| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四話 夢と現実その五

「山陰は特に余裕ない状況やけど」
「時間の問題でやな」
「しかも敵も厄介やけど」
「やってみせるな」
「よろしゅうな」
「よし、鳥取城までは」
「地図あるで」
 綾乃は巫女服の袖の中から一枚の地図を出した、それは西日本のものだった。中里にその地図を差し出して話した。
「これな」
「鳥取までやな」
「行きたいって思えば術使えるなら行ける」
「そうか」
「星の人は自分が使える系統の術は最初から全部使えるさかい」
「移動の術もやな」
「使えるで、そやから安心してや」
 こう中里に話した。
「その術を使いたいって思ったら自然に口に詠唱出来るさかい」
「へえ、余計に便利やな」
「そやろ、ほな早速」
「ああ、鳥取に行くわ」
「何かあったらすぐにこっちに直接来て状況報告とかしていいさかい」
 綾乃はにこにことしたまま話した。
「頼むで」
「ああ、ほなすぐに行って来るわ」
 こうしてだ、中里はすぐに鳥取城まで行きたいと思った。すると綾乃の言った通りにだった。彼は自然と詠唱をしていてだ。
 気付くと大きな城の正門のところに来ていた、天守閣が見える。彼がそこに着くと門を守る足軽達が言ってきた。青い服と具足、陣笠という格好で槍を持っている。
「あっ、ようこそ」
「お待ちしていました」
 中里ににこやかに挨拶してきた。
「中里さんですね」
「お話は芥川さんから先程聞きました」
「ではお城にお入りください」
「もうお迎えの用意は出来ています」
「あれっ、あいつ僕が来るより先に来てたんやな」
 中里は足軽達の話を聞いてすぐにこのことを察した。
「事前に説明してくれてるとか親切やな」
「そこが軍師さんのええところで」
「何かと先に先に動いてくれるんです」
「そうですさかい中里さんのこともわし等知ってます」
「そやから安心して率いて下さい」
「そうか、ほな行き先はわかってるな」
 中里は足軽達に笑顔で言った。
「出雲まで行くで」
「はい、わかってます」
「そうしていくんですな」
「そや、まあまずは軍議や」
「城の中で」
「そうしますか」
「そうするわ、主な部将集めてや」
 こう命じてだ、そのうえでだった。
 中里は開けられた門を通ってそのうえで城の中に入った。多くの櫓と石垣と堀に守られた城は堅固で迷路の様だった。そして本丸の天守閣の傍にある本陣に入ると。
 飯がはじまっていた、誰もが食べだしていた。中里もそれを見て言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧