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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0006話『接触と過去への謝罪』

 
前書き
今回語る話はほぼノンフィクションです。 

 
それから私達は久保提督の所有しているいざという時に艦娘とともに戦場に出れるように配備されている指揮艦船へと乗り込んでその鎮守府へと向かっている。
いや、危ないだろうという感想はこの世界の常識では通用しないのだろうか?
いえ、確かに今まで不思議に思っていた事だけどゲーム上システム的に通常海域やイベント海域では出撃する位置が決められている。
だけど、そもそもその出撃位置まで()()()()()燃料も減らさずに移動していたのかという疑問に辿り着いた…。
やった事は無いけど艦これ改にはそれぞれエリア事に拠点防衛の基地が存在していたはずだけど、あれはあれで独立しているからこっちでも一緒とは限らない。
それはつまり出撃位置まで別の方法で移動していたわけで…。一つ疑問が解消されたような気分だ。
それはまぁ、いい。
それより、

「もし違った場合はまともに戦えるのが私だけっていうのが辛いよね」
「仕方ないじゃん。提督は私達には自前の装備以外はドラム缶と大発動艇しか載せてくんなかったんだから。
まぁそれでも自衛のための装備もあるから無力って訳でもないし」

まぁ、確かに。
無装備でも攻撃は当たれば喰らうからね。

「でも、今回は後ろに下がっていてね。大和と武蔵の二人相手にさすがにみんなは分が悪いから」
「それはわかってるんだけど、それでも司令官の役に立ちたいなぁ…」
「皐月姉さん、今は司令官の命令に従っておきましょう。いざという時に役立たずにはなりたくありませんから」

三日月がそう言って自身も戒めている。
ミカはすげーな…。
いや、ここでネタに走っても仕方がない。
それに確かに三日月の言い分も正しい。
三日月、そして卯月、涼風は練度がまだ低い方なので遠征で少しずつ上げていっている段階なのだ。

「皐月も三日月も心配性だぴょん。司令官の考えが合っていれば戦闘なんて起きないぴょん」
「そうだといいンだけどな…」
「どしたー江風? なにか不安でもあんの?」
「いや、涼風。誤解されちまったらそれまでじゃね? こっちは合わせても十人程度。
それに対してあちらは複数艦も含めると200人以上…。改二の江風達でも対抗されたら負けが見えてンからな」
「さすがだね、江風。うちの戦力をよく分かっている。もし説得が失敗したら合わせても練度70以上が150人以上はいるからやばいしね」

そんな時に私のそんな言葉を聞いていたのだろう、久保提督が顔を青ざめている。
どうしたんだろうか。

「ね、ねぇ榛名提督? あなたの艦娘達の練度って最高は誰なの?」
「うちの最高練度の子? 潜水艦の呂500…ローちゃんが155で実質のトップで続いて榛名が136かな?」
「そ、そんなに高いんだ…」
「うん。それもあるけどうちはちょっと潜水艦事情で母港が圧迫していてね。40人以上はいるかな? 潜水艦の子達は…」
「そ、そんなに…」
「うん。だからもし潜水艦の子達が一斉に仕掛けてきたら贔屓目に見なくても練度なんて関係なく私達はお陀仏だね」

私が笑いながらそう話すがあちらとしてはゾッとする話らしく苦笑いすらしていなかった。
むしろ第六駆逐隊の面々は震えてさえいた。

「提督…? 今から恐怖心を植え付けてどうすんのさー?」
「そうだね川内。今は彼女達を説得することを考えようか」

それで話をしている間にようやく到着したのだろう鎮守府が見えてきた。
確かに…。

「改めて分かるけど立派だよねー」

私がそう呟くと、川内達も頷いている。
現状の母港は上限MAXにしてあるからそれは立派な事だろうね。
と、そんな時だった。
突如として指揮艦船の前の海上になにかが着弾したのか轟音とともに水しぶきが上がる。

「ななな、なに!?」
「暁お姉ちゃん落ち着いてなのです!」
「し、沈まんさ!」
「い、雷に任せなさい!」

一気に第六駆逐隊の面々は混乱の様相を呈していた。

「は、榛名提督、これって…」
「…おそらく大和か武蔵が忠告の意味も含めて副砲辺りで威嚇射撃したかな? 正直怖いねー…燃費の意味でも」
「司令官。早くしないとまた撃ってくるよ?」
「そうだね、皐月。それじゃでようか」
『了解』

それで私達は艤装を顕現させて海上へと降りる。
見れば海上の向こうでは大和と武蔵が険しい表情をしながら、

「止まりなさい! これ以上近づくのであれば今度は威嚇では済ましませんよ!」
「そうだぞ!」

大和がそう宣言して武蔵がそれに続いている。
遠目に見ると鎮守府の敷地内にも艦娘達がほぼ全員鎮座していていつでも出れるようにしているのだろう、艤装を出している。
うーん…確かにこれは榛名ボディーである私じゃなかったら怖くなって逃げだしてもおかしくない光景だね。
あきらかにオーバーキル状態だ。

「は、榛名提督! 任せたわよ!」
「分かってますよー!」

やはりあの光景に恐怖を抱いたのだろう声が引き攣っている久保提督の言葉に手を上げて応えながら私は大きく息を吸って大声で宣言する。

「すぅー………大和! 武蔵! 落ち着け!! 私達は敵じゃないんだ!」
「な、なにを…」
「大和さーん! ボク達だよー! 分かるかーい?」
「なっ! まさか行方不明になっている第二艦隊の方々と榛名さんですか!?」
「そうだよー。だからその砲塔を下げてもらっても構わないかな?」

私がそう言う。
でも大和がなにか私に違和感を持ったのか、まだ砲塔を下げずに、

「貴女は…本当に榛名さんですか? 喋り方に違和感を覚えました」
「あちゃー…司令官、やっぱり分かる人には分かるみたいぴょん」
「そのようだね…。仕方ないけど」

それで仕方がなく大声で私の現状を話す。

「私は確かに榛名じゃないけど、同時に榛名でもあるんだ。理由を説明したい…どうにか陸地に上がらせてもらっても構わないか?」
「…でしたらなおの事信用なりません。あなたが榛名さんではないのでしたらなんなのですか?」
「信じてもらえるかわからないけどいいかな? 私は…いや、俺は君達の提督だ!」

そう宣言した瞬間に大和達の背後で控えている艦娘達から「えーーーー!?」という声が聞こえてきた。

「なっ!? そんな世迷い事を言って信じると思っているのですか!?」
「普通なら思わないだろう。だが信じてほしい。
君達も謎の光とともに鎮守府とともにこの世界に来たのだろう? 俺もいきなりの光とともに気付いたらいつの間にか榛名と一体化していたんだ」
「そ、そんな事が…」
「どうするのだ大和…? あの者が言っていることが本当なら私達は提督に刃向かっていることになるんだぞ?」
「どうするって…そんな事が本当にあるなんて…」

武蔵と大和のそんな困惑した言葉が聞こえてくる。
やっぱりそう簡単に信じてはもらえないだろうな。
なら、私の最終手段を使うしかないかな?

「それなら今から言う艦娘は前に出て来てもらっても構わないかな?」
「艦娘の指定、ですか…?」
「ああ。木曾、イムヤ、綾波、まるゆ…この四名を指定する。初期からいた古参の者達なら勘がいい者なら気づけるはずだ」

そう言った瞬間、古参組と最近の組で分かれたのだろう。ザワザワと騒ぎ出す艦娘達。
それは背後にいる川内達も気づいたのだろう。

「て、提督! そのメンバーって!?」
「頼む…。今はけじめをつけたいんだ。いつかは謝りたいと強く願っていた…。こんな機会を逃す俺じゃない」

それはあちらにも伝わったのだろう。
少し緊張をした顔つきをした四人が前に出てくる。
イムヤはケッコンカッコカリしているものとして六人の中から代表で出て来て、まるゆに関しては一人だけ改になっているのだろう代表で一人だけ出てきた。

「…俺に用ってなんだ?」
「綾波に御用でしょうか…?」
「イムヤに何か用…?」
「あ、あの…まるゆになにかご用でしょうか?」

四人が俺にそう問いかけてくる。
私は彼女達を前にして罪悪感に押しつぶされそうになりながらも心の中で榛名の姿でこんな事をしてしまう事を今は眠っているだろう榛名に謝罪した。
そして私はその場で土下座をした。
その私の思いがけない行動で川内達、そして鎮守府の艦娘達、久保提督達の息を呑む音が聞こえてきた様な気がした。
そんな状況でも私は土下座をしながらも大声で叫ぶ。

「…いつか君達にはこんな突発的な事が起こらない限りはありえないと思っていたが、もしこんな機会があったなら謝ろうと思っていた。
直接君達には関係ない事だけど俺はしっかりと覚えている…。
俺の未熟さ、そして至らなさで轟沈させてしまったかつてのもう一人の君たちの事を…」

その瞬間、ざわつきがより一層高まった。
そう、この四人は理由はそれぞれ違えど一度は私のミスで轟沈をさせてしまった艦娘達なのだ。

「これは俺の罪だ…。拭いきれるものではない。
だけど誓いたい。今後絶対に君達を轟沈させないと…。
そして信じてほしい…。俺は君達の提督なのだと…」
『………』

全員の声が聞こえなくなった。
だけどそこで今まで顔を伏せていた私に異変が起きる。
突然胸の動悸が早くなってなにかが体から抜け出すような、そんな奇妙な感覚。
でも決して不快なものではない。
これは………?
そしてふと私の頭に誰かの手が乗せられた。
誰の手だと思って思わず顔を上げるとそこには透明な体だけど榛名が微笑みを浮かべながら立っていた。

《提督…》
「榛名、なのか…?」
《はい…》

これはなにかの夢なのかと思ったけど鎮守府の方から金剛の声なのだろう「榛名ーー!?」という叫びが聞こえてきた。
それでこれは白昼夢なのではないと分かった。

《…提督、今までその事を謝りたかったんですよね。榛名は知っています》
「ああ…。一生消えない俺の罪だ」
《はい、確かに。でも、もういいのではないですか?
提督はしっかりと罪を…私達の辛い思い出も一緒に共有してくれている》

そして榛名は鎮守府の方へと体を向ける。

《皆さん、どうか信じてあげてください。この方は私達の提督です。榛名が言うんですから間違いありません!》

両手をグッとして榛名はみんなに叫んだ。
その瞬間だった。
鎮守府の方から何度も「提督ー!」や「司令官ー!」と言った俺を提督と認識してくれた叫び声が聞こえてきたのは。
それで嬉しくなって涙を流してしまった。
そんな涙がつたう私の頬を気付いた榛名は撫でながら、

《提督…。榛名はいつまでも提督と一緒にいます。だって、私と提督は一心同体なんですから…》

そして榛名は最上級の笑みを浮かべながら私の中へと再び入っていってしまった。

「榛名…ありがとう」

そして私達は歓迎されながらも鎮守府の港へと入れさせてもらえたのであった。

 
 

 
後書き
いやー、本当に会えるならもっと嫌悪の声が上がるかもしれませんね。死なせてますから。
どういう理由で沈めたのかも覚えていますからねー。

それと多分この話がピークでこの先はイベント話が起きるまでは日常とか内政話とかするかと…。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 では。 
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