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Blue Rose

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第五十一話 神戸に戻ってその十四

「ちょっとね」
「それは嫌?」
「阪神ファンだから」
「どうしても」
「そうなの、今年も日本一だったけれど」
 それでもというのだ、尚巨人はシーズン敗戦記録だけでなく最低打率最悪防御率ホームラン数及びエラー四球盗塁の各分野でワーストを達成して見事最下位となった。
「ホークスに結構弱いから」
「そういえば確かにね」
「阪神結構ホークスに負けてるわね」
「交流戦とかでね」
「負けてるわね」
「そうなのよね」
 どうにもと言うのだった。
「シリーズでもね」
「負けてるし」
「それでなのね」
「そこが気になるのね」
「どうしてもね」
 実際にというのだった、クラスメイト達に。
「というかホークスってシリーズ強くない?」
「巨人以外に負け知らずだからね」
「実はね」
「南海時代かなり負けたけれど」
「巨人以外には勝ってるのよね」
 忌まわしき人類の敵巨人には残念ながら敗北続きであった、悪が世を覆っていた暗黒の時代のことである。
「これがね」
「だから阪神にもね」
「勝ってるのよね」
「カープと並ぶね」
 優花はこのチームの名前も出して話した。
「阪神の天敵かも」
「あっ、そういえば阪神って毎年よね」
「カープには結構負けてるわね」
「酷い負け方も多し」
「何故かね」
「実は伝統的にね」
 優花は赤ワインの三本目も空けつつ話した。
「あのチームには弱いのよ」
「幾ら強くなっても」
「それでもなのね」
「カープには弱い」
「そうなのね」
「暗黒時代なんかはね」
 一九八〇年代末期から二〇〇一年までの頃だ、この頃の阪神は優勝出来そうな時もあったが多くの場合最下位だった。
「もう北別府さんや大野さんが出たら」
「負けてたの」
「そうだったの」
「それもしっかりと」
「そんな状況だったのね」
「完封がざらだったのよ」
 一点も取れない、それで勝てる筈がない。
「あの頃はね」
「完封がざらじゃね」
「勝てる筈ないわね」
「とても」
「まあ今は巨人だけれどね、弱いの」
「もう弱過ぎ」
「負けて負けて負けまくって」
 実にいいことにである、巨人が敗れると日本人がその敗北を見て元気が出て仕事にも学業にも励める。国民の最高のカンフル剤だ。
「来年もそうあって欲しいわね」
「是非ね」
「けれど来年はソフトバンクよ」
「ソフトバンク日本一よ」
「絶対にそうなるからね」
「阪神覚悟しておきなさいよ」
「ええ、望むところよ」
 笑ってだ、優花も応えた。 
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