植物などの種や、それを育てられる植木鉢を常に携帯しとる。その植木鉢の一つに、数枚の葉が生えた小さな木が植えられていた。なんかサン・ミゲルの太陽樹が芽生えた頃の姿を思い出した。

「アースガルズが吸血変異に襲われて結界が破られた際、太陽樹さまはせめてこの苗木を残すために多大な生命力を注いだようです」

「結界が破れてしまって、もう守れないからせめてこれだけでも……ということ?」

「要するに次の世代に託したっちゅうわけか。そんならちゃんと育つまで、うちらが守ってやらんとな」

「はい。植える場所が決まるまではこの植木鉢で、わたしがお世話させていただきます」

太陽樹の苗を手に入れた!

リタが大事そうに苗木を太陽に当てている所を見て、シャロンは「植物にも歌を聞かせたら元気になるって、前に本で見たことがあるなぁ」と呟いた。

「ちょっと意味合いが違うかもしれないけど、それならこの歌を聞かせたら喜んでくれるかな」

そう言ってシャロンは胸に手を当て、新しく覚えた新曲―――アクシア・イーグレットを歌い出した。その曲は徐々にアップテンポになって躍動感が高まり、気付けば心の底から元気が出ている……イメージ的には戦場で戦闘機に乗りながら歌うボーカリストみたいな音楽だった。

シャロンの好みは子守歌やバラードといった心が落ち着く音楽やけど、別にそれ以外の音楽をやらんわけやない。時にはこういった男の子が好きそうな激しい曲も歌ってくれる。見れば太陽樹の苗木も、どこか活き活きしているように感じた。そしてそれは……うちも同じやった。

自分では吹っ切れたつもりやったが、本当は両親のことが心に影を落としていた。乗り越えたと思い込んでいただけで、実の所は見ないように目を背けていただけやったんや。……心は、時に嘘をつく。自分にすら、偽りの姿を見せる。そしていつしか、偽りの自分が知らない内に自分自身を蝕み、全てを変えてしまう。演じているつもりが、自分自身になってしまう。白い紙に墨汁を垂らしたら、自然と真っ黒になっているように……。

あのまま放置しとったら、本当の自分が見えないところで悲鳴をあげるところやった。気付けたのはシャロンのおかげやね。とにかく……もっと、自分の心と向き合おう。喜びも、怒りも、哀しみも、楽しさも、そして……人を好きになった気持ちも、過去現在未来全ての時間で自分の心を素直に出せるようにならんとな。……お?

「……これは……スイッチでも入ったんか?」

「ザジさま、急に胸を押さえてどうしましたか? 何か体調でも崩しましたか?」

「そうやない。……見つけた、感じたんや。うちの……うちの中にあった力、アニマの器に」

「え、そうなんですか!? でも、どうして急に……そもそも記憶はどうなんですか?」

「記憶の方はまだ全部思い出せたわけやないけど、少しは取り戻せたから後は時間をかければ芋づる式に思い出せるはずや。急にアニマの器が使えるようになったのは、あのば……師匠が言ってた、存在を感じ取れば一発っちゅうことの意味やろ。要するに、記憶より先に感覚を取り戻したってわけや」

「結果的にはなりますが、それは良かったです。では早速本題に入りますが、次元世界へ行く方法はわかりますか?」

「任せとき、仕組み自体は転移魔法の応用みたいなもんや。転移を使い慣れていれば、行き来はそう難しいもんやないで」

そう宣言したうちは魔力を充填、転移の魔法陣を展開する。そして……エナジーを媒介にアニマの器の力を注ぎ、魔法陣に特殊な効果……並行世界を超える力を与えた。
アニマの器とはどんな色にも変わる力、といったもので、魔力に注げば魔力として、エナジーに注げばエナジーとして使える。しかも性能を上げたり、特殊な効果を与えることもできる。言ってみれば、力に対する万能調味料みたいなもんや。まぁこれはうちの知る使い方ってだけで、もしかしたら他の使い方があるのかもしれへんが、今は別にええやろ。

とりあえず使い方次第では魔女の力……うちの場合は星読みの効果も上げられるだろう。それも暴走せずに制御できるようにすら……。でも、やっぱりそっちには使いたくない。暴走の危険に対する恐怖は、うちの心に刻まれたトラウマやからな……。

「来たっ! 来た来た来た来た来たぁー!! 行くでっ! 行くで行くで行くで行くで行くでぇ、皆ぁ!!」

なんでパワーを溜めたサバタみたいなことを言ってるのかはさておき、並行世界を超えられる転移魔法の準備が整った。シャロンもリタも固唾を飲んで見守る中、うちは初めてアニマの器を使った魔法を発動する!

「発動、時空転移! 向かう先は、次元世界や!! 行っくでぇー!!」

すると師匠の六芒星転移魔法陣に匹敵する光量が発生し、うちらの身体を包み込んだ。そして次の瞬間、アースガルズの太陽樹のふもとにいたうちらの姿は無くなっていた……。





「わわっ! だ、大丈夫なんですかコレ!? すごく不安定なんですけど!」

「こ、この浮遊感は乗り物以上に……き、気持ち悪い……うっぷ」

「うちも並行世界に渡るのなんて初めてなんやから、こんな風になっとるなんて知らんかったんや!」

今、うちらは虹色のぐんにょりとした何とも言えない空間で、足元のおぼつかない浮いた姿勢のまま、どこか奥の方に移動していた。どっかの青い猫型ロボットのタイムマシン的な場所に似ていると言えばイメージはわかりやすいと思うんやけど、正直これは何度もやりたいとは思わんな。だって……、

「ダメ……も、もうげんかい……」

「あ! こんな所で吐いたらダメですよ、シャロン!? どこかの知らない世界にあなたの吐しゃ物が飛び散ることになりますよ!」

「でもシャロンの気持ちはようわかるで……。なんせうちも、正直キツイわ……」

色彩のせいで視覚的にもドギツイし、浮遊感も狙ったような気持ち悪さやし、明らかに酔って当然の場所になっとる。いきなり最悪の状況になったシャロンにはホント悪かったと切に思う。

あまりの惨状に、どれだけこの状況を我慢すればええのかなぁ、と遠い目をした。その直後、グンッと何かに引っ張られるような感覚がうちらを襲った。

「なっ!? か、体が吸い寄せられる―――!?」

「ザジさま!? わたしも別の方向に引っ張られ……きゃぁああああ!!!」

「うぅ……意識が……持たない……」

「リタ! シャロン! あ、アカン! にゃぁあああああ!!」

そうしてうちらはそれぞれこの空間の別方向に飛ばされ、手を掴むことも出来ず離れ離れになってしまった。まさかの事態にうちは何の心構えも無しに時空転移を使ってしまったことに凄い罪悪感を抱きながらも、これからどうなるのかといった不安に苛まれた。

吸い寄せられる勢いのまま、うちの身体はこの空間を漂い、虹色の流れみたいな所に触れた瞬間、眩い光が発せられたと同時に空間から脱出……雲がすごい下に見える空の上に放り出された。

「ちょ、こんな高い所に出るとか嘘やろぉおおおお!!!????」

突然のスカイダイビング、それもパラシュートも命綱も無いという状況に投げ出され、うちは軽く死を覚悟した。うわぁ、落ちとるなぁ。今、超落ちとる。……うん、身の危険は十分感じとる。だからのんきなこと考えてないで、マジモードに入るか。

「にゃぁあああああああああああああ!!!! 飛行魔法なんてうち使えへんのに、どないすんねん!? どうすりゃプチッと逝かずに済むんや!? っていうか、コレ明らかに死ぬぅうううう!!! だ、誰か助けてぇえええええええ!!!!!!」

流石のうちもガチ泣きしながら落下していくが、こんな高空で周りに誰もいないのに悲鳴が届くわけもなく、緑に覆われた地面がグングンと迫ってくる。どうやらこの下はあまり大きくはあらへんが森林らしく、もしかしたら木の枝などで落下の衝撃が和らぐことを本気で期待しとるんやけど、どちらにせよ地面に激突して怪我をするのは確実やった。

って、よく見たら下に人、それも小さい女の子がおるやん!? こんな所から見つけられた辺り、うちの動体視力が良いのかもしれへんけど……流石に無関係の子を巻き込むのだけは勘弁やね。そもそもこんな状況になったのはうちのせいやし、死ぬかもしれへんけど怪我するのは自分だけでええんや!

「そ、そこの子早く逃げてぇえええええ!!!」

「え? どこから声が……って、ふ、ふぇぇえええええ!!!???? そ、空から人が落ちてきてますぅううう!!???」

いきなり驚きの光景を見せられて素っ頓狂な叫び声をあげる女の子やけど、そんなことしてないで巻き込まれないように早く逃げてほしい。もし彼女が巻き込まれて大怪我でもしたら、本当に死んだ時にあの世でサバタに顔向けできへんもん。

「はわわわわ、どうしたらどうしたら……!? ……ハッ! こ、こんな時こそ……わたしが頑張らなきゃ……!」

「何しとるんや! うちの事はいいから、はよ逃げんかぁあああ!!」

「魔力を集中させて、詠唱文も……行きます! ……蒼穹を走る白き閃光。我が翼となり、天を駆けよ。来よ、我が竜フリードリヒ! 竜魂召喚!!」

逃げるように促したうちの声も聞かず、女の子は手を掲げて魔法陣を展開、何かを唱えた直後……魔法陣から白くて巨大な竜が粒子を纏いながら現れた。威風堂々としたその姿にうちは一瞬目を奪われたが、その竜は徐に雄大な翼を広げて飛翔、うちの方に飛んできた。……って、まさか食われるんか!?

「フリード! あの人を助けて!」

「グルゥウウウウ!!!」

そんなことを思っていたら、地上にいたあの女の子が竜に指示らしきものを送り、竜はそれに応えるかのように声を上げた後、落下中のうちをその背中に乗せて助けてくれた。うちを乗せた竜はそのまま地上にゆっくりと降り立ち、女の子の前にかしづくように姿勢を低くした。それはまるで、騎士が主に忠誠を誓う儀式のような雰囲気やった。

とりあえず竜の背中から降りたうちは……脱力感のあまり地面に寝転がって、大の字になって深く息を吐いた。

「あぁ~、死ぬかと思ったぁ~! いやホント、今回はマジでアカンかと思ったわ~……」

とにかく、当分は高い所は勘弁やね。今回みたいに助けが入るとは限らんし……。ただ、リタとシャロンも今頃うちと同じように高い所に投げ出されてるかもしれへんけど、今のうちには誰かに助けられてることを祈るほかあらへんな……。

「あ、あのぉ~、大丈夫ですかぁ~?」

「おかげさんで傷一つ無いで。とにかく助かったわ、おおきにな」

「はぁ~、無事で良かったです。もし失敗して怪我しちゃったらと思ったら、怖くなってしまって……」

「うちが怪我したところで、別にあんたのせいでもあらへんやろ。落下してたのはうちのせいなんやし。むしろうちの方こそ、さっきぶつかってあんたに怪我でもさせてたらと思ったら、申し訳なくて仕方あらへんわ」

「なんだか同じようなこと考えてたんですね、わたし達」

「せやな。……ところで、ここは次元世界なんか?」

「え? あ、はい。ここは第6管理世界アルザスですけど……お姉さんは一体どこから来たんですか?」

「世紀末世界……っちゅうてもわからへんか。まぁ、並行世界から転移魔法で飛んで来たんよ。ま、迂闊にもそれをしくじってあんな高い所に放り出されてしもたんやけどね」

「並行世界……ですか? わたしにはよくわかりませんが、転移の失敗は災難でしたね。……あの、お姉さんはこれからの予定とか、ありますか?」

「ん~とりあえず、離れ離れになった友達を探したいなぁ。ここが次元世界ならどこか別の世界に落ちてる可能性もあるから、こんなことになった以上、責任をもって探さないとあかんし。……あ、そういやうち、こっちの世界に知り合いがほとんどおらへんわ。これじゃあ次元世界を渡るのはちょっと厳しいかもしれへんなぁ……」

「そ、そうですか。じゃあ良ければですが、一度わたし達の集落に来ませんか? 次元世界を渡りたいなら街の方に行く必要がありますけど、わたしは街まで行ったことが無いので……だから集落の大人の人に聞いてから行った方が安全だと思います」

「確かに見知らぬ世界で迷ったら目も当てられへんもんな。……わかった、あんたの村まで案内してくれへんか?」

「わかりました。……あ、そういえばお姉さんの名前を聞いていませんでしたね。わたしはキャロ、キャロ・ル・ルシエって言います」

「うちは星読みのザジや。短い間やろうけどよろしく、キャロ」

そしてうちは次元世界で初めて出会った竜召喚士の女の子、キャロと握手をした。その後、うちを助けてくれたフリードリヒという竜にもお礼を挨拶をして、なんか小さくなったフリードを連れたうちらはルシエの里へ歩き出した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


落ちる。

落ちていく。

意識の無い私は、何の抵抗もなく落ちていった。誰かに助けられることもなく、私の身体はどんどん地上へ落下していき、周囲に何もない海のど真ん中へと吸い込まれるように頭から着水した。普通なら首の骨が折れてもおかしくないほどの衝撃が伝わっているはずだが、無意識に私の身体から発せられていた月下美人のエナジーが膜のようになって、私の身体を守ってくれていた。そのおかげで意識を失ったまま二度と目が覚めない、なんてことにはならなかったが、私の身体は海に落下した後も更に下へと沈んでいった。

下へ……下へ……沈んでいく。泳いでいた小魚が見守る中、海底にあった謎の遺跡が月の光と鳴動するかのように起動、私の身体が沈む先にあったゲートを開いて、未だ目覚めぬ私を招き入れた……。




「……う、ん? 私、生きてる……?」

しばらく経って、目を覚ました私は自分がなぜ海水で濡れてるのか疑問に思いながら、これまでに起きたことを思い出す。

「そうだ、あの気持ち悪い空間でザジさん達と離れ離れになって……。ということは、ここはもう次元世界なのかな。でも……それはそれでここはどこなんだろう?」

周囲を見渡すが、石材とも金属ともとれるよくわからない素材でできた壁や道があるばかりで、具体的には何もわからなかった。ただ……こういう場所と似た場所を、私は知っていた。

「ヴェルザンディ遺跡……私達の故郷にあったあの遺跡と、どこか雰囲気が似ている……。でも、こっちの方がもっと古い感じがする……ヴェルザンディ遺跡より数十年から数百年単位で……」

あのユーノという遺跡好きの少年がいたら、きっと我を忘れるぐらい興奮してただろうなぁと思った。私は別に遺跡マニアじゃないから、そこまで関心があるわけではない。まぁでも、古代の隠された神秘、というものを面白いと思う気持ちぐらいはある。過去を学べば、自分の何かが変わる……歴史を知るとはそういうものなのだ。

さて、考古学に想いを馳せるのも程々にして、外に出る方法を探さないと。私が海水で濡れていたことから察するに、この遺跡は海の中にある。となるとこの遺跡全体が密室とも言えるわけで、悠長にしていたら空気が不足して酸欠になる可能性だってあり得る。例えどんな超人や能力者だろうと人間である以上は酸素が無くなれば生きることはできない。だから出来るだけ早急に脱出しなければならなかった。

「一人でダンジョン探索とか、私の領分じゃないんだけど……。こういうのはジャンゴさんかサバタさんの役目なのに……」

未知の遺跡内部を歩き出した私は必死に恐怖を抑え込みながら、通路を進む。壁を叩いたり、刀で床を突いたりして、罠の存在を確認してから慎重に進んでいるため、速度は遅いが着実に探索を進められていた。ただ……私は罠の臭いに敏感だけど、どうもこの遺跡に危害を与えるような罠は仕掛けられていないらしい。本来こういう場所には隠されている何かを守るために罠が仕掛けられているものだが、ここまで何もないとなると、この遺跡は普通の遺跡と根本的に何かが違うのかもしれない。そもそもひとくくりに遺跡と言っているが、実はここ……建築物じゃないとか?

「……ここまで見てきた感じだと、居住に必要な施設や設備らしきものは整っていた。長い年月が経っているにも関わらず、未だ機能を失っていないのは正直驚いたけど、シェルターにしては技術力が過剰だ……。何というか……どこか次元航行艦に近い設計になってる。設備のレイアウトもそれっぽいし……」

遺跡の考察をしながら探索していくと、私はモニターやキーボードなどが多く並ぶ空間にたどり着いた。その空間の中で最も高い所にあった椅子には、写真が入ったコンパクトが置かれていた。長い年月を耐え抜いたコンパクトは、この椅子に座っていたであろう誰かの娘らしき女の子の顔写真が写っていた。

「……なんだかあの時、サン・ミゲルにやって来た彼女に似てるな。髪の色とかは違うけど……顔立ちが彼女を彷彿とさせる……」

ジャンゴさんを連れ去った彼女が何者なのか、私には何もわからない。ただ、悪い人ではないという気はしていた。一度封印を解いて目覚めさせたヨルムンガンドのことは、力を奪って二度と封印を解かせないためにジャンゴさんがいる内に何とかしようという意図があったのだと思ってる。実際、あれからヨルムンガンドが目覚めようとする気配は二度と無かったから……。

とりあえず、このコンパクトは誰かの遺品かもしれないから、持っていくのは憚られた。このままここに眠らせてあげよう。それと、この椅子が艦長席だとすれば、ここはやはりブリッジらしい。艦長席の傍にある縦型パネルに触れてみると、ブゥンと電子音を立てて液晶画面が浮かび上がった。どうやら再起動してくれたみたいだ。

「デバイスか機材があれば、この船のデータ収集が出来たんだけど……無いモノは仕方ないか。え~っと……この文字は(ケーニッヒ)だから……古代ベルカ語か。所々がデータの破損で読めなくなってるけど……『T.C.4767年0―月――日。本艦が輸送していた―――が突如再起動、暴走を開始。奴のコンピュータウイルスによりマリアージュ・コアシステムがハッキングされ、―――の制御下に落ちたマリアージュによって搭乗員が殺されていく最中、私は―――の目的が―――の―であることが判明。――――――――の起動だけは何としても阻止せねばならないため、やむを得ず―――の―をNZ128、EZ061に時空転送。また、王は暴走するマリアージュを封印すべく本艦の星間移動用長期睡眠保存装置を使用、自らを贄とすることでマリアージュを外に出すことを阻止した。だが―――の影響は本艦そのものにも及び始めた。これでは王の覚悟も水泡に帰してしまう。そこで眠りについた王を除いて唯一の生き残りたる私は、世界に未来を、希望を残すべく、本艦を沈めることを決定した。世界の崩壊は、本艦の沈没を以って防がれることとなるだろう。……ああ、我が王イクスヴェリア、あなた様はガレアだけでなくベルカ全土に蔓延る極右思想の者達に身代わりとして、これまで彼らが行ってきた罪深き悪行を全て背負わされ、冥府の炎王として後世に悪名を残してしまう。あなた様は、ベルカが行ってきたその悪しき習慣を止めようとしていたにも関わらず。願わくば、いつかあなたの苦しみが晴れんことを……』」

…………。

えっと……なんか私、とんでもないものを読んでしまったのかな? 冥府の炎王についてはニダヴェリールにまだいた頃、気まぐれでクリアカンの資料館に行った時にチラッと読んだことがあるけど、戦乱と残虐を常とし、敵を捕獲して肉体を改造するとか虐殺した死者を利用するとか、かなりえげつないことが書かれていた。いわゆる世界征服を企んでそうなすごく悪い王様、というイメージが伝わってきたんだ。それも全ての本や資料から。

なのにこの航海日誌らしきものからは、むしろ酷いことをしようとする国をどうにか抑えようと頑張って、人を守るべく奮闘する良い王様って感じがした。……もしかしたら、今まで次元世界の人が見てきた冥府の炎王とは、歪められた歴史による間違った姿なのかもしれない。歴史は勝者が作るもの……敗者の姿なんて、情報操作でいくらでも変えられてしまう。ベルカの極右思想の人達は、イクスヴェリアがこの事故で眠りについたのをいいことに、彼女の尊厳を貶めたのか……。自分達がやってきた悪事を、これ見よがしに押し付けて……。

「……やっぱり次元世界の人達には、信用ならない部分が多いなぁ。それにしても……この船が運んでいた何かが暴走したせいで、マリアージュっていうものの制御が奪われ、そして沈んだってことはわかった。ヴェルザンディ遺跡にファーヴニルが眠っていたように、またしてもここに危ない何かが眠っているなんて……次元世界って、どうしてこう危険なものばっかりあるんだろう……」

だから次元世界は嫌なんだ……正直、もう世紀末世界に帰りたくなってきた。とにかくザジ達を見つけて合流し、こっちにいるはずのジャンゴさんを見つけるなどのやる事を済ませたら、出来るだけさっさと帰ろう。うん、絶対その方が良い。……なんてことを思っていた次の瞬間、パネルが真っ赤な色に染まり、何かの文字が浮かび上がった。

『Emergency! Emergency!』

「エマージェンシー? 一体何が……?」

突然の緊急事態に警戒した直後、何かが私の背後に現れた気配がした。反射的に前転すると、私の頭の数ミリ上を刃らしきものが通り過ぎた。背筋がゾッとして鳥肌が立つ中、慌てて姿勢を立て直した私はさっきまで私が立っていた所を見つめる。

「……イクスを知る者は……抹殺せよ……」

そこには身長175センチぐらいの……両腕に戦刀を生やした女性がいた。彼女は無機質な目で私を見つめ、再び腕の刃を振りかぶる。咄嗟にバク転で回避しながら階段を飛ばしてブリッジの下の方にまで降りた私は、そのまま一目散に走って逃げた。

「な、何なのアレ……!? まるで殺戮兵器みたいな……まさか、アレがマリアージュ!?」

走りながら後ろを振り向くと、さっきの女性が無表情のまま追いかけてきていた。……しかも、

「抹殺せよ」

「抹殺せよ、抹殺せよ」

「抹殺せよ、抹殺せよ、抹殺せよ」

「な、なんかたくさん増えてる!?」

逃げている内に同じ姿をした女性が四方八方からわらわらと湧いてきて、追跡に加わってきていた。はっきり言わせてもらうが、あんなヤバい大群と戦えば、私の実力ではせいぜい3分しか持ち堪えられないし、ましてや倒して勝つ見込みはまず見いだせなかった。つまり戦うなんて以ての外、逃げなければ生き残れないって話だ。

「って言っても、外に出るにはどこに向かえばいいの……!?」

慌てて逃げてきたせいで来た道とは別の道を進んでしまったし、船である以上、空間が限定されているからいつまでも逃げられはしない。もう、どうすれば……!

『Aエリア第6ゲート閉鎖』

マリアージュが刃の先端を向けて突貫してきた瞬間、館内放送が聞こえて私とマリアージュの間に隔壁が降りてきた。勢い余ってマリアージュが壁に衝突する音が聞こえたが、しばらくしたら金属質の音が連続で響いてくるようになった。どうやら戦刀で隔壁に斬りつけているようだ。

「た、助かったけど、あまりぼやぼやしていられないってことか……。それよりこの障壁を降ろしたのは多分……」

私はまだ先に続く通路を見渡し、行くしかないと結論付けた。早足で通路の先へ向かうと、一つの部屋にたどり着いた。辺りには長い年月使われていないのか埃を被ったたくさんの機材が並び、中心には部屋中の機械とコードで繋がったカプセルがあり、そのカプセルの中には培養液に浸かった赤褐色に近い髪色の……スミレより年下に見える少女が眠っていたが……、

『とうとう、私を目覚めさせてしまいましたか……』

私の存在を認知した少女は、その言葉を発して瞼を開けた。直後、カプセルの周囲から凄まじい水蒸気が放出され、中の培養液が排水されていく。そして、起き上がった少女が私を真っ直ぐ見つめてきた……。

「あ、ちょっと!? 君、ハダカハダカ! 服はどこ!?」

「え? あ、あぁ……そういえば私、何も着ていませんでしたね。培養液の中に服着たまま居るというのも普通に変ですし、ずっと眠っていたのでついうっかり忘れていました」

「のんきなこと言ってないで、何か着るものは!?」

私は急いで周りを見渡し、彼女が着れそうな何かを探した。でも残念ながら何も無かったから……その……怪我した時に備えて私が持っていた包帯を巻いてあげることで、辛うじて彼女の局部は隠せた。尤も包帯しか身に着けてない幼女とか、これはこれで全裸より卑猥になってる気がするが、そこは気にしないことにした。

「と、とりあえずこれで当分しのぐとして……君が、イクスヴェリア?」

「はい、私がイクスヴェリアです。あなたは?」

「シャロン・クレケンスルーナ。ここが次元世界なら、ニダヴェリールの月下美人、と言った方が伝わりやすい?」

「ニダヴェリール……月下美人……なるほど……。さて、あなたも色々言いたいこともあると思いますが、まずは謝罪を。……ごめんなさい」

「……」

「あなたがマリアージュに襲われたのは、私の力不足のせいです。私が……アレをちゃんと封じ込めていられれば……」

「……じゃあ、訊いてもいいかな。私、この船の航海日誌を読んだけど、コンピュータウイルスでマリアージュ・コアシステムの制御能力を奪われたってことが書いてあった。でもさ、マリアージュは君が眠ることで封印されたはずなのに、どうして今また動き出しているの?」

「では、マリアージュの現在の状態をご説明します。マリアージュ・コアシステムがウイルスに汚染されたせいで、マリアージュは見る者全てを手当たり次第に殺していく殺戮兵器と化してしまいました。艦の外がどうなっているかはわかりませんが、とにかく外に出してしまえば想像もつかない被害が出てしまいます。なのでコアシステムの本来の使い手である私が眠ることで、マリアージュに発動する緊急強制停止機能を用い、何とかコアシステムとマリアージュを停止状態に持ち込んだのですが……数年ほど前に、この近くをとてつもない衝撃が襲いました」

衝撃……? 数年前の出来事で、こんな海底にそれほどの衝撃が伝わるものと言えば…………ファーヴニルの破壊光線ぐらいしか思いつかない。もしかしたらそれ以外の事態が発生して、そっちが原因って可能性も考えられるけど、私の知る限りではこっちが原因だと思う。

「外部から与えられたその衝撃によって、停止したはずのコアシステムが半稼働状態になってしまい、封印されたマリアージュも再起動を果たしてしまいました。幸か不幸か、私の方も半分目覚めたことで、コアシステムの稼働に気付けました。なので肉体的には眠りながらも装置と繋がった状態の私が遠隔操作で艦の機能を使い、マリアージュを障壁で隔離していたのですが……外に出ようとしていたマリアージュから度重なる攻撃を受けたことで、ついに艦の耐久限界を超えてしまったのです」

ひとしきり説明して改めて落ち込むイクスヴェリアだが、結局の所、マリアージュが外に溢れずに済んだのは彼女のおかげであった訳だ。……やっぱり彼女が必要以上に責任を感じることは無い気がする。

「とりあえず、今は二人で助かることを考えよう」

「二人で? 私も……ですか?」

「うん。君が古代ベルカの人間でも、こんな所に放っていく気にはなれない」

「でも私は、この世に生きていては……。確かに私は国の過ちを防ごうとしましたが、しかし数えきれない多くの人を殺してきたのもまた事実です。そんな私が、のうのうと生きていて良い訳が……」

「……だから自ら犠牲になると? 死は贖罪になんかならない……ただの逃避だ。生きて……真実を未来に伝えていくことこそが、君にとっての真の贖罪になると思う。何が正しくて、何が間違っていたのか、それを後世に伝えて、同じ過ちが二度と繰り返されないようにすることが、生き残った者の使命なんだ」

ほとんどは前にサバタさんが私に言ったことの受け売りだが、これは今も私の心を支えている。被害者は被害者で、加害者は加害者で伝えていかなければならないことがある。そう、この言葉はここにはいないが、闇の書の最後の主と、管制人格リインフォースにも向けられていた。私がしたのは、この意味をイクスヴェリアにも伝えただけだ。

「真の贖罪……生き残った者の使命……。あぁ……言われてみればその通りです。それに使命から逃げてしまう者に、王の資格はありませんね。ありがとう、あなたの言葉で目が覚めました。私は……もう一度生きてみます」

「そう……。で、それはそれとして……君はマリアージュを倒せる?」

「今は無理ですね……一応、私もある程度の戦闘技術は体得していますが、一体だけならまだしも、二体以上となると確実に負けます。アレの指揮官だった者としては、不甲斐ない話ですけどね。そもそもマリアージュ制御機能もそうですが、かつての戦闘の名残で体の内部に異常が見られるため、今の私はほとんど自力で動くことができないんです」

「異常?」

「はい。正直に申しますと、このまま異常を放置していれば、遠からず私は深い眠りにつくでしょう。この異常を治すには私の時代の機械やプログラムに関わる知識が必要なので、今の時代にそれが残っているとは……」

「古代ベルカの、機械とプログラム……? それ……当てがある」

「え、そうなんですか?」

「うん。ユーリかディアーチェならその知識を持っていて、君を治せるかもしれない」

ちなみに、リインフォースや守護騎士はバグで過去の記憶を失っているから、当てにならないと判断した。ま、他の件でも頼る気はないけど。

「紫天の盟主と王のマテリアルですか……この時代まで生き残っていたとは驚きました。そういうことなら期待してもいいですね」

そう呟くと、目を閉じたイクスヴェリアは体を黒い紫の粒子に変えた。同時に私の身体も淡い白色に輝き出して、イクスヴェリアの粒子と反応、同化していった。そしてしばらく後、私の身体は淡い白と黒い紫が混ざり合って、同時に光るようになっていた。

「え? ええ!? わ、私の中に入ってきた!? なんで、どういうこと!?」

『あぁすみません、同化する前に説明しておくべきでしたね』

「え、えっと……そんなことして、お互い大丈夫なの? 身体とかに変な影響出てたりしてない?」

『問題ありません、むしろお互いに大きなメリットがあります。まず、私はあなたの月下美人の力のおかげで、しばらく身体の異常を抑え込めるようになりました。要するにあなたの月の力が、私の身体を維持してくれているんです』

「そういえばサバタさんが幽霊の魂を治したことがあると、前に聞いたことがあったような……」

『それに同化している間、あなたは私のリンカーコアを使うことができます。あなたは自分のリンカーコアを持っていませんが、私のリンカーコアを使うことで疑似的な魔導師になれるんです』

「いや、魔導師になれるって言われても……私は魔導師にあまり良い印象が無いから、魅力的には思えないよ……。大体魔法なんて使ったことないから、魔力操作の感覚もわからないし……正直必要ない気がする」

『魔法が使えることを喜ばない人は、初めて見ました。まぁ、今はあまり難しく考えなくてもいいですよ。私はあなたのエナジーを、あなたは私のリンカーコアを借りていると思ってくれれば十分です。それにやろうと思えば魔法も私の意思で使えるので、あなたが魔法を使わないのであれば、私がユニゾンデバイスのようにあなたをサポートします』

それならすごくわかりやすいかな。とにかく問題が無いなら、イクスヴェリアが体の中にいることも受け入れられる。ま、要するにユーリかディアーチェにイクスヴェリアを治してもらうまでの間、常に一緒にいるだけのようなものだから、これ以上あまり気にしなくても良いか。

『冥王イクスヴェリア、シャロン・クレケンスルーナを我が盟友として認証します。という事で、改めてよろしくお願いします、シャロン』

「どんな関係でも挨拶は大事か、よろしくイクス。出来るだけ君が早く自由になれるよう、私なりに頑張ってみるよ」

それにしても……闇の書の被害を受けた私が、冥府の炎王イクスヴェリアを身に宿す。両方とも古代ベルカ関連だし、ある意味皮肉とも言えるな、この関係。

ドォーン!!

「な、なに!? さっきの隔壁の近くで何か爆発でもしたの!?」

『マリアージュの自爆機能でしょう。今回のようにマリアージュは必要に応じて自ら自爆する時もありますが、倒されたり行動不能になったりしても燃焼液になって爆発します』

「サバタさんの自爆分身並みに厄介な性質だね! あ~もう早くここから出たいよ……」

『では、カプセルの傍にある端末に触れてください。一つだけ、外に出る方法があります』

イクスに言われるまま、私は端末に手を触れる。それから表示されたコンソール画面をイクスの指示で操作していくと、なぜか画面が真っ赤になって、同時に謎のカウントダウンが始まった。

『艦の自爆システムを作動させました。今の内に脱出しましょう』

「いやいやいや!? なんで今、自爆システムを作動させたの!?」

『私達がこのまま逃げてしまえば、マリアージュが外に出てしまいます。なので艦ごとあれらを消し飛ばす必要がありました』

「り、理屈はわかるけど……私達、まだ中にいるのに……」

『大丈夫です、ちゃんと脱出法も用意してあります』

イクスがそう言った直後、この部屋の奥にある扉が開き、そこそこ大きな球状の金属物体がせり出してきた。

『一人乗りの脱出ポッドです。あれに乗れば外へ射出されます』

「そういうこと……いつの日か、イクスが目覚めた時のために用意されていたんだ」

最早一刻の猶予も無いため、急いで私はその脱出ポッドに乗り込む。中に入ってスイッチを押すと自動的にポッドの入り口が閉まり、窓ガラスの向こうで射出装置が動き出したのが見えた。

「抹殺せよ、抹殺せよ」

マズい、マリアージュがもう部屋に入って来てしまった。彼女達は脱出ポッドが稼働していることに気付くと、一目散にこちらへ向かってきた。ポッドの中にいる以上、私達には手の出しようがなく、祈ることしかできなかった。

早く……!

早く……!!

「抹殺せよ!」

――――ドンッ!!





「……………………………………………。ま、間に……合った?」

マリアージュの戦刀が窓ガラスに刺さる際どい所で、やっと脱出ポッドが弾丸のように射出された。コンマ一秒でも遅かったら、マリアージュによってポッドが壊されていたことは間違いなかっただろう。

『いや~、私も冷や冷やしました。これは昔、私を暗殺すべく敵が地平線の彼方から超長距離狙撃をしてきた時に匹敵するほどの危機感を抱きましたよ』

「そんな危機は味わいたくなかった……。……うっぷ、水に揺られる感覚が、また気持ち悪さと吐き気を誘発してる……」

『乗り物酔いですか。確かに酔いやすい人にとって、ポッドの揺れやこの閉鎖感は最悪でしょう』

「なんか昨日から何かと酔ってばかりだ……辛い……」

『それは災難ですね』

「はぁ……ところで……さっきから変な音がしない?」

『変な音ですか? 言われてみれば、ギギギって音が……』

ガキンッ! ブシャァアアアア!!

「し、浸水!? 亀裂から水が入ってきた!!」

『あ~いくらガレアの技術が使われたポッドでも、数百年単位の経年劣化には耐えられませんでしたか……』

「のんきなこと言ってないで! ねぇ、どうするの!? これじゃあ手で押さえるのも限界だよ!」

『そうは言っても、水中でポッドは開けられませんよ。水圧が入り口を抑えていますし、セーフティもかかっていますから』

「だからって脱出ポッドの中で溺死とかは勘弁してほしい! もう、ほんとにどうすれば……!」

精神的にかなり焦っていたその時、下の方でかなり大きな爆発が発生した。どうやらさっきまで私達がいた船が爆発したらしい。その勢いでポッドが浮上する勢いがかなり増したが、同時に亀裂も大きくなって浸水の速度もとんでもないことになり、ポッドの外壁が一部だけ完全にめくれていた。

「やばいやばいやばいやばい!! もう首まで浸水してる!」

何とか脱出ポッドの天井ギリギリの位置で辛うじて呼吸していたが、数秒後、とうとう完全に浸水して脱出ポッドの空気がなくなってしまった。必死に息を止めて耐えていたものの、亀裂から太陽の光が見えた頃にはもう限界だった……。

「ゴボォッ……(こ、こんな所で……)」

空気を吐き出してしまった私は、そのまま冷たい海水に浸されたポッドの中で意識が朦朧となっていき……、

ウィ~ン。

「ッ!? ゲホッ! ゴホッ! ハァ、ハァ……」

溺れる寸前に海上へたどり着いたことでポッドの入り口が自動的に開き、中の海水が流れ出るのと共に私の身体も外へもたれかかった。

『シャロン、大丈夫ですか?』

「ぜぇ、ぜぇ……し、死ぬかと思った……」

『ほっ……とにかく無事で何よりです。ところで……シャロンって肺活量がかなり多いのですね。私の国でも、肉体改造無しであなたほど呼吸を止めていられる者はいませんでした。あなただからこそ、辛うじて生き延びれたんですね』

「冥王様に褒められるとは光栄の至り、って……返して、ほしいの? 悪いけど、そんな余裕……な…………い……」

『シャロン! 大丈夫ですか、シャロン!?』

酸素不足で体力が尽きていた上、溺れずに済んで安心したせいか、波の音とイクスの呼びかけが聞こえる中、私は眠るように意識を失った。
 
 

 
後書き
ショック療法:シンボク 序盤のアレ。おてんこさまに言われたとはいえ、リタに何も言わなかったジャンゴは漢らしい気がしました。
リグ・ボルト:ゼノギアス エリィのエーテル。雷系統では最も弱いエーテル魔法ですが、使い勝手はそこそこ良いです。なお、ザジの使う魔法は、彼女のものが中心となります。なのでエレンの使う魔法は……そういうことです。
太陽樹の苗木:どこに植えられるかはお察し。
キャロ:リリなのStSより、ザジのパートナーキャラ。物語的にはマキナにとってのアギトみたいな立ち位置で、これから大体一緒にいることになる予定です。
遺跡船:ゼノギアス エルドリッジが元ネタ。ゼノギアスにおけるT.C.4767年はエルドリッジが落ちた年で、NZ128、EZ061はロスト・エルサレムの座標です。シャロンを招いたのは月下美人の力に反応したからで、イクスがなるほどと言ったのは、そのことを知っていたからです。
マリアージュ:リリなのStSサウンドステージより。彼女達に追いかけられている間、シャロンはバイオ3における追跡者に初めて遭遇した人並みの恐怖を味わいました。ちなみに原作でもコントロールを失っていましたが、この小説ではこの物語なりの理由を付けました。
イクスヴェリア:リリなのStSサウンドステージより、シャロンのパートナーキャラ。目覚めるのが原作より早い理由を簡単に言えば、エピソード1のファーヴニル事変のせいで叩き起こされたという訳です。


リタがどこに飛ばされたのかはいずれ。なお、クレスの占いで出た『前』という文字には、いくつか意味を含ませています。 
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