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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  火災



「大丈夫ですか!?今助けに来ましたから!!!」


劫火が周囲を取り囲み、360度どころか上下すらをもすべて焼き焦がしている。
そんな中、スバル・ナカジマは休日にもかかわらず、救助活動として火災の中に飛び込んでいた。










数十分前












「すっごく美味しいでしょ!!ここ!!!」

「はい!!全然食べれますね!!」

「筋肉に優しい食いもんだぜ!」


「恭介・・・財布は大丈夫か?」

「・・・・・もう・・・・いっそ・・・空にして・・・」


いま、エリオとスバル、そして真人と謙吾、恭介はとあるビルのレストランに来ていた。
今日もティアナと理樹は調査に走り、当然ながら暇になってしまった彼らはスバルおすすめのこのレストランで今日という日をつぶそう、と考えたのだ。


潰されそうなのは恭介の財布だが。


ちなみに鈴やキャロは小毬や西園といった女子メンバーのほうへと遊びに行っている。
スバルがいるこっちは、完璧に花より団子状態だ。


「なんで・・・男女に分かれなかったし・・・・」

「恭介、大丈夫だ。いざとなれば俺らからも・・・」

「ああ、この筋肉を売ってでも払ってやるぜ」



「いや・・・・こうなることは予測していたからな。理樹からカードを借りてきている」

「「ちょ、おま!?」」


ドンドン積み重なる皿、皿、皿・・・・・
しかもスバルとエリオは言わずもがな、真人まで慰めながらもバクバク食っているのだからたちが悪い。


だがそんな中でも、恭介はスッ、と一枚のカードを取り出してこれで払うからと言い出したのだ。



「お前、理樹が知ったら大変なことになるぞ!?」

「問題はない。理樹は将来の義弟、いや、もうすでに義弟だ、と言ってもいい」

「ま、まぁな・・・・」

「それに!俺たちリトルバスターズは家族じゃないか!!」

「ああ」

「だからこの程度は・・・・いいと思いたい」


「「いや、そのりくつはおかしい」」


恭介の話が飛躍するのはいつものことだが、今回はまじめに金銭が絡んでいるので真人もボケない。
と、そこで恭介が「だけどなぁ」と前置きしてから持っている理由を話した。



「理樹にな、みんなで食事行くから何かあったら連絡頼む、って言ったらこれ貸してくれたんだ」

「みんな・・・・俺たちぐらいだと思ったんだな・・・・」

「と、言うか男子組、女子組に分かれると思っていたんだろ・・・・・」



「「「哀れだ・・・・」」」



そう思うなら真人、お前は食べるのを押さえなさい。









そうして腹に詰めるものを詰め、それでも腹八分目に抑え満足した頃(桁も結構行った頃)に、昔話をするようになった。



「私、昔なのはさんに災害現場で助けてもらったんです」

「へぇー」

「なのは・・・ってぇと高町さんか」

「あの究極魔法兵器さんか」


「はい。それで憧れて救助隊に入って・・・・・」



そこからのスバルはしゃべるしゃべる。



皆同じ「EARTH」登録員と言ってもやはりそこは現役救助隊員と学生なわけだし、年も近いのだから、面白い話は当然両者ともにある。



「じゃあ、今度は俺が話そうか。あれは忘れることのない、理樹が初めてじょそ・・・・・ん?」

「どうしたんですか?」

「じょそ!?な、なんですか!?何があったんですか理樹さんの過去に!?」




恭介が過去の何かを話そうとし、その内容にエリオが予想、戦慄した時。
恭介が窓の外を見て、何かに気付いた。





彼らのいるのはさっきも言ったようにビルの上層階だ。
そして当然、そこからは他のビルも見える。




その見えるビルのうちの一つから、黒煙がモクモクと伸び、その一瞬後にビルの一部が爆発、大穴があいてそこから炎が噴き出してきたのだ。




「え・・・・」

「おいおいおいおい!?」


「爆発・・・・火災!?」


「恭介さん!」

「ああ、こいつぁ俺たちの出番みたいだな!!理樹に連絡をしとけ。俺たちはあっちの火事をどうにかするぞ!!」


「よし!!」

「筋肉の出番だぜ!!」




「じゃあ今日は特別、スバルたちも合わせて・・・・リトルバスターズ、ミッションスタートだ!!!」


「「「「おう!!!」」」」








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「じゃあ僕は聖王教会のほうに連絡しとくから」

『お願い。私は知り合いの古代ベルカ文字を読める・・・・』

「ルーテシアさんだよね?」

『ええ。そっちに連絡するわ。じゃあ』

ピッ




理樹が通信機のモニターを切って、目の前の建物を見上げる。




ミッドチルダ郊外にある、聖王教会




近くには付属学校もあるここに、直枝理樹は直接来ていた。
内容は、今回の連続放火殺人事件に古代ベルカ文字があったことの報告と、その文字の詳しい解読だ。




「あの、「EARTH」の直枝理樹なんですけど、騎士カリムにあわせてもらえませんか?連絡は昨日したはずで・・・・」



そういって、受付の人に通してもらうように頼む理樹だが、その必要はほとんどなかった。
なぜならその返事が来る前に理樹のもとにシスターシャッハがやってきて、直立不動で出迎えに来たからだ。


だが・・・・


「ようこそいらっしゃいました!!薄緑のモガッ!?」

「ちょォー―ーーーーーーーい!?何大声で言おうとしてんですか!?(ボソボソ)」

シャッハの口を塞ぎ、その発言を大急ぎでやめさせた理樹。
まあ当然と言えば当然だろう。それにそもそも、恭介とは違って理樹自身も騒がれるのがあまり得意ではない人間だ。

騒ぐのはいい。騒がれるのはダメなのだ。


「い、いえいえいえいえ!翼人さんが来るというのにこっちに粗相があってはならないので・・・・(ボソボソ)」

「そういうのいいから!!あくまでも普通にしてください!!(コソコソ)」

「そ、そうですか・・・・?しかし・・・・」


そういって理樹はシャッハを説得しようとするが、シャッハとしてはいきなり普通にしてくれと言ったところで実際そうするのは難しいだろう。
なんせ彼女がかつて一度だけ翼人と会ったときは、ラリアットをブチかまされそうになったうえに、説得までされたのだから。




どうしようか・・・・


理樹はシャッハの態度をどうにか普通にしようと考え、そして妙案を思いついた。
これなら緊張も解けるだろう。



「(ボソッ)あ、ガッカリおっぱい」

「誰がなんだとこの鳥人間がァッ!!!!」


ヴォン!!


「え?」

直後、理樹の視界をトンファー型アームドデバイス「ウィンデルシャフト」の面が埋め尽くし、長方形のそれが真横にめり込んできた。






------------------------------------------------------------




「・・・ということで、今回の事件には少なからず古代ベルカ関係のモノが絡んでいると思います」

「・・・・ええ」

「ですので、こちらの解読のほうをお願いしたいのですが・・・」

「そ、そうですか・・・」



数分後、騎士カリムの部屋に通されるはずだった理樹はなぜか医務室で対話をしていた。


「それはそうと・・・大丈夫ですか?顔・・・・」

「最硬の翼人なんで」

「いや、それは体が頑丈という意味じゃないはず・・・」

「硬いんで」

「はあ・・・・」

「ボドゥドゥドォードゥー」

「はぁ!?」



カリムの素っ頓狂な声が出て、とりあえず伝えるべきことは伝えた理樹。
カリムの背後では胸をペタペタと押さえながら「まだいけるもん・・・・成長期に終わりはないもん・・・・」とか呟いているシャッハがいた。



と、そこでがらりと医務室の扉が開いて、部屋に客がやってきた。




「あ、ほんとだ、理樹さんだー!」

「こんにちは、理樹君」

「あれ?ヴィヴィオちゃん?なのはさんも」



そこにやってきたのは、高町なのは、ヴィヴィオ親子でだった。

なんでも今日は授業参観日で、無理言って管理局を休みにしてもらい、来ていたのだそうだ。
ここに来たのは教会の騒ぎを聞いて、管理局員である以上見ないわけにもいかないために話を聞き、そして理樹が来ているのを聞いてあいさつに来たといったところか。



「理樹君が来てるってことは・・・「EARTH」のお仕事?」

「「EARTH」というよりは管理局の協力ですね。今ティアナさんが追っかけてる事件の」

「ああ・・・・あの放火事件・・・」



もちろん、なのはも管理局員で「EARTH」登録員だ。
事件があることは当然知っている。

だが、それはそれ、これはこれだ。
事件があるからといってすべてに首を突っ込んでいられるわけではないし、教え子の事件だからといって自分が手を出しては彼女の成長にならない。


だから、まあ知っていても特に干渉することはないのだ。



「・・・・ということで、聖王教会に報告と協力を頼みに来たんだ」

「現場に血で古代ベルカ文字?」

「うん。それで・・・・」

「だったらわたし調べるーー!」

「え?」



それでなのはたちにここに来た事情を簡単に説明した理樹なのだが、そこでヴィヴィオが解読すると買って出たのだ。
確かに、ヴィヴィオは暇さえあれば無限書庫に行って読書をしている関係で、勢い余って司書の資格まで取っているのだ。

調べ物を頼むのにはもってこいの人材と言えばそうだ。


「いいん・・・ですかね?」

「ん?私はいいよ?ヴィヴィオがやりたいようにやれば」

「わーい!!じゃあいこー!どれ?ベルカ文字って?」



そうしてなのはからの許可も出たので、ヴィヴィオに血文字を写した文章を見せる。
さすがに現場写真をそのまま見せるわけにもいかない。




「うーーーん、とね、これならすぐに出ると思うよ?」

「ほんと!?」

「あはは、これだけ長いんだもん。検索すれば一発だよ!高町ヴィヴィオ!!根こそぎみんなを助けるために、がんばりまーす!」



そう言って、ヴィヴィオがさっそく無限書庫へ、といった感じに医務室から外に出ようとして、なのはと理樹がその後についていこうとする。



ピーピーピー・・・・




「ん?なんだろ」

「どうしたの?」

「恭介からの通信・・・え?」



と、そこに力の通信に恭介からの連絡が。

ミッドチルダのビルで大規模火災が発生。
それに対し、「船」の解除を願うといった内容だった。



「!!ご、ごめん!僕こっちに行くから!」

「じゃあ解読が終わったらすぐに送りますね!!」

「こーら!ヴィヴィオはまだ授業があるで・・・・」




ドォンッッ!!!!




ヴィヴィオが急いで解読しようとするのを、学校があるだろうと諌めるなのは。

しかしその言葉を、とてつもない爆音が遮り掻き消してしまった。




それに、爆音だけではない。




教会そのものも揺れたし、よく見ると学校の方からももくもくと小さな火が上がっている。
どうやらさっきの衝撃でボヤでも起きたようだ。



「た、大変!!」

「いったい何があったのです!?」

「・・・駄目です、連絡が取れません!!」

「急いで怪我人の救護と治療、そして鎮火を!!」



「なんだ・・・いったい何が・・・!?」



あまりにもいきなりすぎた振動と衝撃に、理樹がよろめいていから立ち上がり、医務室の扉をがらりと開けて廊下を見た。


すると





「かつての王の魂を正確にコピーした希少なる魂・・・・まさにちょうどいい」





廊下に、化け物がいた。

そいつは突出した巨大な顎をもち、まるで・・・というか、まさに鰐といった感じの風貌をした怪人だった。
しかもそいつは言語を操り、さらには明確にヴィヴィオをターゲットといって指差しまでしてきた。


「・・・・カリムさん、シャッハさん、早く救助と、この事態の鎮静に向かってください」

「え?あ、あれは・・・」

「あれは僕が何とかします。ここに詳しいあなたたちなら、大事故になる前に全員を助けられるはずです。急いで!!!!」



「は、はい!!」

「行きましょう、シスターシャッハ!!シスターセインやオットーたちにも連絡を!!」



そうして、カリムとシャッハが事態収拾のためにその場から離脱した。
怪人は周囲の悲鳴や逃げる人々には見向きもしないで、ただまっすぐにこっちを見ている。


そうして、周りに誰もいなくなったころ。



「レイジングハート、セットアップ」

《stand by ready.set up.》



なのはがバリアジャケットとレイジングハートを展開させ、この怪人に向き合った。
当然だ。自分の娘を狙っているといわれて、引くような人ではない。



「なのはさん。あいつのベルト見てください」

「?・・・あれは・・・」

《データと照合しました。アンデットと呼ばれる不死生物のものと同型です》

「アンデット・・・・倒せないの?」

「死ななくても、ベルトさえ割れば無力化はできます。その後で僕が「壁」で封じ込めるので・・・」

「じゃあ」

「ええ、全力で」

「わかりやすいね。行こう!!」

「はい!!!」





「抵抗する・・・か。翼人にエースオブエースとは、少し荷が重いのではないかね?」




その二人を見て、腰を落とすは鰐の始祖たるクロコダイルアンデット。




太古の昔より




かつて、太古の地上を支配した者の血統に最も近い牙獣が





現代の強者に挑みかかった。







to be continued
 
 

 
後書き

と、いうわけでリトバス、スバルたちが火災現場に遭遇。
聖王教会へと赴い理樹のもとになのはとヴィヴィオがいて、そこにアンデットが襲来、です。



そこで心配なのがヴィヴィオの通う魔法学校の位置です。


StSのエンド的に見て、教会の隣とか近くにある、ってことでいいんですよね!?


いやぁ、少し心配になってしまいましたよ。
ここでなのはも出したかったので、授業参観ということで。

え?フェイトママ?



・・・・・



フェイトさんごめんなさいm(_ _)m



次回としては、確定なのはティアナの方。
そして火災現場or教会のどっちかにいきます。



ではまた次回!!!





希少能力持ち少女リスト(現状)


古手梨花
古手羽入
御坂美琴
インデックス
アルルゥ
高町ヴィヴィオ


残り四名
 
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